2021年1月27日水曜日

AIが最優秀な人間の頭に優ったこと

 我々は、地球が丸いことや、地球が自転しつつ太陽の周りを公転していることを知っています。

しかし、ほとんどの人は、そういったことを、本当に明白に理解している訳でも、また、自分で確かめた訳でもなく、単に、教科書に書かれていて、先生からもそう教わったので「解っている気になっている」だけと思います。

日本のように、全員が地球球体説や地動説を信じている国はむしろ珍しく、地球が平たいとか天動説を信じている人は、世界には珍しくありません。

スティーヴン・ホーキングの世界的ベストセラー『ホーキング宇宙を語る』の序章に、イギリスの偉大な数学者・哲学者・論理学者であるバートラント・ラッセルが、イギリスの地方の人々に地動説の講演を行った時の話があります。

講演後、ラッセルは、世界は亀の背中の上だと主張するお婆さんに言い負かされてしまいます。

そして、ホーキングは、未来の人から見れば、我々と、このお婆さんに差はないと言います。

「そんな馬鹿な」と思うかもしれませんが、そうかもしれないと思わせることが起こっています。


◆最低の馬鹿と言われた世界一IQ(知能指数)が高い女性

1990年の話です。

アメリカで、モンティ・ホール氏が司会を務めるテレビの娯楽番組で、こんなゲームが行われていました。

今日では、このゲームは「モンティ・ホール問題」という重要な数学問題になっています。


このゲームは、モンティ・ホール氏と1人の挑戦者との、2人の勝負として行います。

挑戦者の前には、A、B、Cの3つのドアがあり、そのどれか1つに景品の新車が入っていて、挑戦者が、新車が入っているドアを当てると、それを貰えます。

例えば、挑戦者がAのドアを選んだとします。

この時点では、まだAのドアを開けません。

そして、モンティ・ホール氏は、残りのBとCのドアのうち、新車が入っていない方のドアを開けます。

例えば、Bのドアを開き、その中には新車が入っていないことを示します。

そこで、モンティ・ホール氏は挑戦者に、

「このままAを選んでもいいですし、Cに変えても結構です」

と言います。

新車は、AかCのいずれかのドアの中に入っていますが、どちらに入っているかを挑戦者は知りようがなく、挑戦者が新車を得る可能性は50%です。


このゲームに対し、世界一IQが高いと言われる女性マリリン・ボス・サバント氏が、雑誌に「挑戦者は、選択するドアを変えるべき。それで正解率は2倍になる」と発表しました。

これに対し、「そんなはずがない」という、1万通もの批判の投書が殺到します。その投書の送り主には、百人の博士号保持者もいたと言われます。

その中の、大学教授を務める数学博士は、サバント氏を「大馬鹿者」と、公然と侮辱しました。

この数学博士を含め、ほぼ全ての人が、「ドアを変えようが変えまいが正解の確率は1/2に決まっている」と断言し、サバント氏がいくら説明しても無駄でした。

ところが、高名な数学者ポール・エルデシュ氏の弟子が、自分のパソコンでシミュレーションを行ったところ、なんと、サバント氏が正しいことが分かりました。

この記事の筆者である私は、昨年、出版した著書『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)に、私が作った、モンティ・ホール問題のシミュレーションプログラムを載せました(VBA言語で書かれ、マイクロソフトExcel上で動きます)。

別に難しいプログラムではなく、当時のパソコンに無料で付いていたBASIC言語でも、十分、作ることが出来ます。

そんなプログラムで、サバント氏が正しいことがはっきり分かります。


◆理屈では決して理解出来ない

このモンティ・ホール問題を、理論的に説明する人が世界中に沢山います。

それは書籍や雑誌にも掲載され、子供でも解るように、図を駆使して懇切丁寧に説明したものもあります。

しかし、どんなに丁寧に、工夫し、上手く説明しても、「腑に落ちる」、つまり、直観的に、「なるほど!!」と思うことは絶対にないと思います。

それは、上に書いたように、並外れて頭の良い科学者でも解らなかったことや、このモンティ・ホール問題を、1冊の分厚い本で解説した著名な数学者がいることなどからも解ると思います。

実際、いまでも、モンティ・ホール問題を理屈で分かる人は、ほぼいないと思います。

まあ、サバント氏のように、IQが228もあるような人は別かもしれませんが・・・


◆AI(人工知能)は「モンティ・ホール問題」を簡単に理解出来た

ところで、筆者は、上記の『楽しいAI体験から始める機械学習』で書きましたが、モンティ・ホール問題のシミュレーションプログラムの実行結果をAIに学習(機械学習)させたところ、AIはあっさりと、モンティ・ホール問題を解いてしまいました。

ある著名な宗教人類学者が著書の中で、「誰かと2人で、モンティ・ホール問題のゲームを1万回やれば解る」と書かれていましたが、実際には、そんなことは不可能ですし、仮に、本当に1万回やっても、結果の記録(ドアを変えた場合、正解率が2倍になる)を見て「不思議だなあ」と思うだけでしょう。

しかし、AIは100回やれば大体見抜き、1000回で、ほぼ完全に理解しました。

AIは、「思考するマシン」ではなく、「推測するマシン」です。

つまり、AIは、モンティ・ホール問題を、論理的に解けるのではなく、結果を高い確率で推測出来るのです。

モンティ・ホール問題は、数学的には、挑戦者がドアを変えなかった場合に正解する確率は33.33%で、ドアを変えたら、正解する確率は66.67%です。

コンピューターで十分な数のシミュレーションを行うと、ほぼ、これとぴったりの数値が出ます。

AIの場合、AIの「モデル」の作り方で精度は変わるのですが、モンティ・ホール問題に関しては、簡単なモデルでも、ほぼ理論値通りの推測が出来ました。

つまり、今のAIにとって、モンティ・ホール問題は、簡単な問題なのです。

けれども、人間は、相当に頭が良い人でも、どれほど論理的思考や推測をしても、モンティ・ホール問題を解けないのです。

人間には解けない難しい問題を解く場合、

(1)コンピュータープログラム(シミュレーション等)で解く

(2)ビッグデータで解く

(3)AIで解く(現代ではディープラーニングが主流)

が考えられ、適切なものを選ばなければなりません。

AIで出来ることとビッグデータで出来ることは似ていて、根本的には同じであることも多く、同じ問題を両方でやってみることも多いと思います。

ただし、AIは、ビッグデータに比べれば簡単に使うことが出来るというメリットがあります。

AIで解くべき問題にAIを上手く適用することで、比較的手軽に、経済、政治、軍事、スポーツ等でライバルに勝てる可能性が高まり、医療、教育等でも飛躍的に効果を上げることが出来る可能性があります。

そして、AIは、実に多くのことに適用出来るのです。

目の前の問題にAIを適用出来るか?

そのためには、問題をどう捉え直せば良いのか?

それが解る優秀な人材が数多く必要になるはずです。


以上です。

記事中で取り上げました、当ブログオーナー、KayのAI書籍です。

数学やプログラミングでAIを語るのではなく、AIを使って問題を解決するための考え方を、楽しい実習を通して理解出来るようになることを目指しました。
Excelが使えるスキルがあれば、理系・文系を問いません。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年12月29日火曜日

正しい情報を得るスキル

 ITが解らないと不都合であることが、ますます多くなってきていると感じます。

ITが解るとは、単に、パソコンやスマートフォンを使えるといったことではなく、それらの機器で使うアプリやサービスの安全性や、 社会の中でITがどのように機能しているか等を理解していないと、ITに強い人や組織、そして、ビッグテック(巨大IT企業)に監視・支配されたり、思わぬ不利益を被る可能性があると思います。

特に、日本では、ITに関する法律が甚だ不十分であるため、ITによる損害に対し、誰も助けてくれない可能性があります。

また、以前は、ITをうまく使うことで成功した作家や音楽家等のクリエイターが話題になりましたが、いまや、才能があっても、ITを活用出来なければ、世に出るのは難しいのではないかと思います。


◆IT用語が重要な訳ではない

現在、ITのトレンドであるものと言えば、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)、IoT(もののインターネット)、AI(人工知能)等はよく聞きますが、さらに、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)等も、重要度が上がっています。

逆に、ITの用語の中には、重要そうに宣伝されていても、全く重要ではないものもあります。

昔だって、本当は重要でない横文字は沢山ありました。

今で言えば、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という言葉が、すごく重要だと言う人がいて、そんな人達が、それを知らないことが、いかにも時代遅れで恥ずかしいと思わせたいように話すこともありますが、別に知らなくても良い言葉です。

そもそも、ITの用語で、知らなくて恥ずかしいものなど、実際にはありません。

なぜなら、ITは、本で読んで知っていても、知らないのとほとんど変わらず、自分でやってみて初めて分かることだからです。

スマートスピーカーという言葉を知らなくても何の問題もありませんし、すっかりお馴染みのクラウドという言葉だって、本当に解っている人は多くありません。

重要なことは、用語ではなく、実践です。


◆ITが分からないと理解出来ないこと

ITが分からないと、漠然とした状況すら掴めない事例として、今年のアメリカ大統領選挙がそうだと思います。

内容には立ち入りませんが、トランプ大統領は、大規模な選挙不正が行われ、それよって、本当は自分が圧勝しているはずが、バイデン候補が勝ってしまったという理由により、訴訟を起こしています。

これに対して、CNNやニューヨークタイムズ等のアメリカの主要メディアは一致して、大規模な不正の証拠はないと口を揃え、「裁判所は、トランプ側の主張に正当性がないと言って棄却している」と報道しています。

従って、現時点では、大半の日本人は、「大統領選挙はバイデン候補が勝ち、1月にはバイデン政権が発足する。トランプが何か騒いでいるようだが、彼はもうお払い箱だ」と何の疑いもなく思っているはずです。

しかし、実際には、現時点では、次の大統領が誰かは全く決まっていないのです。


◆中国問題

中国問題についても、ITが分からないと、本当の姿が見えません。

今や、中国は、孔子や老子の時代のイメージとは程遠く、電子システムによる中央集権化を目指すサイバー国家であり、政府レベルでITは驚異的に進んでおり、日本とは比較になりません。

だから、ITを理解出来なくては、そんな中国が、本当は何をやっているか、やろうとしているかは分かりません。

そして、中国の動きは、日本、そして、我々のビジネスや生活、そして、世界に大きく影響を与えますが、ITを理解していないと、それに気付きもしない可能性があります。


◆偉い弁護士もITリテラシーが必要

アメリカ大統領選挙に話を戻しますと、現在も、アメリカ大統領選挙は完全に継続中で、少なくとも、1月6日までは続きます。

現在も、法廷闘争が継続中ですが、この裁判には、ITが深く関わっています。

なぜなら、現在の選挙は完全にITで実施しているからです。

そして、このITを悪用した大規模な不正が起こったと、トランプ大統領側は主張していますが、不正の内容を説明されても、ITが分からないと、ピンと来ないかもしれません。逆に、ITに詳しいと、これをきっかけに重要なことが分かります。

トランプ大統領には、元ニューヨーク市長のルディ・ジュリアーニ弁護士、元連邦検察官のシドニー・パウエル弁護士、著名な人権弁護士リン・ウッドといった、高名な弁護士達が味方しているのですが(自主的に無報酬でやっている場合もあります)、いかに凄い弁護士でも、ITが分からないと何も出来ないのです。

ところが、これらの、決して若くない超有名なベテラン弁護士達が、皆、十分にITを理解して訴訟を行っていることに驚きます。

65歳のパウエルや68歳のウッドはもちろん、76歳のジュリアーニもちゃんと当を得た話をしています。

ところが、裁判官はITが分からないので、訴訟に対し、「信憑性に欠ける」と棄却している場合もあるように思われます。

裁判官(あるいは裁判所)は、ITに限りませんが、自分で責任が持てないことは、審議せず棄却したがるのだと思います。

アメリカでも、まだ、裁判官は、法律には詳しくても、ITに関しては無知な場合が多いと思われます。

今はそれで通用しているのかもしれませんが、今後、中国に出し抜かれないためにも、そんな古い体質の裁判官では困りますし、終身制と言われるアメリカ連邦最高裁判事も、このままで良いとは思えません。

それで、今は、トランプ陣営は、選挙不正に関する裁判の戦略の方針をITの問題から、憲法問題に変更したようにも思われます(IT関連も証拠としては十分に提示します)。

ITに関し、アメリカよりさらにひどい日本で、IT絡みの裁判が遅々として進まず、裁判所が判決を下すよりは和解を勧める場合が多いのも頷けます。


◆マスコミの信頼度

アメリカ大統領選挙に関する日本のマスコミの報道を見ると、本当に何も知らないことに驚きます。

また、アメリカではマスコミは堂々と嘘をつきますし(それが暴露されても平気なようです)、日本もそうかもしれませんので、自分でネットで情報を集めない限り、真相は分かりませんが、それには、インターネットによる情報収集能力が必要です。

もはや、マスコミの報道は、頭から疑った方が良いかもしれず、少なくとも、鵜呑みにはしないことが大切と思います。

昔は、新聞を熱心に読む人は勉強家で偉いというイメージがありましたが、もうそれは時代遅れなのかもしれません。


◆YouTuberになれる資質

ネットの情報は膨大で、しかも、珠玉混交であり、正しい情報を掴むのは大変です。

そこで、難しい問題に関しては、人々の代わりに情報を集めて整理し、それをYouTube等で分かり易く発信する人が人気があって、お金も稼いでいます。

今はもう、それが仕事として成立しているのです。

かなり前から、小学生から高校生が、将来やりたい職業として、YouTuberを挙げることが多くなっていますが、長く稼ぎ続けるためには、上に述べたようなスキルが必要であることを、大人がちゃんと教えてあげなければなりません。

YouTuberというのは、今や、価値が認められた立派で有望な職業ではあるのですが、そうであるなら、それに見合う高度な能力や努力が必要なはずです。

ただ、マスコミの場合にも言えるのですが、人気のあるYouTuberの情報だって、ある程度、あるいは、かなりの偏向が混じっていると考えた方が良いでしょう。

すると、1から情報を集めるよりは簡単ながら、YouTube等の情報の真偽を判定する能力は、やはり必要です。

以上です。

当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AI理論や数学、プログラミングではなく、AIの考え方、作り方を普通の言葉で説明します。
そして、AIに、「モンティ・ホール問題」、「囚人のジレンマ」等の難問を自分で学ばせ、解かせる方法を教えます。

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2020年11月30日月曜日

情報の真偽をどう判定するか

 AI、認知科学、児童教育の研究者であるスガタ・ミトラ氏は、WIRED誌(2013.01.02)で、インターネットを介した「学び」は既存の教育を消滅させる、そして、未来の子供に教えるべきことは、3つだけであると述べています。

その3つとは、即ち、「読み書きの能力」「必要な情報を得る能力」「そして、その情報の価値を判断する能力」です。

初めの2つは、現代では割合に簡単です。

しかし、最後の「情報の価値を判断する」ことは、とても難しいかもしれません。

それを子供に教えるより先に、大人が習得する必要があります。

そこで、この「情報の価値を判断する」ことについて、今月行われた、アメリカ大統領選挙を題材にお話しようと思います。


◆権威ある報道機関の情報は信頼出来るか

アメリカでも日本でも、まだまだ多くの人が、情報を主にテレビや新聞等といったマスメディアから得ています。

そして、多くの人が、マスメディアの情報は正しい、少なくとも、悪意のある情報はないと信じています。

それは本当でしょうか?

2016年のアメリカ大統領選挙において、アメリカの主要メディアは、ヒラリー・クリントン候補が圧倒的に優勢であると報道しましたが、結果は、トランプ氏の勝利でした。

2020年の今回の選挙でも、やはり、主要メディアは、バイデン候補が大きくリードしていると報じましたが、実際は大接戦で、特に重要州であるフロリダ州やオハイオ州での予測を外しました(主要メディアの予想に反しトランプ氏勝利)。

これは、「予想なのだから外れることもある」という問題ではありません。

むしろ、大方では当たって当然であると共に、マスコミの予想が人々に与える影響が大きいことに対する責任もあります。

カリフォルニア州弁護士で、日本でも人気があるケント・ギルバート氏は、YouTubeで、「アメリカの主要メディアは恥を知らないといけない」と強い口調で述べています。

大統領選挙で世論調査が大きく外れることは、本来異常なのです。


◆メディアのカラー

アメリカには実に多くの情報メディアが存在します。

ニューヨークタイムズ(新聞)やCNN(放送局)等の主要メディアの他にも、数多くのメディアがあり、インターネットのみのWebマガジンにも評価が高いものがあります。

ところが、主要メディアのほとんどが、最近2回の大統領選の予測を大きく外していることを見ても、主要メディアが必ずしも信頼出来るとは限りません。

なぜ、こんな重要な予想を外すのかと言いますと、その理由の1つは、主要メディアも、決して公平・中立的ではなく、政治的・思想的傾向が明らかにあることです。

日本の新聞も偏向報道が指摘されることがありますが、アメリカのほとんどのメディアは、かなり政治的傾向がはっきりしており、各メディアを、保守派(共和党寄り。右派)、リベラル派(民主党寄り。左派)と分類することが多いのですが、現在の主要メディアの多くがリベラル派(民主党寄り)であり、大統領選挙の予測でも、民主党(クリントン氏やバイデン氏)に有利な報道をしています。

これは、決して、嘘の報道をしているというのではなく、民主党寄りである主要メディアの世論調査では、まず、自分達が応援する民主党が有利な予想を立て、その予想に近付くような偏った調査を行うという話があります。


◆正確な世論調査は可能

世論調査会社トラファルガー・グループは、2016年の大統領選挙の結果と、激戦州での勝敗をほぼ正確に予測しました。

トラファルガー・グループはこれまでも長く、優れた予想をしており、今回はトランプ氏の勝利を予測していましたが、選挙自体が接戦だった上、勝敗を決する鍵と言われるフロリダ州とオハイオ州を正しく予測しています。

また、主要メディアの中でも、比較的中立なFOXニュースでは、トランプ氏優勢としながら接戦の予想を伝えていました。

つまり、政治的偏向がなければ、まともな予想が可能な訳です。

日本のマスコミは、アメリカの左派の主要メディアであるCNNやNBC等の報道をそのまま引用しますので、日本でも多くの人が、バイデン氏圧勝と思っていたはずです。


◆マスコミの増長

影響力が大きなマスコミが権力者のように振舞うことは危険ですが、既にそうなっているかもしれません。

今回のアメリカ大統領選挙は、郵便投票が多かったこともあり、集計に非常に時間がかかりました。

その中で、主要メディアは、早い段階で、応援するバイデン候補が当選確実として、一斉に、バイデン氏を「次期大統領」と報じました。日本のマスコミもそれに倣い、朝日新聞は朝刊一面で「アメリカ大統領バイデン」という大見出しを掲げました。

これは、マスコミが事実を作り上げてしまったことになります。

バイデン氏自身も、それに押されてか、主要メディアが勝利濃厚と報じた時点で「政権移行チームを立ち上げた」と発表しました。

(※注 政権移行チーム自体は基本的には党から指名された時点で作っているので、それを始動させたという意味)

ところが、これらに対し、心ある政治学者や弁護士らが苦言を呈しています。

主要メディアがすっかり、バイデン氏を次期大統領扱いする中で、著名な政治学者で弁護士である、ハーバード大学教授アラン・ダーショウィッツ氏は、「バイデン氏の勝利宣言には法的根拠はない」と注意を喚起しました。

つまり、重要なことは、「大統領を決めるのは法律であり、メディアではない」ということです。

主要メディアの報道によって、人々が、大統領はバイデン氏だと思い込むことは危険なことです。

メディアの使命はジャーナリズム(真実の報道)であるはずなのに、まるで自分達が真実、あるいは、法であると人々に思い込ませるからです。


◆偏向報道

バイデン氏の勝利がほぼ確定になると、トランプ大統領は選挙結果に不服を申し立て、選挙に不正の疑いがあるとして訴訟を起こすことを発表しました。

ところが、それに対し、主要メディアは一斉にトランプ氏を批判し、「負けを認めないのは潔くない」「根拠のない主張で政治を混乱させている」と、全主要メディアが同じ内容の報道を行い、日本のテレビや新聞も、アメリカの主要メディアを真似、「往生際が悪い」といったネガティブな報道を行っています。

しかし、元アメリカ大統領、ジョージ.W.ブッシュ氏は、「トランプ氏には再集計の請求権および訴訟追行権が当然ある」とトランプ氏の立場を肯定しました。

ところが、アメリカ主要メディア、および、それに追随する日本のメディアは、ブッシュ氏の発言を報道しません。

さらに、メディアのおかしさが現れます。

トランプ氏は、選挙に不正があったとして、弁護団を組織して訴訟を開始しますが、主要メディアは一致して「トランプは unsubstantiated (根拠のない)、fraud claims.(詐欺の申し立て)をしている」と報じ、日本のメディアもやはり、それに従います。

それを見ながら、何も思わないのはおかしいと思います。

例えば、犯罪の容疑者が、いかに嘘のような主張をしても、それを、「根拠がない」とか「詐欺」とは言えません。

根拠があるかないかを決めるのは、メディアではなく裁判所だからです。

メディアに真実を決める権限はありません。

まして、トランプ氏は正当な申し立てをしているのに、メディアが「詐欺の申し立て」と言うのは異常と思います。

しかも、主要メディアは、トランプ陣営の、ルドルフ・ジュリアーニ、シドニー・パウエル、リンカーン・ウッドら、超一流弁護士達の発言を報道しません。

この訴訟に関するトランプ大統領の記者会見をCNNとFOXニュース以外が、「根拠がないから放送しない」と放送を打ち切るということもありました。

また、バイデン氏および、その息子のハンター・バイデン氏の中国・ウクライナでの汚職疑惑については、それなりの証拠があり、本来、メディアが報じないはずがないのですが、民主党寄りの主要メディアはこれを一切報道しませんでした。


◆中小メディアのジャーナリズム

最初に選挙の不正の大きなスクープを行ったのは、オンラインメディアのフェデラリストだったと思います。

アメリカには、主要メディア以外にも、実に多くメディアがあり、質の高い情報で評価されるものも少なくありません。

フェデラリストは、選挙不正の根拠を客観的に示し、それが真実かどうかはともかく、選挙制度に対する良い問題提起をしたと思います。

アメリカの主要メディアの中では、FOXニュースだけが、トランプ陣営の弁護士達のインタビューを放送しました。

FOXニュースは、共和党寄りであるとか、トランプのお抱え放送局だと揶揄されることがありますが、実際は、そんなことはなく、最近でもトランプ氏がFOXニュースを名指しで批判したこともあります。

つまり、FOXニュースは、単に、大手でありながらリベラル派でないという理由だけで、仲間外れにされているような感じです。

そのためか、日本では、英語が出来る人でも、FOXニュースはあまり見ていないはずです。

11月14日、ワシントンでは、不正選挙に抗議するトランプ支持者達が集まって集会が行われました。

これに対し、主要メディアは、「数千人のトランプの熱狂的支持者達が勝手な主張を掲げて騒動を起こした」程度に報じ、日本のメディアも倣いました。

しかし、集会に集まったのは、少なく見積もっても10万人で、実際は50万人であったと言われ、それは、YouTubeの映像を見ても納得出来ると思います。

アメリカに、エポックタイムズという無料のオンライン情報メディアがあります(日本語版もあります)。

中国系メディアでありながら、実質の中国政府である中国共産党を批判する立場を隠しません。

エポックタイムズの情報はアメリカでも高く評価され、日本の知識人の中にも愛読者が多くいます。

ここでは、主要メディアが一切扱わない、選挙不正情報を報道しています。

(ここで言っておきますが、元々現実に、アメリカでは日本と比べて多くの選挙不正が存在します)

確かに、SNSには、選挙不正に関するフェイク(偽)の情報も多くあるのも事実です。

その中で、どの情報が正しいかを自分で判断出来なければ、世界で、本当に何が起こっているか分からないまま、メディアに情報操作される可能性があります。

アメリカでも中国のような情報統制は確実にあると言う有識者は少なくありませんが、日本ではどうでしょうか?


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AIを自分で楽しく作成しながら、AIの本質的な考え方を文系の人でも実践的に理解出来ることを目的として書きました。
「モンティ・ホール問題」、「囚人のジレンマ」等をAIは、人間が教えなくても解けることも簡明に示しました。これはとても興味深いと思います。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年10月29日木曜日

バーチャル・ヒューマン

 先日、あるワイドショー番組で、海外でも活躍する日本人モデル、imma(いま)が紹介され、海外のトップモデルに優るとも劣らない美貌とスタイルが称賛されましたが、情報通であると思われる番組出演者達ですら、ほとんどが知らなかったのは、immaが人間ではなく、3次元CGであるバーチャル・ヒューマン(仮想人間)だということです。

今回のテーマは、今後、モデルだけでなく、あらゆる分野に進出するバーチャル・ヒューマンについてです。


◆AIで進化するバーチャル・ヒューマン

バーチャル・ヒューマン・モデル、immaは海外のファッションショーにも登場しています。

今は、海外のファッションショーでは、舞台に3次元映像を投影することが行われています。

技術の進歩により、3次元映像投影設備が小型化され、設定も簡単になってきています。

それで、immaも人間のモデルのように、最新ファッションに身を包み、ステージを歩きます。

つまり、世界のファッション業界では、バーチャル・ヒューマン・モデルが進出する準備が整っているということです。

バーチャル・ヒューマン・モデルは、完璧な容姿と共に、AIの活用により、自然で洗練された動作や表情が可能で、今や、人間の一流モデルのレベルと思いますが、AIがさらに進歩すれば、人間をはるかに超えると考えられます。


◆不気味の谷

ところで、これまで、immaのようなバーチャル・ヒューマン・モデルが登場しなかった理由が面白いので取り上げます。

人間以外の動物に関しましては、既に、映像だけのバーチャル・アニマルを超え、実体のあるロボットが活用されています。

映画では、サメ、トラといった危険な動物が必要な場合、ロボットが使われることが多くなりましたが、ロボット動物が使われている映画を見ても、観客は、それがロボットであることに気付きません。そのくらいリアルです。

保険会社のアフラックのCMに登場するアヒルを見て、「随分よく仕込まれたアヒルだ」と思ったかもしれませんが、あれもロボットアヒルです。

このようにロボットを使って撮影する技法を「アニマトロにクス」と言います。

では、人間のアニマトロにクス用ロボットはないのかと言いますと、既に、かなりのものが作られてはいます。

しかし、今のところ、もし使われても、ゾンビ役など、極めて特殊な場合だけです。

その理由は「不気味だから」です。

人間の感覚には「不気味の谷」と呼ばれる境界があり、(人間に関しては)中途半端にリアルだと、不気味に感じてしまうからです。

例えば、蝋人形は、かなりリアルに作っても、どこか本物と異なるので不気味なのです。


いまはまだ、ロボット人間は、完璧にリアルではなく、「かなりリアル」という段階なので、不気味さがあるのです。

しかし、CGで作られるバーチャル・ヒューマンは、完全な人間のレベルに達しています。

immaも完璧にリアルであるからこそ、不気味さがなく、自然に美しいと感じるのです。

バーチャル・アイドル・シンガーなら、初音ミクやIA(イア)、あるいは、中国の洛天依(ルォ・テンイ)らが国際的に人気がありますが、これらは、本物の人間と見間違えようがないアニメの顔をしています。だから、可愛いとは思っても、不気味とは思わないのです(ただし、年齢が高い人は不気味に感じる傾向があるという報告もあります)。

実際、バーチャル・アイドル・シンガーの製作会社では、あまり本物の人間に似せ過ぎて「不気味の谷」に引っかからないよう配慮しているという話もあります。

しかし、今後は、人間と見分けがつかないバーチャル・アイドル・シンガーも登場することが予想されます。

このように、immaのような、完璧なバーチャル・ヒューマンを作る技術がもっと普及していき、「不気味の谷」を超えることが容易になれば、バーチャル・ヒューマンは、様々な分野に進出すると思われます。

例えば、バーチャル・ヒューマンの教師やカウンセラーが注目されています。

見かけは人間と同じ(しかも美男・美女)でありながら、時に醜い心を持たない存在に教わる、あるいは、相談するという安心感が大きなメリットになる可能性があると考えられています。

ルドルフ・シュタイナーが「理想的な教師は空気のようなもの」と言ったことが本当の意味で実現されるのかもしれません。



◆バーチャル・ヒューマンの悪用

いずれは、誰でもimmaのレベルのバーチャル・ヒューマンを作れるようになると考えられます。

いまや、かなり高度なCG技術が、普通のPCで、誰でも安価に使えるようになってきました。

けれども、今は、ほとんどの人は、immaほどのレベルのCG技術を使ったり、immaを作るために必要なAIを作ることが出来ないので、ごく一部の者しか高級なバーチャル・ヒューマンを持てません。

しかし、immaレベルのバーチャル・ヒューマンを作るために必要な技術が、AIも含めて一般的になれば、写真1枚から、容易にバーチャル・ヒューマンを作ることが出来るようになります。

そうなれば、例えば、死者の写真から、その死者の生前の姿を簡単に再現することも可能です。

現在でも、技術力がある者による、著名人とそっくりなバーチャル・ヒューマン映像を作るといういたずらがSNSで行われ、話題・・・というよりは事件になることもあります。


◆バーチャル・シンガーが人間を超える

バーチャル・ヒューマンが既に進出している分野に歌手があります。

ヤマハが開発した歌声合成技術「VOCALOID(ボーカロイド)」を利用した、歌声合成ソフトがいろいろな会社で開発されています。

ただ、これらのソフトの基本的な操作自体は簡単なのですが、耳が肥えた人の鑑賞に堪えるほどの素晴らしい歌声で歌わせるには、かなり熟練と作業が必要です。

歌声合成ソフトの声を人間の歌手に近付けるために、ソフト開発者側、ユーザー側双方の多大な努力が行われている訳です。

しかし、これも、AIを使うことで状況が変わり、簡単に行えるようになります。

例えば、テクノピーチ社では、人間の歌手のわずか2時間の歌をAIに学習させれば、あらゆる歌を、その歌手そっくりに歌わせることが出来ます。

マイケル・ジャクソンの歌のCDを何枚かAIに聞かせれば、バーチャル・マイケル・ジャクソンが出来上がり、生前、彼が歌ったことのない歌でも、彼そっくりに歌えるのです。


◆バーチャル・ダンサー

また、ダンスに関しても、バーチャル・ヒューマンが躍る映像をAIが作成出来るようになるのも時間の問題です。

現在でも、人間のダンサーの身体にデバイスを付けて動きをトレースすることで、バーチャル・ヒューマンが踊る映像を作ることは可能ですが、人間のダンサーが躍る姿をカメラで撮影した映像だけで、AIの力でバーチャル・ダンサーを作る研究も進歩してきています。

やがては、天女のような素晴らしい、バーチャル・ヒューマン・ダンサーも登場するでしょう。

そうなった時、人間のダンサーが必要でないとまでは言えなくても、バーチャル・ダンサーで済んでしまうこと、あるいは、バーチャル・ダンサーでしか出来ないことも多くなると思われます。


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

AIもそうなのですが、本を一般の人に解り易く書くと、教科書的な正確さを欠くことが多く、そこに難癖を付けたり、見下したリする「寂しい」専門家が沢山います。
しかし、教科書的な書き方をすると、普通の人が絶対に使わない文言や言い回しになって、さっぱり解らなくなり、結局、人々に受け入れらてもらえず、その分野の発展を遅らせてしまうのです。
この本は、「すごく簡単」とは言いませんが、普通の人のために、普通の言葉を使って書きました。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年9月26日土曜日

人と音楽を結びつける技術

 以下は、今年(2020年)9月12日(土)に、YouTubeとニコニコ動画でライブ配信されました、「OngaACCELシンポジウム2020」を、筆者なりに理解した非公式な内容です。

現在は、以下のURLでアーカイブ配信されています。

◆OngaACCELシンポジウム2020

◆OngaACCELプロジェクト 公式HP

このシンポジウムの視聴者は、音楽と共に、音楽に関するテクノロジーやAIに、最低限以上の知識・理解がある方を対象としていると思われます。

そこで、そういったことに、あまり馴染みがない人にも解るよう、易しく簡潔にお話しようと考えて書きました。


【本文】

イギリスの作家コリン・ウィルソン(1931-2013)は、少年時代、アインシュタインのような科学者になることを夢見ていましたが、家が貧しくて(日本でいう)高校に進学出来ずに、工場労働者をしながら図書館で勉強を続け、23歳の時に書いた心理学的評論『アウトサイダー』で、一夜にして世界的作家となりました。

そのウィルソンは、生涯、大量の書籍を買い続け、置く場所がなくなる度に庭に小屋を立てたらしいですが、ある時点で2万冊と言われた蔵書の大半を実際に読んでいたといいます。

ところで、ウィルソンは、本だけでなく、音楽も好きで、彼の時代ですから、主にアナログレコードを、やはり大量に購入しました。

そしてある時、買ったレコードを全部聴くには、どのくらいの時間がかかるか計算してみたところ、一生、絶え間なく聴いても、聴ききれないことが判ったといいます。


◆名曲のほとんどを一生聴かない

普通の人は、歴史的名曲であっても、その大半を一生聴かずに終わります。

モーツァルトやベートーヴェンの主要曲ですら、クラシック音楽愛好家でない限り、そのほとんどを一度も聴いたことはないでしょう。

クラシックに限らず、もしかしたら、聴きさえすれば感動するような名曲でも、一生出会わないことがほとんどです。

ところで、音楽制作というものは、決して専門家だけが出来ることではなく、特に、近年はパソコンを使った電子音楽創作技術の発達により、音楽は、実は誰でも作ることが出来ることが解ってきました。

昔ですら、名曲の誉れ高いフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』は、プロではない趣味の音楽家が作ったものです。

ですから、毎日、素晴らしい曲が、世界中で沢山生まれ続けていると考えた方が自然と思います。

そして、せっかく作られた素晴らしい曲が、誰にも聴かれないまま埋もれたり、また、聴いていれば歓喜するような曲に出会えないというのは残念なことと思います。


◆AIによる音楽との出会い

その中で、AI等のテクノロジーを使い、人と音楽を結びつける研究が行われています。

その人に合った音楽がスムーズに見つかるよう支援することが1つの目的です。

経済産業省所管の公的研究機関である国立研究開発法人産業技術総合研究所(略称:産総研)の人間情報インタラクション 研究部門、首席研究員、兼、メディアコンテンツ生態系プロジェクトユニット代表である後藤真孝氏(工学博士)が中心となって行っている、そういった研究成果が、今年9月12日、「OngaACCELシンポジウム2020」として、3時間に渡って開催され、YouTubeでライブ配信されました。

(「OngaACCELシンポジウム2020」プロジェクトマネージャーは、クリプトン・フューチャー・メディア社長、伊藤博之氏)

その内容の一部を、以下でお話しようと思います。

以下にご紹介するサービスでは、YouTube、ニコニコ動画などの、膨大な曲を利用出来ます。 


◆Lyric Jumper 

このサービスは、まず、ある歌手が、どんな傾向の歌を歌っているのかを歌詞で解析します。

例えば、松田聖子と指定すれば、AIは、第一に「大人の恋愛」にカテゴライズ出来る曲が多いと判定し、では、楽曲のどの部分が、大人の恋愛と言えるかを示します。

さらに、同じ傾向を持つ歌手を選別し、サービスの利用者は、次に聴く歌手を選ぶ際の参考にすることが出来ます。


◆Songle

AIの力を借りて、その楽曲がそのような曲であるかを素早く把握することが出来るサービスです。

例えば、曲のサビ(聴かせどころ)をAIが抽出し、サビから聴くことで、音楽の傾向や雰囲気を感じることが出来ます。

もし、AIの判断が不正確だと考えられる場合は、人間が修正することも出来、AIと人間の集合知の両方を生かすことが出来ます。


◆Songrium

曲と曲との関係性から、自分に適した音楽を発見することを支援するという高度なサービスです。

今日では、1つの音楽コンテンツから、新しい音楽コンテンツが派生することがよくあります。

例えば、ある曲を気に入った人が、その曲を自分で歌い、演奏し、動画を作ったりして、新しいコンテンツとして動画サイトに投稿するのです。

(著作権の関係で問題が起こる場合もありますが)

こういった、オリジナル作品と派生作品の関係を解析することで、これまでは分からなかった、その音楽の傾向性を見つけ出せることが研究により分かってており、ここからも、お薦めの音楽を選択する重要なヒントが得られます。

これは、インターネットの発達と、一般の人がコンテンツを創造するCGM文化の発展がなければ、起こらなかったことです。

ニコニコ動画の21万曲のオリジナル曲に対する82万以上の派生作品を解析に利用しています。


◆Songle sync(同期技術)

これは、上記のものとは違い、音楽を解析する技術を応用し、人々を楽しませるサービスです。

例えば、コンサートにおいて、音楽に合わせてライブ会場の照明(色や照度等)を変化させたり、観客のスマートフォンにCGを表示させることで、ライブをより楽しいものに出来ます。

あるいは、音楽と同期してロボットを動かすことも出来ます。

ポイントは、そういった演出はソフトウェアが作るので人間が作る必要がないことと、音楽と完全同期することです。

例えば、1つの場所で、曲に合わせて花火を打ち上げ、遠くの人は、スマートフォンでリアルタイム配信された音楽を聴きながら、曲と同期した花火を楽しむことが出来ます。

同じことを普通に野外で行えば、まず、光速と音速の差により、花火と音楽が同期しないのはもちろん、通信遅延も起こりますが、これが完全同期しますので、広い場所で多くの人が一体感を得ることが出来るのです。これは素晴らしい技術です。


他にも、3時間に渡って、様々な研究成果が発表されました。

例えば、自動採譜という分野では、ピアノ演奏から楽譜をAIが作成するのですが、極めて高度な演奏であってもかなり正確に楽譜を作れるところまできています。

シンポジウムでは、具体的なAI技術をどのように使って実現しているのかといった専門的な内容も説明されていました。

また、 このシンポジウムの名称であるOngaACCELのOngaは「音画」であり、ミュージックだけでなく、ビジュアルも含みます。

例えば、これまでも、踊っている人の身体にモーションキャプチャーを行う機器を付けて、動きのデータをデジタル的に取り込むことは行われていましたが、CGやAIの発達により、カメラで捉えた映像だけからそういったデータを取得したり、あるいは、静止画から、動画データを作るといったことも行われているようです。


音楽を楽しみ、そして、新しい形の音楽を発展させていくことに、テクノロジーが大きく貢献しているのです。

 

以上です。 


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

自動車はメカが解らなくても運転する専門で良いのですし、電子レンジはマイクロ波が解らなくても料理専門で良いことはお解りと思います。
AIも、理論やプログラミングが解らなくても、「推測させる」専門で十分です
誰でも実用的AIを作ることが出来るように書きました。
ただし、理論、数学、プログラミング、AI思想も、入門者にとって興味深いことは書いたつもりです。

本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年8月26日水曜日

AIはどうやって推測するのか

 現在はまだ誤解されていることが多いのですが、AIは思考するマシンではなく、推測するマシンです。

そこで、AIが推測するものであることがよく解るよう、野球の試合において、AIにバッターを攻略させるお話をしようと思います。

サッカーのゴールキーパーの攻略も同じように出来るはずです。


◆バッター攻略に必要なこと

一流のバッターと対戦する時には、ピッチャーは、単に速い球を投げるとか、切れ味の鋭いカーブを投げるだけでなく、頭を使う必要があるはずです。

頭で戦いを有利にするには、バッターの情報が必要です。

その情報によって、バッターにどんな球を投げれば、バッターがどう反応し、結果がどうなるかを推測する訳です。

それは、ピッチャーだけでなく、捕手や監督、あるいは、コーチの仕事であると思います。

そして、推測するマシンであるAIは、人間以上に、バッターの反応を推測出来る可能性があります。


バッターを攻略するためには、そのバッターの一般的な特性が分かっているだけでは足りず、バッターの微妙な癖を知る必要があります。

では、バッターの癖を知るにはどうすれば良いかと言いますと、当たり前ですが、バッティングを見て分析します。

とはいえ、10試合や20試合、そのバッターのバッティングを見ても、なかなか癖を正確に見抜くことは難しいと思います。

確かに、バッターの癖とはどのようなものかをよく知っている経験豊かな捕手や監督であれば、見る数は少なくて済むでしょうが、それでも、素人が思うよりは多く見る必要があるはずです。

100試合分や200試合分以上の情報が必要かもしれず、それでも足りないかもしれません。

しかも、人間は忘れますので、それを補うだけの数を見る必要があります。

だから、バッターの癖による攻略というのは、実際には難しいと思います。

そこでAIの出番です。


【補足】バッティングデータの収集に関し、いずれ、AIはバッティングの映像ビデオを見れば十分になるでしょうし、それは現在でも不可能ではありませんが、一応、今は、記録係の人がビデオを見て、「ピッチャーの球=120km/hのフォーク。バッターの動作=スイング。結果=三振」のように、文字で入力するとします。


◆AIの人間に対する強みとは

AIには、当然ですが、コンピューターの強みが全部あります。

人間に対するコンピューターのよく知られている強みが、「速い」「忘れない」です。

AIは、あるバッターのバッティングを200試合分見たら、その200試合のバッティングを全部、正確に覚えています。

そして、もう1つのメリットの「速い」が重要です。

人間なら、あるバッターの200試合分のバッティングのデータを見ようと思ったら、かなりの時間(数日、あるいは、数週間)かかるかもしれません。

詳細に分析しながら見たら、それこそ、どれだけ時間がかかるか分かりません。

しかも、人間は、見たもののうち、かなり多くを忘れてしまいます。

しかし、コンピューターなら、その10倍の2000試合分でも、おそらく数秒で、詳しく分析しながら見て、1つも忘れません。


◆AIは人間の脳を真似ている

ところで、人間はバッティングをどう分析するかと言いますと、当然ながら、頭を使うのですが、正確には、脳を使います。

脳がどんな仕組みで働くかは、以前はほとんど解らなかったのですが、今日では脳の研究が進み、いくらか解るようになってきました。

そして、脳科学者と数学者が協力して、脳の働きを真似した論理的なモデルを作りました。その代表的なものがニューラルネットワークと言われているものです。

さらに、コンピューターの発達により、ニューラルネットワークをコンピューターでシミュレート(模倣)出来るようになりました。

この、ニューラルネットワークをコンピューターでシミュレートする「ニューラルネットワークシステム」が今日のAIの土台になっています。

つまり、今日のAIは、人間の脳を参考にして作られているのです。

ただし、実際は、脳の仕組みの詳細は、まだまだほとんど解っていません。

思考やひらめき・直観、フィーリングなどといった高度な機能はもちろん、実際にはほとんどの脳の機能がまだ研究段階で、今はなんとか、基礎的な部分が分かっているだけです。

ですから、ニューラルネットワークの細かい部分は、あくまで人間が(ただし、飛び切り頭の良い人が)考えたものです。それは、日々、進歩しています。

ニューラルネットワークを理解したり、作るためには高度な数学が必要です。

日本の高度なAI開発会社では、現役の東大生等、頭の良い人を雇っているという話があります。

また、それで作ったニューラルネットワークをコンピュータープログラムにするには、高度なプログラミング能力が必要です。

しかし、作成済みのニューラルネットワーク・システムを利用してAIを作るだけなら、数学や高度なプログラミング能力は不要で、ある程度のプログラミングが出来ればAIを作れます。

さらに、今は、プログラミングも不要なニューラルネットワーク型AI構築アプリが次々に登場し、プログラミングが出来なくても、言ってしまえば誰でもAIを作ることが出来るのです。


◆AIと人間の役割分担

AIがバッターの癖を見抜くというのは、もっと正確に言えば、AIは、バッターの癖を推測する訳です。

何度も繰り返しますが、AIに出来ることは推測だけなのです。

ただ、その推測はかなり正確に行えます。

AIは、推測したバッターの癖(沢山あるはずです)が、それぞれ、どの程度確からしいのかを、確率で(例えば80%)示します。

それで解ったバッターの癖から、どう攻略するかは、あくまで人間が考えることです。


AIは、あるバッターのバッティングを見れば見るほど。つまり、データを得れば得るほど、癖が正確に分かります。

しかも、たとえ1万試合分のバッティングでも、普通のパソコンで数分~数十分、高級機なら数秒以下で見ることが出来ます。

AIは、バッティングデータを取り入れると、ニューラルネットワークシステムを使い、バッティングを分析し、そのバッターの癖を推測します。

その後、試合の中で、AIに、こんな質問をしたとします。

「ランナーは2塁、カウントは2ストライク1ボールで、中程度の速球派の右ピッチャーが内角低めのストライクゾーンに速球を投げると、結果はどうなるか」

すると、

「センターにゴロで返す確率53パーセント。ヒットになる確率28パーセント」

と答えたりします。

AIにいろんな質問をし、最も望ましい結果が期待出来る球を投げれば良いのです。

SFでは、昔からこのような場面があったような気がします。

それがいよいよ実現し、そして、それを誰でも行えるのです。


以上です。


当ブログオーナー、KayのAI書籍。

数学、プログラミング、高度なAI理論なしで、実用AIを自分で作ることが出来るようになることを目的とした本です。
面白いテーマにAIで挑む楽しい実習を通して、AI作成に必要なセンスを身に付けます。
本書のほぼ全ての実習が出来るデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。

2020年7月26日日曜日

AIは人類が求め続けてきた待望の道具

チンパンジーが道具を使うという話があります。
とは言っても、それは、石で叩いて何かを砕いたり、棒で突っつくといった程度のものです。
特に賢いチンパンジーは、木の棒の余分な枝を除いたり、石を加工したという話もありますが、陸上動物では人間に次ぐ発達した脳を持つチンパンジーでもそこまでです。

◆人間はなぜ道具を作ったのか
人類の最も古い道具は、映画『2001年宇宙の旅』では、こん棒でした。もちろん、正確なことではないでしょうが、だいたい、そんなものだったと思われます。
ところで、道具とは何かと言いますと、全て、「自己の能力を拡張するもの」であると言えると思います。
上の『2001年宇宙の旅』では、こん棒で自己の攻撃力を拡張した旧人類は、周囲の旧人類達を暴力で圧倒しました。
また、人間の歯や爪は、あまり強力ではなく、硬いものを切れませんので、人間は石器を作り、もっと固いものが切れるよう銅器を作り、さらに、鉄器へと進歩させました。
そして、人間は、あまり速く、そして、長時間走れないので、馬を走る道具とし、さらに、もっと楽に乗れるよう馬車を作り、やがて、鉄道列車や自動車を作ります。
飛行機に関しても、純粋に飛びたいというよりは、速くスムーズに移動したいと思って発明したのではないかと思います。
このように、人間は、人間の裸の能力に不満を感じたので、その能力を高めるために道具を作ったのだと思います。

◆深刻に欲しい能力
ところで、かなり昔から、人間が持ってはいるが、その能力が低いことを賢い人達は認識していた能力があります。
それは、「予測力」です。
トーマス・フリードマンは、ただのジャーナリストなのですが、彼は、度々、ホワイトハウスで大統領と話し合っていました。
その他にも、彼は、超大企業のCEOや億万長者の大投資家、アラブの石油王達とも、度々、誘われて会談をしました。
なぜ、フリードマンがそれほどの大物達に「モテる」のかと言いますと、彼が高い予測能力を持っていたからです。
フリードマンは、政治、国際問題、戦争、科学など、広い範囲に渡り、鋭い予測力を発揮しました。

ニューヨークタイムズ等、世界中のメディアでよく引用された、こんなジョークがあります。
「平均的な専門家の予測の正確さは、チンパンジーが投げるダーツとだいたい同じ」
これは、誰かが口から出まかせで言ったのではなく、ペンシルべニア大学教授、フィリップ・テトロックが、1984年から2004年まで20年の間、大変な労苦をかけて詳細に研究した結果、出した結論です。
つまり、専門家の予測なんて、「チンパンジーが投げるダーツ」程度のいい加減なものなので、フリードマンのような「それなりに本当に当たる」予測能力を持った人は非常に貴重なのですが、そんな人は滅多にいないようなのです。
昔から、歴史に名を残すような大政治家や大将軍、あるいは、大事業家達が、評判の高い占い師を、秘密裏に高給で雇っているというのは、風説もあるでしょうが、実際に確認されている例も多くあるようです(そんな事実を調査した研究者の著作もあります)。
それほど、責任重き立場の人達は、正確な予測力を欲しているのだということです。

◆予測力を得るコストが下がった
それなら、正しい推測をする道具を作れば良いのですが、そんなものをどうやったら作れるのか、最近まで皆目見当が付きませんでした。
1960年代から行われている、コンピューター・シミュレーションも、予測を目的としています。
しかし、簡単なことならともかく、コンピューター・シミュレーションで複雑な予測をしようとしますと、膨大な労力や予算がかかりますが、実際には、それほど正確な予測は得られません。
ところが、近年、ビッグデータという、正確な予測が期待出来る、待望の手法が出来ました。
実際、ビッグデータは驚異的に正確な予測をすることがあります。
しかし、これを使えるのは、膨大なデータと高度な設備、そして、優れたデータサイエンティストを擁する一部の企業だけです。
ところが、1950年代から研究が進められてきたAIの分野で、2006年頃に「ディープラーニング」という手法が発明され、これがAIに取り入れられることで状況が一変します。
最初は、ディープラーニング型AIを使うことは難しいことでしたが、これを簡単に使う方法が急速に発達しました。
そして今や、ディープラーニング型AIは、誰でも使え、これによって高度な予測が出来るようになりました。
実際、ディープラーニング型AIは、未来の技術ではなく、もう「枯れている技術」とまで言う専門家すらおり、目端の利く企業は、規模の大きさに関係なく、既に導入し、活用しています。
これを使うか使わないかで、持てる予測力は比較になりませんが、予測力がどれほど重要なものであるかは上に述べた通りです。

以上です。

当ブログオーナー、KayのAI書籍。
AIを自分で作れるようになることは、今後の世界でとても重要になると思います。
しかし、我々は、そのために、無限の時間を割く訳にはいきません。
自動車を運転出来れば便利ですが、運転を習得するために膨大な時間や費用をかける訳にいかないのと同じです。
実用的なAIを作るために、数学もプログラミングも難しいAI理論も不要です。
そして、技術オタク、数学オタク、プログラミングマニアでなくても分かる普通のテーマを普通の言葉で説明することでAIツールの使い方が分かるようにしました。
応用編においても、類書に見られる退屈なものではなく、興味深く感じるテーマを選びました。
ただし、それが成功しているかどうかを決めるのは読者ですが。