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2020年10月29日木曜日

バーチャル・ヒューマン

 先日、あるワイドショー番組で、海外でも活躍する日本人モデル、imma(いま)が紹介され、海外のトップモデルに優るとも劣らない美貌とスタイルが称賛されましたが、情報通であると思われる番組出演者達ですら、ほとんどが知らなかったのは、immaが人間ではなく、3次元CGであるバーチャル・ヒューマン(仮想人間)だということです。

今回のテーマは、今後、モデルだけでなく、あらゆる分野に進出するバーチャル・ヒューマンについてです。


◆AIで進化するバーチャル・ヒューマン

バーチャル・ヒューマン・モデル、immaは海外のファッションショーにも登場しています。

今は、海外のファッションショーでは、舞台に3次元映像を投影することが行われています。

技術の進歩により、3次元映像投影設備が小型化され、設定も簡単になってきています。

それで、immaも人間のモデルのように、最新ファッションに身を包み、ステージを歩きます。

つまり、世界のファッション業界では、バーチャル・ヒューマン・モデルが進出する準備が整っているということです。

バーチャル・ヒューマン・モデルは、完璧な容姿と共に、AIの活用により、自然で洗練された動作や表情が可能で、今や、人間の一流モデルのレベルと思いますが、AIがさらに進歩すれば、人間をはるかに超えると考えられます。


◆不気味の谷

ところで、これまで、immaのようなバーチャル・ヒューマン・モデルが登場しなかった理由が面白いので取り上げます。

人間以外の動物に関しましては、既に、映像だけのバーチャル・アニマルを超え、実体のあるロボットが活用されています。

映画では、サメ、トラといった危険な動物が必要な場合、ロボットが使われることが多くなりましたが、ロボット動物が使われている映画を見ても、観客は、それがロボットであることに気付きません。そのくらいリアルです。

保険会社のアフラックのCMに登場するアヒルを見て、「随分よく仕込まれたアヒルだ」と思ったかもしれませんが、あれもロボットアヒルです。

このようにロボットを使って撮影する技法を「アニマトロにクス」と言います。

では、人間のアニマトロにクス用ロボットはないのかと言いますと、既に、かなりのものが作られてはいます。

しかし、今のところ、もし使われても、ゾンビ役など、極めて特殊な場合だけです。

その理由は「不気味だから」です。

人間の感覚には「不気味の谷」と呼ばれる境界があり、(人間に関しては)中途半端にリアルだと、不気味に感じてしまうからです。

例えば、蝋人形は、かなりリアルに作っても、どこか本物と異なるので不気味なのです。


いまはまだ、ロボット人間は、完璧にリアルではなく、「かなりリアル」という段階なので、不気味さがあるのです。

しかし、CGで作られるバーチャル・ヒューマンは、完全な人間のレベルに達しています。

immaも完璧にリアルであるからこそ、不気味さがなく、自然に美しいと感じるのです。

バーチャル・アイドル・シンガーなら、初音ミクやIA(イア)、あるいは、中国の洛天依(ルォ・テンイ)らが国際的に人気がありますが、これらは、本物の人間と見間違えようがないアニメの顔をしています。だから、可愛いとは思っても、不気味とは思わないのです(ただし、年齢が高い人は不気味に感じる傾向があるという報告もあります)。

実際、バーチャル・アイドル・シンガーの製作会社では、あまり本物の人間に似せ過ぎて「不気味の谷」に引っかからないよう配慮しているという話もあります。

しかし、今後は、人間と見分けがつかないバーチャル・アイドル・シンガーも登場することが予想されます。

このように、immaのような、完璧なバーチャル・ヒューマンを作る技術がもっと普及していき、「不気味の谷」を超えることが容易になれば、バーチャル・ヒューマンは、様々な分野に進出すると思われます。

例えば、バーチャル・ヒューマンの教師やカウンセラーが注目されています。

見かけは人間と同じ(しかも美男・美女)でありながら、時に醜い心を持たない存在に教わる、あるいは、相談するという安心感が大きなメリットになる可能性があると考えられています。

ルドルフ・シュタイナーが「理想的な教師は空気のようなもの」と言ったことが本当の意味で実現されるのかもしれません。



◆バーチャル・ヒューマンの悪用

いずれは、誰でもimmaのレベルのバーチャル・ヒューマンを作れるようになると考えられます。

いまや、かなり高度なCG技術が、普通のPCで、誰でも安価に使えるようになってきました。

けれども、今は、ほとんどの人は、immaほどのレベルのCG技術を使ったり、immaを作るために必要なAIを作ることが出来ないので、ごく一部の者しか高級なバーチャル・ヒューマンを持てません。

しかし、immaレベルのバーチャル・ヒューマンを作るために必要な技術が、AIも含めて一般的になれば、写真1枚から、容易にバーチャル・ヒューマンを作ることが出来るようになります。

そうなれば、例えば、死者の写真から、その死者の生前の姿を簡単に再現することも可能です。

現在でも、技術力がある者による、著名人とそっくりなバーチャル・ヒューマン映像を作るといういたずらがSNSで行われ、話題・・・というよりは事件になることもあります。


◆バーチャル・シンガーが人間を超える

バーチャル・ヒューマンが既に進出している分野に歌手があります。

ヤマハが開発した歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」を利用した、歌声合成ソフトがいろいろな会社で開発されています。

ただ、これらのソフトの基本的な操作自体は簡単なのですが、耳が肥えた人の鑑賞に堪えるほどの素晴らしい歌声で歌わせるには、かなり熟練と作業が必要です。

歌声合成ソフトの声を人間の歌手に近付けるために、ソフト開発者側、ユーザー側双方の多大な努力が行われている訳です。

しかし、これも、AIを使うことで状況が変わり、簡単に行えるようになります。

例えば、テクノピーチ社では、人間の歌手のわずか2時間の歌をAIに学習させれば、あらゆる歌を、その歌手そっくりに歌わせることが出来ます。

マイケル・ジャクソンの歌のCDを何枚かAIに聞かせれば、バーチャル・マイケル・ジャクソンが出来上がり、生前、彼が歌ったことのない歌でも、彼そっくりに歌えるのです。


◆バーチャル・ダンサー

また、ダンスに関しても、バーチャル・ヒューマンが躍る映像をAIが作成出来るようになるのも時間の問題です。

現在でも、人間のダンサーの身体にデバイスを付けて動きをトレースすることで、バーチャル・ヒューマンが踊る映像を作ることは可能ですが、人間のダンサーが躍る姿をカメラで撮影した映像だけで、AIの力でバーチャル・ダンサーを作る研究も進歩してきています。

やがては、天女のような素晴らしい、バーチャル・ヒューマン・ダンサーも登場するでしょう。

そうなった時、人間のダンサーが必要でないとまでは言えなくても、バーチャル・ダンサーで済んでしまうこと、あるいは、バーチャル・ダンサーでしか出来ないことも多くなると思われます。


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AIもそうなのですが、本を一般の人に解り易く書くと、教科書的な正確さを欠くことが多く、そこに難癖を付けたり、見下したリする「寂しい」専門家が沢山います。
しかし、教科書的な書き方をすると、普通の人が絶対に使わない文言や言い回しになって、さっぱり解らなくなり、結局、人々に受け入れらてもらえず、その分野の発展を遅らせてしまうのです。
この本は、「すごく簡単」とは言いませんが、普通の人のために、普通の言葉を使って書きました。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年9月26日土曜日

人と音楽を結びつける技術

 以下は、今年(2020年)9月12日(土)に、YouTubeとニコニコ動画でライブ配信されました、「OngaACCELシンポジウム2020」を、筆者なりに理解した非公式な内容です。

現在は、以下のURLでアーカイブ配信されています。

◆OngaACCELシンポジウム2020

◆OngaACCELプロジェクト 公式HP

このシンポジウムの視聴者は、音楽と共に、音楽に関するテクノロジーやAIに、最低限以上の知識・理解がある方を対象としていると思われます。

そこで、そういったことに、あまり馴染みがない人にも解るよう、易しく簡潔にお話しようと考えて書きました。


【本文】

イギリスの作家コリン・ウィルソン(1931-2013)は、少年時代、アインシュタインのような科学者になることを夢見ていましたが、家が貧しくて(日本でいう)高校に進学出来ずに、工場労働者をしながら図書館で勉強を続け、23歳の時に書いた心理学的評論『アウトサイダー』で、一夜にして世界的作家となりました。

そのウィルソンは、生涯、大量の書籍を買い続け、置く場所がなくなる度に庭に小屋を立てたらしいですが、ある時点で2万冊と言われた蔵書の大半を実際に読んでいたといいます。

ところで、ウィルソンは、本だけでなく、音楽も好きで、彼の時代ですから、主にアナログレコードを、やはり大量に購入しました。

そしてある時、買ったレコードを全部聴くには、どのくらいの時間がかかるか計算してみたところ、一生、絶え間なく聴いても、聴ききれないことが判ったといいます。


◆名曲のほとんどを一生聴かない

普通の人は、歴史的名曲であっても、その大半を一生聴かずに終わります。

モーツァルトやベートーヴェンの主要曲ですら、クラシック音楽愛好家でない限り、そのほとんどを一度も聴いたことはないでしょう。

クラシックに限らず、もしかしたら、聴きさえすれば感動するような名曲でも、一生出会わないことがほとんどです。

ところで、音楽制作というものは、決して専門家だけが出来ることではなく、特に、近年はパソコンを使った電子音楽創作技術の発達により、音楽は、実は誰でも作ることが出来ることが解ってきました。

昔ですら、名曲の誉れ高いフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』は、プロではない趣味の音楽家が作ったものです。

ですから、毎日、素晴らしい曲が、世界中で沢山生まれ続けていると考えた方が自然と思います。

そして、せっかく作られた素晴らしい曲が、誰にも聴かれないまま埋もれたり、また、聴いていれば歓喜するような曲に出会えないというのは残念なことと思います。


◆AIによる音楽との出会い

その中で、AI等のテクノロジーを使い、人と音楽を結びつける研究が行われています。

その人に合った音楽がスムーズに見つかるよう支援することが1つの目的です。

経済産業省所管の公的研究機関である国立研究開発法人産業技術総合研究所(略称:産総研)の人間情報インタラクション 研究部門、首席研究員、兼、メディアコンテンツ生態系プロジェクトユニット代表である後藤真孝氏(工学博士)が中心となって行っている、そういった研究成果が、今年9月12日、「OngaACCELシンポジウム2020」として、3時間に渡って開催され、YouTubeでライブ配信されました。

(「OngaACCELシンポジウム2020」プロジェクトマネージャーは、クリプトン・フューチャー・メディア社長、伊藤博之氏)

その内容の一部を、以下でお話しようと思います。

以下にご紹介するサービスでは、YouTube、ニコニコ動画などの、膨大な曲を利用出来ます。 


◆Lyric Jumper 

このサービスは、まず、ある歌手が、どんな傾向の歌を歌っているのかを歌詞で解析します。

例えば、松田聖子と指定すれば、AIは、第一に「大人の恋愛」にカテゴライズ出来る曲が多いと判定し、では、楽曲のどの部分が、大人の恋愛と言えるかを示します。

さらに、同じ傾向を持つ歌手を選別し、サービスの利用者は、次に聴く歌手を選ぶ際の参考にすることが出来ます。


◆Songle

AIの力を借りて、その楽曲がそのような曲であるかを素早く把握することが出来るサービスです。

例えば、曲のサビ(聴かせどころ)をAIが抽出し、サビから聴くことで、音楽の傾向や雰囲気を感じることが出来ます。

もし、AIの判断が不正確だと考えられる場合は、人間が修正することも出来、AIと人間の集合知の両方を生かすことが出来ます。


◆Songrium

曲と曲との関係性から、自分に適した音楽を発見することを支援するという高度なサービスです。

今日では、1つの音楽コンテンツから、新しい音楽コンテンツが派生することがよくあります。

例えば、ある曲を気に入った人が、その曲を自分で歌い、演奏し、動画を作ったりして、新しいコンテンツとして動画サイトに投稿するのです。

(著作権の関係で問題が起こる場合もありますが)

こういった、オリジナル作品と派生作品の関係を解析することで、これまでは分からなかった、その音楽の傾向性を見つけ出せることが研究により分かってており、ここからも、お薦めの音楽を選択する重要なヒントが得られます。

これは、インターネットの発達と、一般の人がコンテンツを創造するCGM文化の発展がなければ、起こらなかったことです。

ニコニコ動画の21万曲のオリジナル曲に対する82万以上の派生作品を解析に利用しています。


◆Songle sync(同期技術)

これは、上記のものとは違い、音楽を解析する技術を応用し、人々を楽しませるサービスです。

例えば、コンサートにおいて、音楽に合わせてライブ会場の照明(色や照度等)を変化させたり、観客のスマートフォンにCGを表示させることで、ライブをより楽しいものに出来ます。

あるいは、音楽と同期してロボットを動かすことも出来ます。

ポイントは、そういった演出はソフトウェアが作るので人間が作る必要がないことと、音楽と完全同期することです。

例えば、1つの場所で、曲に合わせて花火を打ち上げ、遠くの人は、スマートフォンでリアルタイム配信された音楽を聴きながら、曲と同期した花火を楽しむことが出来ます。

同じことを普通に野外で行えば、まず、光速と音速の差により、花火と音楽が同期しないのはもちろん、通信遅延も起こりますが、これが完全同期しますので、広い場所で多くの人が一体感を得ることが出来るのです。これは素晴らしい技術です。


他にも、3時間に渡って、様々な研究成果が発表されました。

例えば、自動採譜という分野では、ピアノ演奏から楽譜をAIが作成するのですが、極めて高度な演奏であってもかなり正確に楽譜を作れるところまできています。

シンポジウムでは、具体的なAI技術をどのように使って実現しているのかといった専門的な内容も説明されていました。

また、 このシンポジウムの名称であるOngaACCELのOngaは「音画」であり、ミュージックだけでなく、ビジュアルも含みます。

例えば、これまでも、踊っている人の身体にモーションキャプチャーを行う機器を付けて、動きのデータをデジタル的に取り込むことは行われていましたが、CGやAIの発達により、カメラで捉えた映像だけからそういったデータを取得したり、あるいは、静止画から、動画データを作るといったことも行われているようです。


音楽を楽しみ、そして、新しい形の音楽を発展させていくことに、テクノロジーが大きく貢献しているのです。

 

以上です。 


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

自動車はメカが解らなくても運転する専門で良いのですし、電子レンジはマイクロ波が解らなくても料理専門で良いことはお解りと思います。
AIも、理論やプログラミングが解らなくても、「推測させる」専門で十分です
誰でも実用的AIを作ることが出来るように書きました。
ただし、理論、数学、プログラミング、AI思想も、入門者にとって興味深いことは書いたつもりです。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年8月26日水曜日

AIはどうやって推測するのか

 現在はまだ誤解されていることが多いのですが、AIは思考するマシンではなく、推測するマシンです。

そこで、AIが推測するものであることがよく解るよう、野球の試合において、AIにバッターを攻略させるお話をしようと思います。

サッカーのゴールキーパーの攻略も同じように出来るはずです。


◆バッター攻略に必要なこと

一流のバッターと対戦する時には、ピッチャーは、単に速い球を投げるとか、切れ味の鋭いカーブを投げるだけでなく、頭を使う必要があるはずです。

頭で戦いを有利にするには、バッターの情報が必要です。

その情報によって、バッターにどんな球を投げれば、バッターがどう反応し、結果がどうなるかを推測する訳です。

それは、ピッチャーだけでなく、捕手や監督、あるいは、コーチの仕事であると思います。

そして、推測するマシンであるAIは、人間以上に、バッターの反応を推測出来る可能性があります。


バッターを攻略するためには、そのバッターの一般的な特性が分かっているだけでは足りず、バッターの微妙な癖を知る必要があります。

では、バッターの癖を知るにはどうすれば良いかと言いますと、当たり前ですが、バッティングを見て分析します。

とはいえ、10試合や20試合、そのバッターのバッティングを見ても、なかなか癖を正確に見抜くことは難しいと思います。

確かに、バッターの癖とはどのようなものかをよく知っている経験豊かな捕手や監督であれば、見る数は少なくて済むでしょうが、それでも、素人が思うよりは多く見る必要があるはずです。

100試合分や200試合分以上の情報が必要かもしれず、それでも足りないかもしれません。

しかも、人間は忘れますので、それを補うだけの数を見る必要があります。

だから、バッターの癖による攻略というのは、実際には難しいと思います。

そこでAIの出番です。


【補足】バッティングデータの収集に関し、いずれ、AIはバッティングの映像ビデオを見れば十分になるでしょうし、それは現在でも不可能ではありませんが、一応、今は、記録係の人がビデオを見て、「ピッチャーの球=120km/hのフォーク。バッターの動作=スイング。結果=三振」のように、文字で入力するとします。


◆AIの人間に対する強みとは

AIには、当然ですが、コンピューターの強みが全部あります。

人間に対するコンピューターのよく知られている強みが、「速い」「忘れない」です。

AIは、あるバッターのバッティングを200試合分見たら、その200試合のバッティングを全部、正確に覚えています。

そして、もう1つのメリットの「速い」が重要です。

人間なら、あるバッターの200試合分のバッティングのデータを見ようと思ったら、かなりの時間(数日、あるいは、数週間)かかるかもしれません。

詳細に分析しながら見たら、それこそ、どれだけ時間がかかるか分かりません。

しかも、人間は、見たもののうち、かなり多くを忘れてしまいます。

しかし、コンピューターなら、その10倍の2000試合分でも、おそらく数秒で、詳しく分析しながら見て、1つも忘れません。


◆AIは人間の脳を真似ている

ところで、人間はバッティングをどう分析するかと言いますと、当然ながら、頭を使うのですが、正確には、脳を使います。

脳がどんな仕組みで働くかは、以前はほとんど解らなかったのですが、今日では脳の研究が進み、いくらか解るようになってきました。

そして、脳科学者と数学者が協力して、脳の働きを真似した論理的なモデルを作りました。その代表的なものがニューラルネットワークと言われているものです。

さらに、コンピューターの発達により、ニューラルネットワークをコンピューターでシミュレート(模倣)出来るようになりました。

この、ニューラルネットワークをコンピューターでシミュレートする「ニューラルネットワークシステム」が今日のAIの土台になっています。

つまり、今日のAIは、人間の脳を参考にして作られているのです。

ただし、実際は、脳の仕組みの詳細は、まだまだほとんど解っていません。

思考やひらめき・直観、フィーリングなどといった高度な機能はもちろん、実際にはほとんどの脳の機能がまだ研究段階で、今はなんとか、基礎的な部分が分かっているだけです。

ですから、ニューラルネットワークの細かい部分は、あくまで人間が(ただし、飛び切り頭の良い人が)考えたものです。それは、日々、進歩しています。

ニューラルネットワークを理解したり、作るためには高度な数学が必要です。

日本の高度なAI開発会社では、現役の東大生等、頭の良い人を雇っているという話があります。

また、それで作ったニューラルネットワークをコンピュータープログラムにするには、高度なプログラミング能力が必要です。

しかし、作成済みのニューラルネットワーク・システムを利用してAIを作るだけなら、数学や高度なプログラミング能力は不要で、ある程度のプログラミングが出来ればAIを作れます。

さらに、今は、プログラミングも不要なニューラルネットワーク型AI構築アプリが次々に登場し、プログラミングが出来なくても、言ってしまえば誰でもAIを作ることが出来るのです。


◆AIと人間の役割分担

AIがバッターの癖を見抜くというのは、もっと正確に言えば、AIは、バッターの癖を推測する訳です。

何度も繰り返しますが、AIに出来ることは推測だけなのです。

ただ、その推測はかなり正確に行えます。

AIは、推測したバッターの癖(沢山あるはずです)が、それぞれ、どの程度確からしいのかを、確率で(例えば80%)示します。

それで解ったバッターの癖から、どう攻略するかは、あくまで人間が考えることです。


AIは、あるバッターのバッティングを見れば見るほど。つまり、データを得れば得るほど、癖が正確に分かります。

しかも、たとえ1万試合分のバッティングでも、普通のパソコンで数分~数十分、高級機なら数秒以下で見ることが出来ます。

AIは、バッティングデータを取り入れると、ニューラルネットワークシステムを使い、バッティングを分析し、そのバッターの癖を推測します。

その後、試合の中で、AIに、こんな質問をしたとします。

「ランナーは2塁、カウントは2ストライク1ボールで、中程度の速球派の右ピッチャーが内角低めのストライクゾーンに速球を投げると、結果はどうなるか」

すると、

「センターにゴロで返す確率53パーセント。ヒットになる確率28パーセント」

と答えたりします。

AIにいろんな質問をし、最も望ましい結果が期待出来る球を投げれば良いのです。

SFでは、昔からこのような場面があったような気がします。

それがいよいよ実現し、そして、それを誰でも行えるのです。


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

数学、プログラミング、高度なAI理論なしで、実用AIを自分で作ることが出来るようになることを目的とした本です。
面白いテーマにAIで挑む楽しい実習を通して、AI作成に必要なセンスを身に付けます。
本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年7月26日日曜日

AIは人類が求め続けてきた待望の道具

チンパンジーが道具を使うという話があります。
とは言っても、それは、石で叩いて何かを砕いたり、棒で突っつくといった程度のものです。
特に賢いチンパンジーは、木の棒の余分な枝を除いたり、石を加工したという話もありますが、陸上動物では人間に次ぐ発達した脳を持つチンパンジーでもそこまでです。

◆人間はなぜ道具を作ったのか
人類の最も古い道具は、映画『2001年宇宙の旅』では、こん棒でした。もちろん、正確なことではないでしょうが、だいたい、そんなものだったと思われます。
ところで、道具とは何かと言いますと、全て、「自己の能力を拡張するもの」であると言えると思います。
上の『2001年宇宙の旅』では、こん棒で自己の攻撃力を拡張した旧人類は、周囲の旧人類達を暴力で圧倒しました。
また、人間の歯や爪は、あまり強力ではなく、硬いものを切れませんので、人間は石器を作り、もっと固いものが切れるよう銅器を作り、さらに、鉄器へと進歩させました。
そして、人間は、あまり速く、そして、長時間走れないので、馬を走る道具とし、さらに、もっと楽に乗れるよう馬車を作り、やがて、鉄道列車や自動車を作ります。
飛行機に関しても、純粋に飛びたいというよりは、速くスムーズに移動したいと思って発明したのではないかと思います。
このように、人間は、人間の裸の能力に不満を感じたので、その能力を高めるために道具を作ったのだと思います。

◆深刻に欲しい能力
ところで、かなり昔から、人間が持ってはいるが、その能力が低いことを賢い人達は認識していた能力があります。
それは、「予測力」です。
トーマス・フリードマンは、ただのジャーナリストなのですが、彼は、度々、ホワイトハウスで大統領と話し合っていました。
その他にも、彼は、超大企業のCEOや億万長者の大投資家、アラブの石油王達とも、度々、誘われて会談をしました。
なぜ、フリードマンがそれほどの大物達に「モテる」のかと言いますと、彼が高い予測能力を持っていたからです。
フリードマンは、政治、国際問題、戦争、科学など、広い範囲に渡り、鋭い予測力を発揮しました。

ニューヨークタイムズ等、世界中のメディアでよく引用された、こんなジョークがあります。
「平均的な専門家の予測の正確さは、チンパンジーが投げるダーツとだいたい同じ」
これは、誰かが口から出まかせで言ったのではなく、ペンシルべニア大学教授、フィリップ・テトロックが、1984年から2004年まで20年の間、大変な労苦をかけて詳細に研究した結果、出した結論です。
つまり、専門家の予測なんて、「チンパンジーが投げるダーツ」程度のいい加減なものなので、フリードマンのような「それなりに本当に当たる」予測能力を持った人は非常に貴重なのですが、そんな人は滅多にいないようなのです。
昔から、歴史に名を残すような大政治家や大将軍、あるいは、大事業家達が、評判の高い占い師を、秘密裏に高給で雇っているというのは、風説もあるでしょうが、実際に確認されている例も多くあるようです(そんな事実を調査した研究者の著作もあります)。
それほど、責任重き立場の人達は、正確な予測力を欲しているのだということです。

◆予測力を得るコストが下がった
それなら、正しい推測をする道具を作れば良いのですが、そんなものをどうやったら作れるのか、最近まで皆目見当が付きませんでした。
1960年代から行われている、コンピューター・シミュレーションも、予測を目的としています。
しかし、簡単なことならともかく、コンピューター・シミュレーションで複雑な予測をしようとしますと、膨大な労力や予算がかかりますが、実際には、それほど正確な予測は得られません。
ところが、近年、ビッグデータという、正確な予測が期待出来る、待望の手法が出来ました。
実際、ビッグデータは驚異的に正確な予測をすることがあります。
しかし、これを使えるのは、膨大なデータと高度な設備、そして、優れたデータサイエンティストを擁する一部の企業だけです。
ところが、1950年代から研究が進められてきたAIの分野で、2006年頃に「ディープラーニング」という手法が発明され、これがAIに取り入れられることで状況が一変します。
最初は、ディープラーニング型AIを使うことは難しいことでしたが、これを簡単に使う方法が急速に発達しました。
そして今や、ディープラーニング型AIは、誰でも使え、これによって高度な予測が出来るようになりました。
実際、ディープラーニング型AIは、未来の技術ではなく、もう「枯れている技術」とまで言う専門家すらおり、目端の利く企業は、規模の大きさに関係なく、既に導入し、活用しています。
これを使うか使わないかで、持てる予測力は比較になりませんが、予測力がどれほど重要なものであるかは上に述べた通りです。

以上です。

当ブログオーナー、KayのAI書籍。
AIを自分で作れるようになることは、今後の世界でとても重要になると思います。
しかし、我々は、そのために、無限の時間を割く訳にはいきません。
自動車を運転出来れば便利ですが、運転を習得するために膨大な時間や費用をかける訳にいかないのと同じです。
実用的なAIを作るために、数学もプログラミングも難しいAI理論も不要です。
そして、技術オタク、数学オタク、プログラミングマニアでなくても分かる普通のテーマを普通の言葉で説明することでAIツールの使い方が分かるようにしました。
応用編においても、類書に見られる退屈なものではなく、興味深く感じるテーマを選びました。
ただし、それが成功しているかどうかを決めるのは読者ですが。

2020年6月27日土曜日

PCを使おう

スマートフォンの普及により、PC(パソコン)が使用される機会が減っています。
以前はPCでやっていたことは全てスマートフォンでやれるので、PCを全く使わなくなったという人もいるようです。
PCを使ったことがないという大学生すら珍しくはなく、企業で、新入社員にPCの使い方の研修を行うという、以前はあり得なかったことも起きています。
また、人気があるインフルエンサー(インターネット上で影響力のある人)が、PC不要論(スマートフォンで十分)を唱えていますが、それがますます我が国のIT力を落とすことになりかねません。

◆PCの必要性
PCを使わなくても、スマートフォンで十分な場合はもちろんあります。
しかし、PCでやることをスマートフォンやタブレットで全て代替は出来ません。
特に、ビジネスや、クリエイティブで高度な用途では、そうです。
その理由は、まず、画面の大きさや、文字入力の効率の問題です。
スマートフォンのタッチパネルで十分に速く文字入力出来るという人もいますが、それは、文章が短かかったり、単純な文章である場合に限られます。
また、PCであれば、ブラウザで調べものを行いながら書くことも容易ですが、スマートフォンでは効率が悪いはずです。

確かに、特別な能力を使う仕事で忙しく、PCを使う仕事を他の人にやらせている人はいます。しかし、そんな人はあまり多くはないはずです。
スマートフォンで文章を音声入力をしている人がいて、それは確かに、膨大な文章を作成する必要がある人の場合は、必須の方法となっていることもあります。
ただし、その場合も、必ず後で、音声入力した文章をPCに取り込んで加筆修正を行います。
音楽や美術関連のクリエイターには、PCだけで作業する人も多くなりましたが、それをスマートフォンでやるのは、今後も無理でしょう。
アイデアを素早くメモしたり、ラフな構想を書く場合にはPCでは不便ですが、それには、スマートフォンやタブレットではなく、紙とペンや鉛筆を使った方がずっと効率的な場合が多いでしょう。
実際、優れたビジネスマンやクリエイターは、スマートフォンやパソコンを使い分けるだけでなく、紙のノートも活用していることがよくあります。

◆やはりWindows PC
クリエイティブな作業をし、ITの進歩に適応していくには、キーボードのついたパソコンが必要です。
そして、そのパソコンの種類(OSの種類)は、今のところ、Windowsの優位性は揺らぎません。Chrome OSは、将来はともかく、今はまだまだですし、Linux系のOSがPCの標準になることはなく、iOSやAndroid等のスマートフォン用OSは尚更です。
アップルのマッキントッシュPC(OSはMSC-OS)は、昔から、音楽やグラフィックデザイン等の用途を中心に多くのユーザーがいますが、少なくとも、MAC-OSが全体の主流になることはないでしょう。
企業によっては、アップル・マニアによって、必要以上にマッキントッシュPCを導入していることもありますが、それは会社に不利益を与えている場合も多いのではないかと思いますので、チェックした方が良いでしょう。

将来に渡ってITを味方にするためには、現時点では、Windowsパソコンを持っている必要がありますし、少なくとも普通の人にとっては有利と言えるでしょう。
デスクトップPCを使う必要性は低くなってきましたが、20インチを超える画面や使い易いキーボードによる生産性は高く、用途によってはデスクトップPCが必須です。
確かに、スマートフォンがある今、PCを持ち運ぶ必要は少ないはずですので、普段使うPCは、15インチ以上のフルHD(1920×1080ピクセル)画面のノートPCが最良と思われます。

◆PCを使おう
ITをクリエイティブに活用し、ますます速くなるテクノロジーの進歩に適応するためにはPCが必要で、子供の時からキーボードでのタイピングに慣れておくべきと思います。
プログラミングにおいては全くそうだと言えますが、今後活用が必須となるAIは、多量のデータを扱いますので、それには、PCの大きな画面が必要です。
その他のことを考えても、PCを上手く使いこなせることが、大きなアドバンテージになると思います。
もちろん、スマートフォンも大いに進歩し、新しい画期的な用途も生まれるはずですが、それでPCが不要になるどころか、ますますPCの必要性が高まると考えるべきと思います。

以上です。

当ブログオーナー、KayのAI書籍。
AIを作るために大切なことは、数学やプログラミングやAI理論ではなく、AIを作るための考え方です。
問題を推測問題に変換すること、そして、AIに学習させるデータには、どんなものが必要か考えることが大切です。
例えば、「占いAIを作ろう」なんて人がいますし、実際、「占いAI」なんて名前のもあるかもしれません。
しかし、占いAIを作るための膨大で細かく整理されたデータのことを考えたら、私なら、作る気になれません。
そんなことが分かることが大切なのです。そして、楽しい実習を通じて、それが分かるように書いたつもりです。
個人的には、最も面白いのは「モンティ・ホール問題」の項と思います。

2020年5月24日日曜日

新型コロナウイルスに対するAI活用法

新型コロナウイルス対策にAIを役立てる簡単な方法を書きます。
厚労省等、政府機関には新型コロナウイルスに関連した多くのデータがありますので、それを使えば、AIでかなり有益なことが出来るはずです。
ただ、一般に公開されているデータからでも、そこそこ、役に立つことが出来るはずですので、とりあえず、それをお話しましょう。

◆可能なこと
最も単純なものとしては、未来のある時点(例えば、2021年8月10日)での、感染者の数、死亡者数を推測出来ます。
また、感染者、あるいは、死亡者が、ある人数(例えば、感染者100人)まで減少するのはいつになるのかを推測することも出来ます。
推測の精度の高さは、データ量や、分析手法等によって異なってきます。

◆単純なモデル
例えば、日本全体の次のようなデータを集めるとします。
・日付
・曜日
・感染者数
・死亡者数
これらのデータは簡単に入手出来ます(データの信憑性等はここでは問いません)。
これらのデータを集め、AIに学習させます。
現在では、ほとんどの場合、AIにデータを学習させることを機械学習と言い、高度な機械学習のことをディープラーニングというのだと言って良いと思います。厳密ではありませんが、だいたいそれで良いと思います。
AIは、これらのデータを学習しながら、感染者数、死亡者数を推測するための法則を作っていきます。
この法則が、どれくらい正しいと期待出来るかもAIは提示出来ます。
ここで重要なことは、推測するための法則の作成に人間が関わらないことです。
そのため、AIが作った法則は、人間には解らないブラックボックスです。
だから、たとえ、AIが優れた推測をしても、なぜそう推測出来るのか、基本的に、人間には解らないのです。
※これが、人間が法則を作るビッグデータ分析との大きな違いの1つです。

◆予測の精度を上げる
上の単純なデータモデルでも、データ量が十分に多く、データの期間が十分長ければ、ある程度、正しい推測が出来る可能性があります。
そして、さらに、予測に影響を与えるデータ項目を増やすほど、予測の精度を上げられる可能性があります。
例えば、
・気温
・降水量
・PCR検査数
等です。
また、一見、関係がないと思われるデータでも、実際は影響があるかもしれません。
例えば、
・大手通販売上高
・高速道路混雑度
・新幹線乗車率
・航空機乗車率
・交通事故発生数
・NHKの視聴率
等で、他にも無限に考えられます。
項目は、多ければ多いほど正確な法則が作られる可能性がありますが、項目を増やすほど、AIが法則を作るための学習時間は大きくなり、場合によっては、大き過ぎて処理不能になります。
どんなデータが有効かは、現実的には試行錯誤することも多くなります。
つまり、「やってみないと解らない」ことも多いのです。

◆予測
では、次のデータで、AIに学習を行わせるとします。
目的は、未来の感染者数、死亡者数の予測です。

・日付
・曜日
・平均気温
・降水量
・1日のPCR検査数
・感染者数(予測用)
・死亡者数(予測用)

その後、推測したい未来の日付と曜日を指定します。
そして、「平均気温」「降水量」「1日のPCR検査数」の数値の様々な組み合わせを設定し、そのそれぞれの組み合わせごとに、AIに感染者数と死亡者数を予測させます。
例えば、日付、曜日、平均気温、降水量、1日のPCR検査数の組み合わせを、
(2021/3/06、土曜、10度、0ミリ、3600件)
(2021/3/06、土曜、12度、0 ミリ 、3600 件 )
(2021/3/06土曜、12度、0 ミリ 、4000 件 )
(2021/3/06、土曜、12度、10 ミリ 、3600 件 )
(2021/3/06、土曜、12度、10 ミリ 、4000 件 )
といった感じで、このようなパターンを必要なだけ(数百、数千になるかもしれません)作ります。
その、それぞれのパターンについて、AIは、感染者数と死亡者数を推測します。
これにより、特定の日に、どのような条件なら、どのくらいの感染者数と死亡者数になるかをAIは予測します。
例えば、「2021年3月6日土曜日で、平均気温が16度、降水量が100ミリ、1日のPCR検査数が3000件の場合の、感染者数と死亡者数はどうか?」といった感じです。
このAIの活用法として、例えば、気温や降水量が同じとし、PCR検査数を、様々な数に設定してAIに推測させると、PCR検査数の違いによる感染者数を推測させることが出来ます。
これによって、PCR検査は必要か必要でないか、あるいは、却って害がある可能性がある等といったことも解るわけです。
高度なAIの活用法も、基本的には、この応用と考えて良いと思います。

以上です。

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2020年4月23日木曜日

ビッグデータと機械学習

自動車と馬車の違いだって、厳密に説明するとしたら、それらの専門家でなければ不可能ですが、普通には、簡単に説明すれば良いことです。
「ビッグデータと機械学習の違い」、「機械学習とディープラーニングの違い」も、本当は易しく語って良いはずですが、今はまだ、これらについて、専門家しか語らないから、難しく思えるのです。
しかし、今や誰もが、ビッグデータと機械学習、そして、機械学習とディープラーニングを区別しつつ解っている必要があります。
そして、自動車を運転するためには、自動車の専門知識ではなく運転の仕方さえ知っていれば良いように、ビッグデータ、機械学習、ディープラーニングについても、これらを役立てる方法を知っていれば良いのです。

◆機械学習とディープラーニングの違い
まず、機械学習とディープラーニングの関係は、電車と新幹線の関係と同じです。
新幹線が電車であるように、ディープラーニングも機械学習です。
数学の「集合」で言うと、次のようになります。
※「a∊A」は、「aは集合Aの要素」という意味です。

新幹線 ∊ 電車・・・新幹線は集合「電車」の要素
ディープラーニング ∊ 機械学習・・・ディープラーニングは集合「機械学習」の要素

高級な電車が新幹線であるように、高級な機械学習がディープラーニングなのです。
逆の言い方をしても、この2組(電車と新幹線、機械学習とディープラーニング)はよく似ています。
つまり、新幹線も電車ですが、電車が新幹線とは言いません。
同じく、ディープラーニングも機械学習ですが、機械学習がディープラーニングとは言わないのです。

◆ビッグデータと機械学習の違い
ビッグデータと機械学習は、目的は同じですが、根本的に違うものです。
共に目的は、沢山のデータを使って推測を行うことです。
では、重要な違いは何でしょうか?
ビッグデータでは、データを数学的手法で分析して推測します。
よって、ビッグデータ分析は、データサイエンティストと呼ばれる専門家でなければ不可能です。
一方、機械学習では、AIがデータを分析し、推測しますので、AIにそれを行わせる人間に必要なスキルは、その前段階の作業をするだけです。
前段階の作業とは、データを整理することです。
よって、機械学習は誰でも使えます。
確かに、前段階のデータ整理のやり方は習得する必要がありますが、それほど難しくはありません。
ビッグデータの場合も、前段階のデータ整理は当然ありますが、それは、後のデータ分析と一体であり、難しいものです。

◆ビッグデータと機械学習のデータ量
データ量に関しては、通常、ビッグデータの方が機械学習より、ずっと(あるいは、桁外れに)多く必要です。
一概に言えませんが、ビッグデータでは、ゴミのようなデータも捨てずに取り入れ、普通には想像もつかないような多量のデータを使うことがよくあります。
しかし、機械学習のデータは、出来る限り整理された「きれいな」ものを選び、とんでもない量のデータを扱うことは、普通ありません。
それで、どちらの推測の方が精度が高いかと言いますと、それは、あくまでデータサイエンティストの能力や、AIの性能によります。
また、いずれを使うべきかは、場合によります。
例えば、データ量があまり多くない場合は、機械学習が有利、あるいは、機械学習しか使えません。
しかし、莫大なデータ量のビッグデータが、恐るべき正確な予測をすることもあります。

◆ビッグデータと機械学習の融合
すると、こんなことを思いつくかもしれません。
ビッグデータのデータを、データサイエンティストが分析すると同時に、機械学習させるということです。
確かに、それが良い場合があり、実際に行われています。
そして、その結果、同じような推測結果になる場合もあれば、かなり、あるいは、全く異なる推測結果になる場合もあります。
ただ、機械学習では、扱えるデータ量に限界がありますので、純粋にビッグデータ分析を行う場合と比べ、データの選別を行う場合が多いでしょう。
けれどもそれは、ビッグデータの良さを損なうかもしれません。

◆一般の人が使う道具
ビッグデータと機械学習の使い分けが必要ですが、ビッグデータは、極めて多量のデータを必要としますし、分析に専門的なスキルが必要になります。
つまり、専門家のものであり、誰でも出来る訳ではありません。
しかし、機械学習は一般の人でも使えるものであり、実際、誰もが使う必要があるものです。
よって、我々は、機械学習のやり方を身に付けるべきと思います。

ブログオーナーKayのAI書籍です。
数学講師Mr.Φとの共著です。

足し算、掛け算、素数判定、モンティ・ホール問題、東大入試数学出題分野予測、シュレディンガーのエイリアン、囚人のジレンマ等、面白い問題の回答をAIに推測させます。
これらのデータを作成出来るExcelマクロのシミュレーションプログラムが無償ダウンロード出来る特典付です(東大入試のみ別方法でデータ作成しましたので含まれません)。