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2024年12月5日木曜日

巧妙化するAI詐欺

もし、ロシアのプーチン大統領が「アメリカに核攻撃を行うことを決定した」と演説する映像を見ても慌ててはいけません。
そんな映像は、今や、誰でも作ることができると言っても良いと思います。
少し前に、トランプ前大統領が大勢の警官に逮捕される様子の画像がネット上に流れ、この時は、かなり大騒ぎになりました。
この画像は、ミッドジャーニーという有料ではありますが、わずかな会費で誰でも使えるAI画像生成サービスを利用して作ったもので、そのような画像を作るのはそれほど難しくありません。その出来事以降、ミッドジャーニーではトランプ前大統領の画像を生成することが禁止されました。
こういった静止画像、音声、動画が誰でも作れるようになってきました。
それがどんな意味を持つのか、分かり易い例でお話しようと思います。

◆情報は信用できない
今でも、写真とか録音は犯罪捜査の証拠になりますし、有名人の男女が2人でいる写真を撮られたらニュースになることがあります。
しかし、そんな写真画像は、いまや誰でも作ることができると言って良いと思いますし、今後は、ますます簡単にリアルなものを作ることができるようになります。
上のトランプ前大統領の画像もそんなもので、それを見て信じた人が沢山いたわけです。
そして、冒頭で述べたプーチン大統領が、アメリカへの核攻撃を宣言する本物と区別がつかない動画映像を簡単に作ることができるようになってきました。
これらはAIの発達によるもので、それらのフェイク(嘘)に騙されないためにも、AIの基本的な仕組みと使い方を知っておく方が良いのではと思われます。
AIの基本を知ることで、目の前のデジタル情報が偽物の可能性があることを認識し、簡単に騙されなくなります。

◆AIの仕組み
AIは機械学習によって賢くなりますが、機械学習とは沢山のデータを学習して、データの中の特徴を捉えることです。
たとえば、AIは猫の画像を沢山見て学習すると猫の特徴を発見し、絵を描くプログラムと協力して、モデルなしで猫の絵を描くことが出来るようになります。人間も、基本的に同じことをしています。
同じように、プーチン大統領の映像や声を沢山学習すれば、AIはプーチンの姿や表情や癖や声の特徴を捉え、映像作成プログラムや音声作成プログラムと協力してプーチンのリアルな映像や声を作り出すことが出来ます。
そして、今や、本物そっくりのプーチンの映像や声を作り出すのに十分なデータを、インターネットで誰でも集めることが出来ます。
上のミッドジャーニーには、すでに、トランプ前大統領の画像の十分な学習済みデータがあり、あのフェイク画像を作った人は、ほとんど何の手間もかからなかったのです。
機械学習データを使って画像や動画や音声を作成できるプログラムも沢山あり、無料または低価格で誰でも使えます。
よって、プーチンのアメリカ核攻撃宣言の動画は誰でも作ることができると言って良く、今後はさらに簡単に作れるようになるでしょう。

◆誰でも被害に遭う危険がある
では、模倣できるのは、映像や声が沢山公開されている有名人だけかと言いますと、そうではありません。
声に関して言えば、誰の声を模倣することも、かなり簡単になっています。
沢山の人の声を学習したAIは、ターゲットとなる人物の少しの言葉でも聞けば、その人物の声の特徴をかなり推測できます。そして、少し長い会話でも聞けば、ほぼ正確に声を模倣することが可能です。
例えば、あるお金持ちの息子さんの会話を少し録音したら、その息子さんと同じ声で話し、少し長い会話を録音できれば話し方の癖も真似できます。そんな声で、「お父さん、困ったことになったからお金を振り込んで」と電話すれば、いわゆるオレオレ詐欺を非常に高度に行えるわけです。

◆ITリテラシーの必要性
テレビも自動車もインターネットも、実際にはほとんど誰も、その仕組みを知りませんが、使わないと社会から取り残されます。
特定の人だけが自動車や電話を使える時代には、それらを使える人が圧倒的有利でした。
AIも同じですが、実際に今、AIを使える人と使えない人の差が大きくなってきています。
テクノロジーが進歩するほど、テクノロジーを使える人とそうでない人の差は大きくなり、AIに関して言えば、その差はやがて極端になると思われます。
とりあえずは、AIの仕組みよりも、使い方が分かることで、自分に仕掛けられた悪意を見抜くことができるようになると思います。
ただ、AIの仕組みが少し分かっている方が、自分がAIを活用する時に、効果的にAIを使えますので、ごく簡単なことは理解しておくと良いでしょう。

以上です。

◆楽しいAI体験から始める機械学習 ~算数・数学をやらせてみたら~(Kay・MrΦ著。技術評論社)

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2020年4月23日木曜日

ビッグデータと機械学習

自動車と馬車の違いだって、厳密に説明するとしたら、それらの専門家でなければ不可能ですが、普通には、簡単に説明すれば良いことです。
「ビッグデータと機械学習の違い」、「機械学習とディープラーニングの違い」も、本当は易しく語って良いはずですが、今はまだ、これらについて、専門家しか語らないから、難しく思えるのです。
しかし、今や誰もが、ビッグデータと機械学習、そして、機械学習とディープラーニングを区別しつつ解っている必要があります。
そして、自動車を運転するためには、自動車の専門知識ではなく運転の仕方さえ知っていれば良いように、ビッグデータ、機械学習、ディープラーニングについても、これらを役立てる方法を知っていれば良いのです。

◆機械学習とディープラーニングの違い
まず、機械学習とディープラーニングの関係は、電車と新幹線の関係と同じです。
新幹線が電車であるように、ディープラーニングも機械学習です。
数学の「集合」で言うと、次のようになります。
※「a∊A」は、「aは集合Aの要素」という意味です。

新幹線 ∊ 電車・・・新幹線は集合「電車」の要素
ディープラーニング ∊ 機械学習・・・ディープラーニングは集合「機械学習」の要素

高級な電車が新幹線であるように、高級な機械学習がディープラーニングなのです。
逆の言い方をしても、この2組(電車と新幹線、機械学習とディープラーニング)はよく似ています。
つまり、新幹線も電車ですが、電車が新幹線とは言いません。
同じく、ディープラーニングも機械学習ですが、機械学習がディープラーニングとは言わないのです。

◆ビッグデータと機械学習の違い
ビッグデータと機械学習は、目的は同じですが、根本的に違うものです。
共に目的は、沢山のデータを使って推測を行うことです。
では、重要な違いは何でしょうか?
ビッグデータでは、データを数学的手法で分析して推測します。
よって、ビッグデータ分析は、データサイエンティストと呼ばれる専門家でなければ不可能です。
一方、機械学習では、AIがデータを分析し、推測しますので、AIにそれを行わせる人間に必要なスキルは、その前段階の作業をするだけです。
前段階の作業とは、データを整理することです。
よって、機械学習は誰でも使えます。
確かに、前段階のデータ整理のやり方は習得する必要がありますが、それほど難しくはありません。
ビッグデータの場合も、前段階のデータ整理は当然ありますが、それは、後のデータ分析と一体であり、難しいものです。

◆ビッグデータと機械学習のデータ量
データ量に関しては、通常、ビッグデータの方が機械学習より、ずっと(あるいは、桁外れに)多く必要です。
一概に言えませんが、ビッグデータでは、ゴミのようなデータも捨てずに取り入れ、普通には想像もつかないような多量のデータを使うことがよくあります。
しかし、機械学習のデータは、出来る限り整理された「きれいな」ものを選び、とんでもない量のデータを扱うことは、普通ありません。
それで、どちらの推測の方が精度が高いかと言いますと、それは、あくまでデータサイエンティストの能力や、AIの性能によります。
また、いずれを使うべきかは、場合によります。
例えば、データ量があまり多くない場合は、機械学習が有利、あるいは、機械学習しか使えません。
しかし、莫大なデータ量のビッグデータが、恐るべき正確な予測をすることもあります。

◆ビッグデータと機械学習の融合
すると、こんなことを思いつくかもしれません。
ビッグデータのデータを、データサイエンティストが分析すると同時に、機械学習させるということです。
確かに、それが良い場合があり、実際に行われています。
そして、その結果、同じような推測結果になる場合もあれば、かなり、あるいは、全く異なる推測結果になる場合もあります。
ただ、機械学習では、扱えるデータ量に限界がありますので、純粋にビッグデータ分析を行う場合と比べ、データの選別を行う場合が多いでしょう。
けれどもそれは、ビッグデータの良さを損なうかもしれません。

◆一般の人が使う道具
ビッグデータと機械学習の使い分けが必要ですが、ビッグデータは、極めて多量のデータを必要としますし、分析に専門的なスキルが必要になります。
つまり、専門家のものであり、誰でも出来る訳ではありません。
しかし、機械学習は一般の人でも使えるものであり、実際、誰もが使う必要があるものです。
よって、我々は、機械学習のやり方を身に付けるべきと思います。

ブログオーナーKayのAI書籍です。
数学講師Mr.Φとの共著です。

足し算、掛け算、素数判定、モンティ・ホール問題、東大入試数学出題分野予測、シュレディンガーのエイリアン、囚人のジレンマ等、面白い問題の回答をAIに推測させます。
これらのデータを作成出来るExcelマクロのシミュレーションプログラムが無償ダウンロード出来る特典付です(東大入試のみ別方法でデータ作成しましたので含まれません)。