2021年8月26日木曜日

シンギュラリティの本当の意味

 「シンギュラリティ」の正しい意味を、分かり易く説明しょうと思います。

「シンギュラリティ」の概念を提唱したレイ・カーツワイルの著書『シンギュラリティは近い』や、彼のTEDでの数回の講演を参考にしています。

※レイ・カーツワイル

アメリカの著名な発明家、AI研究者。Googleの開発責任者。


◆世間で言われているシンギュラリティ

多くの人はシンギュラリティという意味を、「AI(人工知能)の知性が人間の知性を超えること」であると考えていると思われます。

そして、その時期は、専門家の予想の平均では、だいたい2045年です。

しかし、これは、あくまでシンギュラリティの結果の1つと考えるべきと思います。

他の、シンギュラリティの結果としては、例えば、地球人類の銀河系外進出があります。こちらは、時期は全く不明であるばかりか、「絶対に不可能」と言う専門家が圧倒的なはずです。

ところが、シンギュラリティの概念を提唱した張本人であるレイ・カーツワイルは、これも可能であると述べます。そもそも、大昔の人にとっては、飛行機すら可能と思えなかったはずです。

シンギュラリティにおいては、空想でしかなかったことが現実になります。

では、シンギュラリティとは、本当は何なのでしょう?


◆カーツワイルの当面の計画

現在(2021年5月)、73歳のカーツワイルは、いずれ、人類は機械の身体を持ち、死はなくなると言います。

そして、それは、遠い未来の話ではなく、カーツワイル自身も、そうなると言っています。

しかし、テクノロジーに詳しい人も含め、大半の人が、そのようなことは、仮に出来るとしても、まだまだ相当先のことと思っているでしょう。

なるほど、確かに、現在のヒューマノイド(人間型ロボット)の技術は驚くべき進歩を遂げていますが、人間とはまだ大きな差があるからです。

しかし、そんな考え方をするのは、シンギュラリティの意味を分かっていないからだと思われます。

逆に言えば、シンギュラリティが分かれば、それは可能であると考えられるのです。


◆指数関数的な進歩

時間と共に、量が極端に増加することを、我々はよく「指数関数的」という数学の言葉で表現します。

これは、指数関数の、

y=a^x(aのx乗)

において、aが1より大きく、xが正の整数(0,1,2,3,...)の場合を言います。

ここで、a=2とすれば、yは、

1,2,4,8,16,32,64,128,256,512,1024,2048,...

と、なり、x=20(2の20乗)になれば、1,048,576というとても大きな数字になります。

これをX-Yグラフにすれば、xの値が大きくなる(X軸を右に移動する)ほど、yの値の増加度合いはぐんぐん大きくなり、やがて、yの値が大き過ぎてグラフはほとんど縦の垂直になります。

そして、テクノロジーの進化は、指数関数的であることを、レイ・カーツワイルは詳細な検証により、提示しています。

つまり、xを時間、yをテクノロジーの達成度合とすれば、時間が経てば経つほど、テクノロジーは急激に進歩するのです。

簡単に言えば、これまで100年かかっていたような進歩が、いずれ、1日とか一瞬で達成されるということです。


◆乗客輸送手段のテクノロジーの進歩

テクノロジーの進歩が指数関数的であることは、コンピューター関係の進歩で説明する人が多いですが、ここは渋く、乗客輸送手段で見てみましょう。

人類が馬に乗ることを始めたのは紀元前4500年頃と推測されており、そこから2000年近くかかって、馬車という原始的テクノロジーが、紀元前2800年頃の古代メソポタミアで使われていたと言われています。

ジェームズ・ワットが実用的な蒸気機関を発明したのは1776年で、1802年にリチャード・トレビシックが蒸気機関車を開発しました。

つまり、馬車から蒸気機関車まで5000年近くかかっています。

しかし、その後、僅か80年で、1879年には、ベルリン工業博覧会で電機会社シーメンスが電車の試験運行を実施するという歴史的な出来事が起こりました。

そして、その後の電車の進歩はどんどん加速します。

1964年には、世界初の高速鉄道である東海道新幹線は最高時速が210km、その50年後の現在、時速300km超が可能であり、今後は、数年から10年で、時速500km超のリニアモーターカー、時速1200kmのハイパーループや、それに匹敵する(あるいはそれ以上)ものが登場する可能性があります。

もちろん、陸上だけでなく、乗客輸送手段は、飛行機やジェット機が一般化し、イーロン・マスクのスペースX社では、ロケットによる一般輸送や、2030年代の一般の火星移住をも目標にしています。

これらから見て、乗客輸送のテクノロジーは、一定速度で進歩するのではなく、時と共に、指数関数的に進歩していることが分かるのではないかと思います。


◆そしてシンギュラリティ

テクノロジーの進歩が指数関数的とすれば、例えば、ある時期まで3000年かかったようなことが、次の100年で達成され、次は10年、その次は1年とどんどん速くなり、やがて1日を切ることも考えられます。

レイ・カーツワイルは、21世紀までの人類の2万年の進歩は、21世紀の100年で軽く上回ると言います。

そして、いずれ起こる、テクノロジーの進歩が無限大の速さになることを、シンギュラリティ(技術的特異点)と言います。

ところで、一般には、AIが人間の知性を追い越す2045年がシンギュラリティであると言います。

これを、シンギュラリティの広い意味で捉え直すと、次のようになります。

AIが人間の知性を追い越せば、そのAIが自分より優れたAIを作り、さらに、そのAIがまた自分より優れたAIを作る・・・そんなループが始まり、その進化速度は全く想像が出来ないほど速くはるはずです。

例えば、初めて人間の知性を超えたAIが人間の10倍賢いAIを作るのに1年かかったとして、その人間より10倍賢いAIは、人間より100倍賢いAIを数日で作るかもしれません。

さらに、いつか、人間の1万倍賢いAIは、人間の1憶倍賢いAIを1秒以下で作るといった具合です。

そうなると、進歩の速さは無限大とも考えられ、人類に不可能はなくなり、人類は銀河系を飛び出し、宇宙全体を征服するとカーツワイルは予想します。

ただし、いかにAIが賢くなっても、AIが主になるのではなく、AIはあくまで人間の能力を拡張するものであり、何を目的に銀河系外に行くかは人間が決めないと、それは起こりません。

AIが自発的に「銀河系外に進出をしよう」とは言わないのです。

ただ、人間に対しAIが「銀河系の外に行けば、こんなメリットがある」と提案することがあるだけです。

決意、決心は人間の特権なのです。

ところで、テクノロジーの進歩は、あくまで理屈の上でのことという面もあり、別の理由により、テクノロジーの進化が止まることが予想され、おかしな話かもしれませんが、宇宙人が侵略してこない理由もちゃんと説明出来ます。それは次回の話題とします。

 

以上です。

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2021年4月29日木曜日

AIは人間を助ける道具

 1940年代からのSF小説や映画の影響で、多くの人々に、AI(人工知能)に関する大きな誤解があります。

AIは、釣瓶(つるべ)や電卓やグーグル検索のようなものだということを説明しようと思います。


◆人間と張り合うAI

1966年にアメリカでテレビ放送が開始され、今だ人気が高く、新作映画も作られる『スター・トレック』は、アメリカのみならず、著名人を含む世界中の人々に影響を与えています。

オバマ元米国大統領も『スター・トレック』のファンで、その世界観が好きだと表明しています。

この作品では、AIという呼称は使われなかったかもしれませんが、初期の頃から、人間のように思考するコンピューターが登場しました。

そんな思考するコンピューターを、とりあえず、ここではAIと呼びましょう。

『スター・トレック』では、優秀なAIが、重要な作戦においてカーク船長と全く異なる計画を提示し、AIは、自分が立てた計画は論理的にカーク船長のものより正しいと主張します。

そして物語は、「やっぱりAIはカーク船長より優れている」と思わせる展開となりますが、それは状況が想定内にある場合で、予期しなかったことが起こり、大ピンチに陥った時、カーク船長の、必ずしも論理的ではないけれども(それどころか非論理的とも思える)人間味ある決断が状況を打開し、カーク船長達は輝かしい勝利を掴みます。

このような物語を見て、人々は、AIについて、次のような観念を持つに至ったと思います。

(1)AIの知性は、いずれ、人間の知性を超える。

(2)しかし、AIが、いつも正しいとは限らない。

(3)そして、AIは、致命的な間違いを犯す危険がある。

ここには、「人間 vs AI(人間とAIのどちらが優るか)」の構図が見られ、これが人類のAI観になっているように思います。


◆AIは芸術家になれるか?

AIが描いた絵というものを見たことがあるかもしれません。

抽象的な、あるいは、シュール(超現実的)とでも言うしかないようなものが多いと思いますが、割と普通の絵もあります。

そして、「AI絵画は芸術的か」などといった議論が起こりましたし、今後も起こると思います。

また、電子音楽を得意とする有名な音楽家が「AIの作曲能力は既に人間以上」と語ったことがあります。

さらには、「AIに小説が書けるか?」という議論があり、実際にAIが書いた文章の例もあるようです。

そして、ここでも、「いずれ、AIが作る絵や音楽や小説は人間の作品を超えるのではないだろうか?」という考えがあり、やはり、「人間 vs AI」の構図があります。


◆発想の転換

先に結論を言いますと、「人間 vs AI」の対立構図は間違いであり、成立しません。

AIはあくまで、人間を助け、人間の能力を拡張するものです。

例えば、こんな感じです。

チェスで人間はもうAIに敵わないと言われています。

また、囲碁の世界王者がAIに負けたことが話題になったことがあります(現在はAIの圧勝だそうです)。

しかし、人間とAIが役割分担をして協力すれば、つまり、「人間+AIチーム」は、AI単独、人間単独より強いのです。

正しく言えば、AIが人間の棋士の能力を拡張すれば、その「人間の棋士」はAIより強くなるのです。

このように、人間とAIは協力するものであり、対立するものではありません。


◆インターネットはAI?

昔、司馬遼太郎は、大作の小説を書く際、トラック一杯の資料を集めたと言われていました。

それほどでなくても、昔の作家は、辞書や百科事典はもちろん、文献やその他の資料を苦労して集め、調べながら書きました。

しかし、現代の作家は、高度な資料は別にしても、多くのことでは、グーグル検索で調べれば用が足ります。

逆に言えば、今ならグーグル検索で簡単に調べられることを、昔の作家は、時には何日も、場合によっては何か月も調べて書いたのです。

このグーグル検索が、人間の能力を拡張するものと言えます。

ならば、グーグル検索はAIと言えるかもしれません。

これについて、次のような話があります。

テクノロジー雑誌WIRED創刊者のケヴィン・ケリーはTEDでの講演でこんなことを言っています。

「未来の人が、現在のAIを見たら、『これはAIじゃない。インターネットだ』と言うはずです」

昔の人から見れば、人間の能力を拡張するグーグル検索は、凄いAIなのです。

そして、さらに昔の人から見れば、計算で人間の能力を拡張する電卓だって、凄いAIです。

未来のAIは、人間の能力を拡張する度合いが、現在のグーグル検索に比べ、桁外れに大きいと言うだけです。

このように、AIとは、あくまで、「人間の能力を拡張する道具」なのです。


◆AIと協力する

AIが自発的に絵を描いたり、作曲したり、小説を書くことはありません。

「AIが作曲した」と言っている場合も、必ず、「人間がAIに作曲させた」のであるはずです。

そして、作家は、AIで能力を拡張すれば、より優れた小説を書くことが出来るようになります。

音楽も絵画も同様です。

人間だけで作曲したり、絵を描いたりするより、AIと協力してやった方が、優れた音楽や絵画が生まれます。

芸術、クリエイティブ分野に限りません。

人間の医者だけなら成功率30%の手術が、AIと協力することで成功率は90%になるかもしれません。

教師であれば、従来の勘と経験の教育では伸ばせなかった(逆に駄目にしていた)生徒の成績を上げ、才能を引き出し、生徒の未来を明るいものに出来るかもしれません。

製品やサービスの企画、マーケティングでも、人間だけでやっていた時より、AIと協力することで良い成果を出せるようになるはずです。

AI医師、AI教師、AIビジネスマンが人間の医師や教師やビジネスマンを駆逐するのではありません。


AIが人間の能力を拡張するとしても、それで、人間の自尊心が傷付くはずがありません。

あくまで、主は人間です。

2400年前の『荘子』に、こんな話があります。

苦労して井戸から水を汲み上げている老人に、孔子の弟子が「今はつるべ(釣瓶。滑車などを指す)という便利なものがあり、それを使えば楽に水を汲めます」と言うと、老人は「それでは労働の尊さが損なわれる」と言って怒ります。

この場合は、つるべがインターネットでありAIのようなものです。

しかし、つるべが水汲みを楽にしたからと言って、この老人の自尊心が傷付くなど、おかしなことであることが分かると思います。

つるべが勝手に水を汲んだりしません。あくまで、人間が水を汲む手伝いをするだけです。

そして、人間は、楽になった分、人間にしか出来ない能力を発揮すれば良いのです。

井戸の水汲みなど「つるべ」にまかせれば良く、当たり前の情報収集はグーグル検索にまかせれば良いのです。

足し算、掛け算は電卓にやらせれば良いようにです。

「AIが進歩すれば人間が失業する」などというのも嘘で、AIの協力を得て人間が行う仕事は高度なものになり、創造性を必要とする仕事が新しく生まれ、仕事はむしろ多くなると思います。

人間の役割は、現在よりも創造的なものになるのです。

また、「AIが間違った危険な判断をする」というのもおかしな話なのです。

AIは、あくまで、人間の判断を補助するだけで、決定するのは人間です。  


ただし、インターネットもグーグル検索も、悪い使い方というのは確かにあり、そこには気を付けないといけません。

それが、高度なAIとなると尚更です。

AIが危険なのは、決して、AIが「自主的に」人類を征服したり、非人道的な決定をするからではありません。

しかし、人類を征服しようとする者や、自分の利益のために非人道的なことも避けようとしない者が悪用すれば、AIは非常に危険なものです。それほどの能力がありますし、さらに、どんどん強力になっていきます。

AIについて、我々が注意し、監視しなければならないのは、AIを使う人間、そして、その使い方なのです。


以上です。

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2021年3月11日木曜日

SNSに言論の自由はあるか

 インターネットは自由と平等とイノベーション(変革)のためのツールであり、これによって、一般の個人が、国、大企業と平等に発言出来る時代が来たと言われました。

しかし、それは幻想だったかもしれません。


◆主要メディアは今も強大

民主主義国家では、誰にでも言論の自由が保障され、また、報道機関はジャーナリズム精神に則り、公正に真実を伝える努力をする義務と責任があります。

しかし、個人に発言の自由があるといったところで、昔は個人には発言の拡散手段がほとんどありませんでした。

確かに、近年、インターネットが発達し、誰でも情報発信者になれるようになりました。

とはいえ、結局のところ、よほど集団化しない限り、インターネットでの発言には、ほとんど影響力はありません。

インターネットの中には、普通の人でありながら影響力を持つインフルエンサーと呼ばれる人がいますが、その影響力は主要メディアとは比較にならない小さなものです。


◆メディアを制する者が世界を制す

最近、インターネット上で「陰謀論」というものが人気があります。

「陰謀論」とは、表に現れない巨悪が世界を征服しつつあるという都市伝説みたいなものですが、政府や大企業の秘密の暴露のような面もあり、あまり信じない程度に見れば面白いと思います。

「陰謀論」では、世界を侵略しようとする悪者は、DS(ディープ・ステート。闇の勢力)と呼ばれ、DSは既にアメリカや日本等の民主主義国家を侵略しつつあるとされています。

では、DSはどうやって世界征服を進めるのでしょうか?

まず、DSは、主要メディア(テレビ局や新聞)を操り、その影響力を利用して大衆の思想を支配します。

どうやって主要メディアを操るのかと言いますと、まず、主要メディアに多額の広告を出す顧客になりますが、これが今の時代にマッチしています。

と言いますのは、ずっと前から、新聞、テレビは、インターネット広告の台頭で広告収益が激減し、大口の広告客やスポンサーは喉から手が出るほど欲しいからです。

そこで、主要メディアの大得意客になり、さらには、主要メディアに多額の投資も行うDSは、広告による巧妙な思想操作と共に、新聞やテレビの報道内容にまで介入出来ます。戦後の混乱期からの利権の獲得競争に勝ち残ったDSは資金力が豊富です。

次に、DSは、共産主義国家で行われているように、インターネットのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の言論も検閲しようとします。

SNSでDSの陰謀が漏洩すると、民衆が目覚めて抵抗勢力を起こす恐れがありますので、DSはSNSを監視し、都合の悪い情報は徹底弾圧します。

では、SNSを支配する方法ですが、こちらはDSにとっては比較的簡単なようです。

SNSでは、「ビッグテック」と呼ばれる巨大IT企業が運営する、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブが圧倒的シェアを持ちます。

そして、まだ歴史の浅いビッグテックは、CEO等トップに権力が集中しています。

そこで、ビッグテックのトップの弱みを握ったり、様々な脅しで圧力をかけるなど、あらゆる手段を使ってビッグテックを操り、ビッグテックが運営するSNSから、DSの世界侵略の計画の妨害になる言論を弾圧させます。

確かに、「陰謀論」はかなり空想的なものでしょうが、次項のお話のように、思わぬ現実である部分もあります。


◆主要メディアの危機

たとえば、こんなことに思い当たらないでしょうか?

アメリカでも同様ですが、日本人の多くは、アメリカ合衆国前大統領ドナルド・トランプ氏について、「パワフルであるが人格的には大きな欠陥がある人物」というイメージを持っています。

なぜ、そうなったのかと言いますと、単に、アメリカの主要メディアの全てがそう報道し、日本のテレビや新聞は、提携しているアメリカの主要メディアの報道をそのまま翻訳して報道するからです。

その中で、2020年の12月頃、主要メディアが決して報道しない面白い事件がありました。

アメリカの非営利の調査報道NPOであるプロジェクトベリタスの代表者ジェームズ・オキーフ氏は、最大級のニュース放送局であるX社の朝のテレビ会議の録音をSNS上に公開しました。

※X社の実名は後で述べる理由で隠します。

X社の内部の人間が録音したものを、オキーフ氏が手に入れたもので、それはX社の内部告発と言えるかもしれません。

その中には、X社の社長始め、幹部達の電話会議での肉声が録音されています。

X社社長が、「ドナルド・トランプがまともな人間でないことを民衆に印象付ける」よう、また、トランプ氏が新型コロナウイルスに感染した際には、トランプ氏は治療で使用した特別な薬の影響で精神異常を生じていると信じさせる報道をするよう、幹部達に指示していました(いずれも全く根拠はありません)。

オキーフ氏は、何日分もの会議の録音を公開し、その内容は、上記のようにジャーナリズム精神に反するでした。

しかし、多くの人が、権威あるX社の報道内容を真に受けたはずです。

都市伝説であるはずの陰謀論のようなことが、実際に、しかも、アメリカ最大級のメディアで行われていた訳です。


◆SNSの危機

今はSNSがありますので、上記のオキーフ氏のような人の活躍で、主要メディアの隠された真実を普通の人が知ることが出来ます。

このように、SNSは、主要メディアがおかしくなった時の正義の騎士の役割を果たすはずでした。

ところが、オキーフ氏のSNS上の投稿は強制削除され、さらに、オキーフ氏のSNSアカウントまで抹消されて、彼はSNSが使えなくなりました。

さらに、このことについて語るSNS記事が削除され、投稿者のアカウントが抹消されるかもしれません。そうであれば事実上の言論検閲です。

ご存じかもしれませんが、トランプ前大統領もあらゆるSNSのアカウントを抹消され、SNSでの情報発信が出来なくなっています。

なぜトランプ氏のSNSアカウントが抹消されたのかと言いますと、SNS運営会社の説明では、トランプ氏が民衆を扇動する誤った内容の投稿を行ったからで、主要メディアもそう報じましたので、やはり多くの人々はそれを信じました。

それが事実かどうかはここでは問題にしませんが、発言の内容の是非を決定する権限があるのは裁判所(つまり法律)であり、SNS運営会社ではないはずで、この観点から、ドイツ・フランス政府、メキシコのオブラドール大統領、オーストラリアのマコーマック副首相、そして、多くの米国民が、トランプ氏の言論封殺に対し、SNSを運営するビッグテックに抗議を行いました。

しかし、今や、強大な力を持つビッグテックは、自国政府や国民、また、いかなる国の抗議にもビクともしない権力を持っていることを思い知らされる結果になりました。

今や、世界最大の権力者であるアメリカ大統領の言論すら1企業のCEOの意思で封殺出来るというのが事実だと気付かされたのです。

大統領ですらそうなのですから、その気になれば、あらゆる言論の封殺は容易いことだというのが現実です。

かつては自由な発言のプラットフォーム(環境)であったSNSは、公開する発言を運営者が決める場所になっているのかもしれません。

陰謀論によれば、主要メディアとSNSを操るDSの世界征服はかなりのところまで来ているという訳です。

以上です。

当ブログオーナー、KayのAI書籍です。

Sonyの無料AIアプリケーションNNCを使い、楽しい実習を通して、AIの考え方を理解し、自分のオリジナルのAIを作ることが出来るようになることを目指して書きました。
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2021年1月27日水曜日

AIが最優秀な人間の頭に優ったこと

 我々は、地球が丸いことや、地球が自転しつつ太陽の周りを公転していることを知っています。

しかし、ほとんどの人は、そういったことを、本当に明白に理解している訳でも、また、自分で確かめた訳でもなく、単に、教科書に書かれていて、先生からもそう教わったので「解っている気になっている」だけと思います。

日本のように、全員が地球球体説や地動説を信じている国はむしろ珍しく、地球が平たいとか天動説を信じている人は、世界には珍しくありません。

スティーヴン・ホーキングの世界的ベストセラー『ホーキング宇宙を語る』の序章に、イギリスの偉大な数学者・哲学者・論理学者であるバートラント・ラッセルが、イギリスの地方の人々に地動説の講演を行った時の話があります。

講演後、ラッセルは、世界は亀の背中の上だと主張するお婆さんに言い負かされてしまいます。

そして、ホーキングは、未来の人から見れば、我々と、このお婆さんに差はないと言います。

「そんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、そうかもしれないと思わせることが起こっています。


◆最低の馬鹿と言われた世界一IQ(知能指数)が高い女性

1990年の話です。

アメリカで、モンティ・ホール氏が司会を務めるテレビの娯楽番組で、こんなゲームが行われていました。

今日では、このゲームは「モンティ・ホール問題」という重要な数学問題になっています。


このゲームは、モンティ・ホール氏と1人の挑戦者との、2人の勝負として行います。

挑戦者の前には、A、B、Cの3つのドアがあり、そのどれか1つに景品の新車が入っていて、挑戦者が、新車が入っているドアを当てると、それを貰えます。

例えば、挑戦者がAのドアを選んだとします。

この時点では、まだAのドアを開けません。

そして、モンティ・ホール氏は、残りのBとCのドアのうち、新車が入っていない方のドアを開けます。

例えば、Bのドアを開き、その中には新車が入っていないことを示します。

そこで、モンティ・ホール氏は挑戦者に、

「このままAを選んでもいいですし、Cに変えても結構です」

と言います。

新車は、AかCのいずれかのドアの中に入っていますが、どちらに入っているかを挑戦者は知りようがなく、挑戦者が新車を得る可能性は50%です。


このゲームに対し、世界一IQが高いと言われる女性マリリン・ボス・サバント氏が、雑誌に「挑戦者は、選択するドアを変えるべき。それで正解率は2倍になる」と発表しました。

これに対し、「そんなはずがない」という、1万通もの批判の投書が殺到します。その投書の送り主には、百人の博士号保持者もいたと言われます。

その中の、大学教授を務める数学博士は、サバント氏を「大馬鹿者」と、公然と侮辱しました。

この数学博士を含め、ほぼ全ての人が、「ドアを変えようが変えまいが正解の確率は1/2に決まっている」と断言し、サバント氏がいくら説明しても無駄でした。

ところが、高名な数学者ポール・エルデシュ氏の弟子が、自分のパソコンでシミュレーションを行ったところ、なんと、サバント氏が正しいことが分かりました。

この記事の筆者である私は、昨年、出版した著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)に、私が作った、モンティ・ホール問題のシミュレーションプログラムを載せました(VBA言語で書かれ、マイクロソフトExcel上で動きます)。

別に難しいプログラムではなく、当時のパソコンに無料で付いていたBASIC言語でも、十分、作ることが出来ます。

そんなプログラムで、サバント氏が正しいことがはっきり分かります。


◆理屈では決して理解出来ない

このモンティ・ホール問題を、理論的に説明する人が世界中に沢山います。

それは書籍や雑誌にも掲載され、子供でも解るように、図を駆使して懇切丁寧に説明したものもあります。

しかし、どんなに丁寧に、工夫し、上手く説明しても、「腑に落ちる」、つまり、直観的に、「なるほど!!」と思うことは絶対にないと思います。

それは、上に書いたように、並外れて頭の良い科学者でも解らなかったことや、このモンティ・ホール問題を、1冊の分厚い本で解説した著名な数学者がいることなどからも解ると思います。

実際、いまでも、モンティ・ホール問題を理屈で分かる人は、ほぼいないと思います。

まあ、サバント氏のように、IQが228もあるような人は別かもしれませんが・・・


◆AI(人工知能)は「モンティ・ホール問題」を簡単に理解出来た

ところで、筆者は、上記の『楽しいAI体験から始める機械学習』で書きましたが、モンティ・ホール問題のシミュレーションプログラムの実行結果をAIに学習(機械学習)させたところ、AIはあっさりと、モンティ・ホール問題を解いてしまいました。

ある著名な宗教人類学者が著書の中で、「誰かと2人で、モンティ・ホール問題のゲームを1万回やれば解る」と書かれていましたが、実際には、そんなことは不可能ですし、仮に、本当に1万回やっても、結果の記録(ドアを変えた場合、正解率が2倍になる)を見て「不思議だなあ」と思うだけでしょう。

しかし、AIは100回やれば大体見抜き、1000回で、ほぼ完全に理解しました。

AIは、「思考するマシン」ではなく、「推測するマシン」です。

つまり、AIは、モンティ・ホール問題を、論理的に解けるのではなく、結果を高い確率で推測出来るのです。

モンティ・ホール問題は、数学的には、挑戦者がドアを変えなかった場合に正解する確率は33.33%で、ドアを変えたら、正解する確率は66.67%です。

コンピューターで十分な数のシミュレーションを行うと、ほぼ、これとぴったりの数値が出ます。

AIの場合、AIの「モデル」の作り方で精度は変わるのですが、モンティ・ホール問題に関しては、簡単なモデルでも、ほぼ理論値通りの推測が出来ました。

つまり、今のAIにとって、モンティ・ホール問題は、簡単な問題なのです。

けれども、人間は、相当に頭が良い人でも、どれほど論理的思考や推測をしても、モンティ・ホール問題を解けないのです。

人間には解けない難しい問題を解く場合、

(1)コンピュータープログラム(シミュレーション等)で解く

(2)ビッグデータで解く

(3)AIで解く(現代ではディープラーニングが主流)

が考えられ、適切なものを選ばなければなりません。

AIで出来ることとビッグデータで出来ることは似ていて、根本的には同じであることも多く、同じ問題を両方でやってみることも多いと思います。

ただし、AIは、ビッグデータに比べれば簡単に使うことが出来るというメリットがあります。

AIで解くべき問題にAIを上手く適用することで、比較的手軽に、経済、政治、軍事、スポーツ等でライバルに勝てる可能性が高まり、医療、教育等でも飛躍的に効果を上げることが出来る可能性があります。

そして、AIは、実に多くのことに適用出来るのです。

目の前の問題にAIを適用出来るか?

そのためには、問題をどう捉え直せば良いのか?

それが解る優秀な人材が数多く必要になるはずです。


以上です。

記事中で取り上げました、当ブログオーナー、KayのAI書籍です。

数学やプログラミングでAIを語るのではなく、AIを使って問題を解決するための考え方を、楽しい実習を通して理解出来るようになることを目指しました。
Excelが使えるスキルがあれば、理系・文系を問いません。

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2020年12月29日火曜日

正しい情報を得るスキル

 ITが解らないと不都合であることが、ますます多くなってきていると感じます。

ITが解るとは、単に、パソコンやスマートフォンを使えるといったことではなく、それらの機器で使うアプリやサービスの安全性や、 社会の中でITがどのように機能しているか等を理解していないと、ITに強い人や組織、そして、ビッグテック(巨大IT企業)に監視・支配されたり、思わぬ不利益を被る可能性があると思います。

特に、日本では、ITに関する法律が甚だ不十分であるため、ITによる損害に対し、誰も助けてくれない可能性があります。

また、以前は、ITをうまく使うことで成功した作家や音楽家等のクリエイターが話題になりましたが、いまや、才能があっても、ITを活用出来なければ、世に出るのは難しいのではないかと思います。


◆IT用語が重要な訳ではない

現在、ITのトレンドであるものと言えば、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、IoT(もののインターネット)、AI(人工知能)等はよく聞きますが、さらに、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)等も、重要度が上がっています。

逆に、ITの用語の中には、重要そうに宣伝されていても、全く重要ではないものもあります。

昔だって、本当は重要でない横文字は沢山ありました。

今で言えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉が、すごく重要だと言う人がいて、そんな人達が、それを知らないことが、いかにも時代遅れで恥ずかしいと思わせたいように話すこともありますが、別に知らなくても良い言葉です。

そもそも、ITの用語で、知らなくて恥ずかしいものなど、実際にはありません。

なぜなら、ITは、本で読んで知っていても、知らないのとほとんど変わらず、自分でやってみて初めて分かることだからです。

スマートスピーカーという言葉を知らなくても何の問題もありませんし、すっかりお馴染みのクラウドという言葉だって、本当に解っている人は多くありません。

重要なことは、用語ではなく、実践です。


◆ITが分からないと理解出来ないこと

ITが分からないと、漠然とした状況すら掴めない事例として、今年のアメリカ大統領選挙がそうだと思います。

内容には立ち入りませんが、トランプ大統領は、大規模な選挙不正が行われ、それよって、本当は自分が圧勝しているはずが、バイデン候補が勝ってしまったという理由により、訴訟を起こしています。

これに対して、CNNやニューヨークタイムズ等のアメリカの主要メディアは一致して、大規模な不正の証拠はないと口を揃え、「裁判所は、トランプ側の主張に正当性がないと言って棄却している」と報道しています。

従って、現時点では、大半の日本人は、「大統領選挙はバイデン候補が勝ち、1月にはバイデン政権が発足する。トランプが何か騒いでいるようだが、彼はもうお払い箱だ」と何の疑いもなく思っているはずです。

しかし、実際には、現時点では、次の大統領が誰かは全く決まっていないのです。


◆中国問題

中国問題についても、ITが分からないと、本当の姿が見えません。

今や、中国は、孔子や老子の時代のイメージとは程遠く、電子システムによる中央集権化を目指すサイバー国家であり、政府レベルでITは驚異的に進んでおり、日本とは比較になりません。

だから、ITを理解出来なくては、そんな中国が、本当は何をやっているか、やろうとしているかは分かりません。

そして、中国の動きは、日本、そして、我々のビジネスや生活、そして、世界に大きく影響を与えますが、ITを理解していないと、それに気付きもしない可能性があります。


◆偉い弁護士もITリテラシーが必要

アメリカ大統領選挙に話を戻しますと、現在も、アメリカ大統領選挙は完全に継続中で、少なくとも、1月6日までは続きます。

現在も、法廷闘争が継続中ですが、この裁判には、ITが深く関わっています。

なぜなら、現在の選挙は完全にITで実施しているからです。

そして、このITを悪用した大規模な不正が起こったと、トランプ大統領側は主張していますが、不正の内容を説明されても、ITが分からないと、ピンと来ないかもしれません。逆に、ITに詳しいと、これをきっかけに重要なことが分かります。

トランプ大統領には、元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ弁護士、元連邦検察官のシドニー・パウエル弁護士、著名な人権弁護士リン・ウッドといった、高名な弁護士達が味方しているのですが(自主的に無報酬でやっている場合もあります)、いかに凄い弁護士でも、ITが分からないと何も出来ないのです。

ところが、これらの、決して若くない超有名なベテラン弁護士達が、皆、十分にITを理解して訴訟を行っていることに驚きます。

65歳のパウエルや68歳のウッドはもちろん、76歳のジュリアーニもちゃんと当を得た話をしています。

ところが、裁判官はITが分からないので、訴訟に対し、「信憑性に欠ける」と棄却している場合もあるように思われます。

裁判官(あるいは裁判所)は、ITに限りませんが、自分で責任が持てないことは、審議せず棄却したがるのだと思います。

アメリカでも、まだ、裁判官は、法律には詳しくても、ITに関しては無知な場合が多いと思われます。

今はそれで通用しているのかもしれませんが、今後、中国に出し抜かれないためにも、そんな古い体質の裁判官では困りますし、終身制と言われるアメリカ連邦最高裁判事も、このままで良いとは思えません。

それで、今は、トランプ陣営は、選挙不正に関する裁判の戦略の方針をITの問題から、憲法問題に変更したようにも思われます(IT関連も証拠としては十分に提示します)。

ITに関し、アメリカよりさらにひどい日本で、IT絡みの裁判が遅々として進まず、裁判所が判決を下すよりは和解を勧める場合が多いのも頷けます。


◆マスコミの信頼度

アメリカ大統領選挙に関する日本のマスコミの報道を見ると、本当に何も知らないことに驚きます。

また、アメリカではマスコミは堂々と嘘をつきますし(それが暴露されても平気なようです)、日本もそうかもしれませんので、自分でネットで情報を集めない限り、真相は分かりませんが、それには、インターネットによる情報収集能力が必要です。

もはや、マスコミの報道は、頭から疑った方が良いかもしれず、少なくとも、鵜呑みにはしないことが大切と思います。

昔は、新聞を熱心に読む人は勉強家で偉いというイメージがありましたが、もうそれは時代遅れなのかもしれません。


◆YouTuberになれる資質

ネットの情報は膨大で、しかも、珠玉混交であり、正しい情報を掴むのは大変です。

そこで、難しい問題に関しては、人々の代わりに情報を集めて整理し、それをYouTube等で分かり易く発信する人が人気があって、お金も稼いでいます。

今はもう、それが仕事として成立しているのです。

かなり前から、小学生から高校生が、将来やりたい職業として、YouTuberを挙げることが多くなっていますが、長く稼ぎ続けるためには、上に述べたようなスキルが必要であることを、大人がちゃんと教えてあげなければなりません。

YouTuberというのは、今や、価値が認められた立派で有望な職業ではあるのですが、そうであるなら、それに見合う高度な能力や努力が必要なはずです。

ただ、マスコミの場合にも言えるのですが、人気のあるYouTuberの情報だって、ある程度、あるいは、かなりの偏向が混じっていると考えた方が良いでしょう。

すると、1から情報を集めるよりは簡単ながら、YouTube等の情報の真偽を判定する能力は、やはり必要です。

以上です。

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2020年11月30日月曜日

情報の真偽をどう判定するか

 AI、認知科学、児童教育の研究者であるスガタ・ミトラ氏は、WIRED誌(2013.01.02)で、インターネットを介した「学び」は既存の教育を消滅させる、そして、未来の子供に教えるべきことは、3つだけであると述べています。

その3つとは、即ち、「読み書きの能力」「必要な情報を得る能力」「そして、その情報の価値を判断する能力」です。

初めの2つは、現代では割合に簡単です。

しかし、最後の「情報の価値を判断する」ことは、とても難しいかもしれません。

それを子供に教えるより先に、大人が習得する必要があります。

そこで、この「情報の価値を判断する」ことについて、今月行われた、アメリカ大統領選挙を題材にお話しようと思います。


◆権威ある報道機関の情報は信頼出来るか

アメリカでも日本でも、まだまだ多くの人が、情報を主にテレビや新聞等といったマスメディアから得ています。

そして、多くの人が、マスメディアの情報は正しい、少なくとも、悪意のある情報はないと信じています。

それは本当でしょうか?

2016年のアメリカ大統領選挙において、アメリカの主要メディアは、ヒラリー・クリントン候補が圧倒的に優勢であると報道しましたが、結果は、トランプ氏の勝利でした。

2020年の今回の選挙でも、やはり、主要メディアは、バイデン候補が大きくリードしていると報じましたが、実際は大接戦で、特に重要州であるフロリダ州やオハイオ州での予測を外しました(主要メディアの予想に反しトランプ氏勝利)。

これは、「予想なのだから外れることもある」という問題ではありません。

むしろ、大方では当たって当然であると共に、マスコミの予想が人々に与える影響が大きいことに対する責任もあります。

カリフォルニア州弁護士で、日本でも人気があるケント・ギルバート氏は、YouTubeで、「アメリカの主要メディアは恥を知らないといけない」と強い口調で述べています。

大統領選挙で世論調査が大きく外れることは、本来異常なのです。


◆メディアのカラー

アメリカには実に多くの情報メディアが存在します。

ニューヨークタイムズ(新聞)やCNN(放送局)等の主要メディアの他にも、数多くのメディアがあり、インターネットのみのWebマガジンにも評価が高いものがあります。

ところが、主要メディアのほとんどが、最近2回の大統領選の予測を大きく外していることを見ても、主要メディアが必ずしも信頼出来るとは限りません。

なぜ、こんな重要な予想を外すのかと言いますと、その理由の1つは、主要メディアも、決して公平・中立的ではなく、政治的・思想的傾向が明らかにあることです。

日本の新聞も偏向報道が指摘されることがありますが、アメリカのほとんどのメディアは、かなり政治的傾向がはっきりしており、各メディアを、保守派(共和党寄り。右派)、リベラル派(民主党寄り。左派)と分類することが多いのですが、現在の主要メディアの多くがリベラル派(民主党寄り)であり、大統領選挙の予測でも、民主党(クリントン氏やバイデン氏)に有利な報道をしています。

これは、決して、嘘の報道をしているというのではなく、民主党寄りである主要メディアの世論調査では、まず、自分達が応援する民主党が有利な予想を立て、その予想に近付くような偏った調査を行うという話があります。


◆正確な世論調査は可能

世論調査会社トラファルガー・グループは、2016年の大統領選挙の結果と、激戦州での勝敗をほぼ正確に予測しました。

トラファルガー・グループはこれまでも長く、優れた予想をしており、今回はトランプ氏の勝利を予測していましたが、選挙自体が接戦だった上、勝敗を決する鍵と言われるフロリダ州とオハイオ州を正しく予測しています。

また、主要メディアの中でも、比較的中立なFOXニュースでは、トランプ氏優勢としながら接戦の予想を伝えていました。

つまり、政治的偏向がなければ、まともな予想が可能な訳です。

日本のマスコミは、アメリカの左派の主要メディアであるCNNやNBC等の報道をそのまま引用しますので、日本でも多くの人が、バイデン氏圧勝と思っていたはずです。


◆マスコミの増長

影響力が大きなマスコミが権力者のように振舞うことは危険ですが、既にそうなっているかもしれません。

今回のアメリカ大統領選挙は、郵便投票が多かったこともあり、集計に非常に時間がかかりました。

その中で、主要メディアは、早い段階で、応援するバイデン候補が当選確実として、一斉に、バイデン氏を「次期大統領」と報じました。日本のマスコミもそれに倣い、朝日新聞は朝刊一面で「アメリカ大統領バイデン」という大見出しを掲げました。

これは、マスコミが事実を作り上げてしまったことになります。

バイデン氏自身も、それに押されてか、主要メディアが勝利濃厚と報じた時点で「政権移行チームを立ち上げた」と発表しました。

(※注 政権移行チーム自体は基本的には党から指名された時点で作っているので、それを始動させたという意味)

ところが、これらに対し、心ある政治学者や弁護士らが苦言を呈しています。

主要メディアがすっかり、バイデン氏を次期大統領扱いする中で、著名な政治学者で弁護士である、ハーバード大学教授アラン・ダーショウィッツ氏は、「バイデン氏の勝利宣言には法的根拠はない」と注意を喚起しました。

つまり、重要なことは、「大統領を決めるのは法律であり、メディアではない」ということです。

主要メディアの報道によって、人々が、大統領はバイデン氏だと思い込むことは危険なことです。

メディアの使命はジャーナリズム(真実の報道)であるはずなのに、まるで自分達が真実、あるいは、法であると人々に思い込ませるからです。


◆偏向報道

バイデン氏の勝利がほぼ確定になると、トランプ大統領は選挙結果に不服を申し立て、選挙に不正の疑いがあるとして訴訟を起こすことを発表しました。

ところが、それに対し、主要メディアは一斉にトランプ氏を批判し、「負けを認めないのは潔くない」「根拠のない主張で政治を混乱させている」と、全主要メディアが同じ内容の報道を行い、日本のテレビや新聞も、アメリカの主要メディアを真似、「往生際が悪い」といったネガティブな報道を行っています。

しかし、元アメリカ大統領、ジョージ.W.ブッシュ氏は、「トランプ氏には再集計の請求権および訴訟追行権が当然ある」とトランプ氏の立場を肯定しました。

ところが、アメリカ主要メディア、および、それに追随する日本のメディアは、ブッシュ氏の発言を報道しません。

さらに、メディアのおかしさが現れます。

トランプ氏は、選挙に不正があったとして、弁護団を組織して訴訟を開始しますが、主要メディアは一致して「トランプは unsubstantiated (根拠のない)、fraud claims.(詐欺の申し立て)をしている」と報じ、日本のメディアもやはり、それに従います。

それを見ながら、何も思わないのはおかしいと思います。

例えば、犯罪の容疑者が、いかに嘘のような主張をしても、それを、「根拠がない」とか「詐欺」とは言えません。

根拠があるかないかを決めるのは、メディアではなく裁判所だからです。

メディアに真実を決める権限はありません。

まして、トランプ氏は正当な申し立てをしているのに、メディアが「詐欺の申し立て」と言うのは異常と思います。

しかも、主要メディアは、トランプ陣営の、ルドルフ・ジュリアーニ、シドニー・パウエル、リンカーン・ウッドら、超一流弁護士達の発言を報道しません。

この訴訟に関するトランプ大統領の記者会見をCNNとFOXニュース以外が、「根拠がないから放送しない」と放送を打ち切るということもありました。

また、バイデン氏および、その息子のハンター・バイデン氏の中国・ウクライナでの汚職疑惑については、それなりの証拠があり、本来、メディアが報じないはずがないのですが、民主党寄りの主要メディアはこれを一切報道しませんでした。


◆中小メディアのジャーナリズム

最初に選挙の不正の大きなスクープを行ったのは、オンラインメディアのフェデラリストだったと思います。

アメリカには、主要メディア以外にも、実に多くメディアがあり、質の高い情報で評価されるものも少なくありません。

フェデラリストは、選挙不正の根拠を客観的に示し、それが真実かどうかはともかく、選挙制度に対する良い問題提起をしたと思います。

アメリカの主要メディアの中では、FOXニュースだけが、トランプ陣営の弁護士達のインタビューを放送しました。

FOXニュースは、共和党寄りであるとか、トランプのお抱え放送局だと揶揄されることがありますが、実際は、そんなことはなく、最近でもトランプ氏がFOXニュースを名指しで批判したこともあります。

つまり、FOXニュースは、単に、大手でありながらリベラル派でないという理由だけで、仲間外れにされているような感じです。

そのためか、日本では、英語が出来る人でも、FOXニュースはあまり見ていないはずです。

11月14日、ワシントンでは、不正選挙に抗議するトランプ支持者達が集まって集会が行われました。

これに対し、主要メディアは、「数千人のトランプの熱狂的支持者達が勝手な主張を掲げて騒動を起こした」程度に報じ、日本のメディアも倣いました。

しかし、集会に集まったのは、少なく見積もっても10万人で、実際は50万人であったと言われ、それは、YouTubeの映像を見ても納得出来ると思います。

アメリカに、エポックタイムズという無料のオンライン情報メディアがあります(日本語版もあります)。

中国系メディアでありながら、実質の中国政府である中国共産党を批判する立場を隠しません。

エポックタイムズの情報はアメリカでも高く評価され、日本の知識人の中にも愛読者が多くいます。

ここでは、主要メディアが一切扱わない、選挙不正情報を報道しています。

(ここで言っておきますが、元々現実に、アメリカでは日本と比べて多くの選挙不正が存在します)

確かに、SNSには、選挙不正に関するフェイク(偽)の情報も多くあるのも事実です。

その中で、どの情報が正しいかを自分で判断出来なければ、世界で、本当に何が起こっているか分からないまま、メディアに情報操作される可能性があります。

アメリカでも中国のような情報統制は確実にあると言う有識者は少なくありませんが、日本ではどうでしょうか?


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AIを自分で楽しく作成しながら、AIの本質的な考え方を文系の人でも実践的に理解出来ることを目的として書きました。
「モンティ・ホール問題」、「囚人のジレンマ」等をAIは、人間が教えなくても解けることも簡明に示しました。これはとても興味深いと思います。

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2020年10月29日木曜日

バーチャル・ヒューマン

 先日、あるワイドショー番組で、海外でも活躍する日本人モデル、imma(いま)が紹介され、海外のトップモデルに優るとも劣らない美貌とスタイルが称賛されましたが、情報通であると思われる番組出演者達ですら、ほとんどが知らなかったのは、immaが人間ではなく、3次元CGであるバーチャル・ヒューマン(仮想人間)だということです。

今回のテーマは、今後、モデルだけでなく、あらゆる分野に進出するバーチャル・ヒューマンについてです。


◆AIで進化するバーチャル・ヒューマン

バーチャル・ヒューマン・モデル、immaは海外のファッションショーにも登場しています。

今は、海外のファッションショーでは、舞台に3次元映像を投影することが行われています。

技術の進歩により、3次元映像投影設備が小型化され、設定も簡単になってきています。

それで、immaも人間のモデルのように、最新ファッションに身を包み、ステージを歩きます。

つまり、世界のファッション業界では、バーチャル・ヒューマン・モデルが進出する準備が整っているということです。

バーチャル・ヒューマン・モデルは、完璧な容姿と共に、AIの活用により、自然で洗練された動作や表情が可能で、今や、人間の一流モデルのレベルと思いますが、AIがさらに進歩すれば、人間をはるかに超えると考えられます。


◆不気味の谷

ところで、これまで、immaのようなバーチャル・ヒューマン・モデルが登場しなかった理由が面白いので取り上げます。

人間以外の動物に関しましては、既に、映像だけのバーチャル・アニマルを超え、実体のあるロボットが活用されています。

映画では、サメ、トラといった危険な動物が必要な場合、ロボットが使われることが多くなりましたが、ロボット動物が使われている映画を見ても、観客は、それがロボットであることに気付きません。そのくらいリアルです。

保険会社のアフラックのCMに登場するアヒルを見て、「随分よく仕込まれたアヒルだ」と思ったかもしれませんが、あれもロボットアヒルです。

このようにロボットを使って撮影する技法を「アニマトロにクス」と言います。

では、人間のアニマトロにクス用ロボットはないのかと言いますと、既に、かなりのものが作られてはいます。

しかし、今のところ、もし使われても、ゾンビ役など、極めて特殊な場合だけです。

その理由は「不気味だから」です。

人間の感覚には「不気味の谷」と呼ばれる境界があり、(人間に関しては)中途半端にリアルだと、不気味に感じてしまうからです。

例えば、蝋人形は、かなりリアルに作っても、どこか本物と異なるので不気味なのです。


いまはまだ、ロボット人間は、完璧にリアルではなく、「かなりリアル」という段階なので、不気味さがあるのです。

しかし、CGで作られるバーチャル・ヒューマンは、完全な人間のレベルに達しています。

immaも完璧にリアルであるからこそ、不気味さがなく、自然に美しいと感じるのです。

バーチャル・アイドル・シンガーなら、初音ミクやIA(イア)、あるいは、中国の洛天依(ルォ・テンイ)らが国際的に人気がありますが、これらは、本物の人間と見間違えようがないアニメの顔をしています。だから、可愛いとは思っても、不気味とは思わないのです(ただし、年齢が高い人は不気味に感じる傾向があるという報告もあります)。

実際、バーチャル・アイドル・シンガーの製作会社では、あまり本物の人間に似せ過ぎて「不気味の谷」に引っかからないよう配慮しているという話もあります。

しかし、今後は、人間と見分けがつかないバーチャル・アイドル・シンガーも登場することが予想されます。

このように、immaのような、完璧なバーチャル・ヒューマンを作る技術がもっと普及していき、「不気味の谷」を超えることが容易になれば、バーチャル・ヒューマンは、様々な分野に進出すると思われます。

例えば、バーチャル・ヒューマンの教師やカウンセラーが注目されています。

見かけは人間と同じ(しかも美男・美女)でありながら、時に醜い心を持たない存在に教わる、あるいは、相談するという安心感が大きなメリットになる可能性があると考えられています。

ルドルフ・シュタイナーが「理想的な教師は空気のようなもの」と言ったことが本当の意味で実現されるのかもしれません。



◆バーチャル・ヒューマンの悪用

いずれは、誰でもimmaのレベルのバーチャル・ヒューマンを作れるようになると考えられます。

いまや、かなり高度なCG技術が、普通のPCで、誰でも安価に使えるようになってきました。

けれども、今は、ほとんどの人は、immaほどのレベルのCG技術を使ったり、immaを作るために必要なAIを作ることが出来ないので、ごく一部の者しか高級なバーチャル・ヒューマンを持てません。

しかし、immaレベルのバーチャル・ヒューマンを作るために必要な技術が、AIも含めて一般的になれば、写真1枚から、容易にバーチャル・ヒューマンを作ることが出来るようになります。

そうなれば、例えば、死者の写真から、その死者の生前の姿を簡単に再現することも可能です。

現在でも、技術力がある者による、著名人とそっくりなバーチャル・ヒューマン映像を作るといういたずらがSNSで行われ、話題・・・というよりは事件になることもあります。


◆バーチャル・シンガーが人間を超える

バーチャル・ヒューマンが既に進出している分野に歌手があります。

ヤマハが開発した歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」を利用した、歌声合成ソフトがいろいろな会社で開発されています。

ただ、これらのソフトの基本的な操作自体は簡単なのですが、耳が肥えた人の鑑賞に堪えるほどの素晴らしい歌声で歌わせるには、かなり熟練と作業が必要です。

歌声合成ソフトの声を人間の歌手に近付けるために、ソフト開発者側、ユーザー側双方の多大な努力が行われている訳です。

しかし、これも、AIを使うことで状況が変わり、簡単に行えるようになります。

例えば、テクノピーチ社では、人間の歌手のわずか2時間の歌をAIに学習させれば、あらゆる歌を、その歌手そっくりに歌わせることが出来ます。

マイケル・ジャクソンの歌のCDを何枚かAIに聞かせれば、バーチャル・マイケル・ジャクソンが出来上がり、生前、彼が歌ったことのない歌でも、彼そっくりに歌えるのです。


◆バーチャル・ダンサー

また、ダンスに関しても、バーチャル・ヒューマンが躍る映像をAIが作成出来るようになるのも時間の問題です。

現在でも、人間のダンサーの身体にデバイスを付けて動きをトレースすることで、バーチャル・ヒューマンが踊る映像を作ることは可能ですが、人間のダンサーが躍る姿をカメラで撮影した映像だけで、AIの力でバーチャル・ダンサーを作る研究も進歩してきています。

やがては、天女のような素晴らしい、バーチャル・ヒューマン・ダンサーも登場するでしょう。

そうなった時、人間のダンサーが必要でないとまでは言えなくても、バーチャル・ダンサーで済んでしまうこと、あるいは、バーチャル・ダンサーでしか出来ないことも多くなると思われます。


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AIもそうなのですが、本を一般の人に解り易く書くと、教科書的な正確さを欠くことが多く、そこに難癖を付けたり、見下したリする「寂しい」専門家が沢山います。
しかし、教科書的な書き方をすると、普通の人が絶対に使わない文言や言い回しになって、さっぱり解らなくなり、結局、人々に受け入れらてもらえず、その分野の発展を遅らせてしまうのです。
この本は、「すごく簡単」とは言いませんが、普通の人のために、普通の言葉を使って書きました。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。