インターネットは自由と平等とイノベーション(変革)のためのツールであり、これによって、一般の個人が、国、大企業と平等に発言出来る時代が来たと言われました。
しかし、それは幻想だったかもしれません。
◆主要メディアは今も強大
民主主義国家では、誰にでも言論の自由が保障され、また、報道機関はジャーナリズム精神に則り、公正に真実を伝える努力をする義務と責任があります。
しかし、個人に発言の自由があるといったところで、昔は個人には発言の拡散手段がほとんどありませんでした。
確かに、近年、インターネットが発達し、誰でも情報発信者になれるようになりました。
とはいえ、結局のところ、よほど集団化しない限り、インターネットでの発言には、ほとんど影響力はありません。
インターネットの中には、普通の人でありながら影響力を持つインフルエンサーと呼ばれる人がいますが、その影響力は主要メディアとは比較にならない小さなものです。
◆メディアを制する者が世界を制す
最近、インターネット上で「陰謀論」というものが人気があります。
「陰謀論」とは、表に現れない巨悪が世界を征服しつつあるという都市伝説みたいなものですが、政府や大企業の秘密の暴露のような面もあり、あまり信じない程度に見れば面白いと思います。
「陰謀論」では、世界を侵略しようとする悪者は、DS(ディープ・ステート。闇の勢力)と呼ばれ、DSは既にアメリカや日本等の民主主義国家を侵略しつつあるとされています。
では、DSはどうやって世界征服を進めるのでしょうか?
まず、DSは、主要メディア(テレビ局や新聞)を操り、その影響力を利用して大衆の思想を支配します。
どうやって主要メディアを操るのかと言いますと、まず、主要メディアに多額の広告を出す顧客になりますが、これが今の時代にマッチしています。
と言いますのは、ずっと前から、新聞、テレビは、インターネット広告の台頭で広告収益が激減し、大口の広告客やスポンサーは喉から手が出るほど欲しいからです。
そこで、主要メディアの大得意客になり、さらには、主要メディアに多額の投資も行うDSは、広告による巧妙な思想操作と共に、新聞やテレビの報道内容にまで介入出来ます。戦後の混乱期からの利権の獲得競争に勝ち残ったDSは資金力が豊富です。
次に、DSは、共産主義国家で行われているように、インターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の言論も検閲しようとします。
SNSでDSの陰謀が漏洩すると、民衆が目覚めて抵抗勢力を起こす恐れがありますので、DSはSNSを監視し、都合の悪い情報は徹底弾圧します。
では、SNSを支配する方法ですが、こちらはDSにとっては比較的簡単なようです。
SNSでは、「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業が運営する、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブが圧倒的シェアを持ちます。
そして、まだ歴史の浅いビッグテックは、CEO等トップに権力が集中しています。
そこで、ビッグテックのトップの弱みを握ったり、様々な脅しで圧力をかけるなど、あらゆる手段を使ってビッグテックを操り、ビッグテックが運営するSNSから、DSの世界侵略の計画の妨害になる言論を弾圧させます。
確かに、「陰謀論」はかなり空想的なものでしょうが、次項のお話のように、思わぬ現実である部分もあります。
◆主要メディアの危機
たとえば、こんなことに思い当たらないでしょうか?
アメリカでも同様ですが、日本人の多くは、アメリカ合衆国前大統領ドナルド・トランプ氏について、「パワフルであるが人格的には大きな欠陥がある人物」というイメージを持っています。
なぜ、そうなったのかと言いますと、単に、アメリカの主要メディアの全てがそう報道し、日本のテレビや新聞は、提携しているアメリカの主要メディアの報道をそのまま翻訳して報道するからです。
その中で、2020年の12月頃、主要メディアが決して報道しない面白い事件がありました。
アメリカの非営利の調査報道NPOであるプロジェクトベリタスの代表者ジェームズ・オキーフ氏は、最大級のニュース放送局であるX社の朝のテレビ会議の録音をSNS上に公開しました。
※X社の実名は後で述べる理由で隠します。
X社の内部の人間が録音したものを、オキーフ氏が手に入れたもので、それはX社の内部告発と言えるかもしれません。
その中には、X社の社長始め、幹部達の電話会議での肉声が録音されています。
X社社長が、「ドナルド・トランプがまともな人間でないことを民衆に印象付ける」よう、また、トランプ氏が新型コロナウイルスに感染した際には、トランプ氏は治療で使用した特別な薬の影響で精神異常を生じていると信じさせる報道をするよう、幹部達に指示していました(いずれも全く根拠はありません)。
オキーフ氏は、何日分もの会議の録音を公開し、その内容は、上記のようにジャーナリズム精神に反するでした。
しかし、多くの人が、権威あるX社の報道内容を真に受けたはずです。
都市伝説であるはずの陰謀論のようなことが、実際に、しかも、アメリカ最大級のメディアで行われていた訳です。
◆SNSの危機
今はSNSがありますので、上記のオキーフ氏のような人の活躍で、主要メディアの隠された真実を普通の人が知ることが出来ます。
このように、SNSは、主要メディアがおかしくなった時の正義の騎士の役割を果たすはずでした。
ところが、オキーフ氏のSNS上の投稿は強制削除され、さらに、オキーフ氏のSNSアカウントまで抹消されて、彼はSNSが使えなくなりました。
さらに、このことについて語るSNS記事が削除され、投稿者のアカウントが抹消されるかもしれません。そうであれば事実上の言論検閲です。
ご存じかもしれませんが、トランプ前大統領もあらゆるSNSのアカウントを抹消され、SNSでの情報発信が出来なくなっています。
なぜトランプ氏のSNSアカウントが抹消されたのかと言いますと、SNS運営会社の説明では、トランプ氏が民衆を扇動する誤った内容の投稿を行ったからで、主要メディアもそう報じましたので、やはり多くの人々はそれを信じました。
それが事実かどうかはここでは問題にしませんが、発言の内容の是非を決定する権限があるのは裁判所(つまり法律)であり、SNS運営会社ではないはずで、この観点から、ドイツ・フランス政府、メキシコのオブラドール大統領、オーストラリアのマコーマック副首相、そして、多くの米国民が、トランプ氏の言論封殺に対し、SNSを運営するビッグテックに抗議を行いました。
しかし、今や、強大な力を持つビッグテックは、自国政府や国民、また、いかなる国の抗議にもビクともしない権力を持っていることを思い知らされる結果になりました。
今や、世界最大の権力者であるアメリカ大統領の言論すら1企業のCEOの意思で封殺出来るというのが事実だと気付かされたのです。
大統領ですらそうなのですから、その気になれば、あらゆる言論の封殺は容易いことだというのが現実です。
かつては自由な発言のプラットフォーム(環境)であったSNSは、公開する発言を運営者が決める場所になっているのかもしれません。
陰謀論によれば、主要メディアとSNSを操るDSの世界征服はかなりのところまで来ているという訳です。
以上です。
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