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2020年3月30日月曜日

『楽しいAI体験から始める機械学習』トピック(1)

来月(2020年4月)、私と数学講師Mr.φさんとの共著のAI(機械学習・ディープラーニング)書籍、

『楽しいAI体験から始める機械学習』

が、技術評論社から出版される予定です。
この本のトピックを、少しずつ語っていこうと思います。

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今のAIは凄いと言われます。
その通りです。

スマートフォンをお持ちなら、Googleアシスタントという素晴らしいAIを誰でも無料で使えます。
「17条憲法って何?」
「2048年9月2日は何曜日?」
「4068かける992は?」
「モーリタニアの首都は?」
などと声で質問したら、即座に答を言ってくれます。

ところが・・・
「11って、素数?」
「5は奇数?」
って聞くと、アシスタントは答えをはぐらかします。
なぜ、こんな簡単なことを・・・と思うかもしれません。
私の本では、そんな例をもとに、AIの得意不得意も説明しようと思います。

私の本では、誰でも自分で、無料でAIが作れるようになることを目指しています(実際に作るにはExcel程度は必要になります)。
機械学習ソフトは、ソニーの無料のWindowsアプリNNC(Neural Network Console)を使います。私なら1憶円と言われても驚かない凄いソフトだと思います。

最初は、拍子抜けするほど易しいことをAIにやらせるのですが、易しいと言っても、苦労して子供に教えるような内容です。
それを確かに、AIは自分で学ぶのです。
例えば、算数の足し算です。
ところが、足し算の仕方を直接AIに教えなくても、問題と答を与えていけば、AIは自力で学び、足し算が出来るようになります。
そして、天才や博士でも分からない問題のデータ(問題とその答)を与えたら、AIは算数と同じように、それを学び、答を出せるようになるところもお見せします。
足し算も、難問も、同じように学ばせることが出来る訳です。
つまり、AIに足し算を学ばせる方法が分かれば、少しの応用で、あなたは、あなたが抱える難しい問題もAIに学ばせ、答を出させることが出来るかもしれないのです。

1回目終了。

2020年3月25日水曜日

AIを自分の手で作ろう

少し前から、極めて高度なレベルの討議において、
「そう遠くなく、AIは人類の知性をはるかに超え、そんなAIがもし人類を不都合な存在として排除しようとしたら、能力の差から、人類に対抗手段がない」
と警告が発せられることがありますが、そんな警告を表明する者の中には、オックスフォード大学の、あらゆる学問に通じた天才哲学者ニック・ボストロム、時代を超えた事業家イーロン・マスク、マイクロソフト創業者で世界一の大富豪ビル・ゲイツ、さらには、神に最も近い知性を持つとまで言われた物理学者スティーブン・ホーキングら、人類トップクラスの頭脳の持ち主達も含まれます。
一方、FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグや、元MITメディアラボ所長の伊藤穣一氏など、「そんなことはあり得ない」と断言する人達もいます。

◆AI自体が脅威なのか?
ただ、最近はTEDでのスピーチを聞いても、この問題に対し、当を得た見解を述べる人が多くなったと感じます。
これらの人々の趣意は、一致する方向にあるように思います。
それらのスピーチの主旨を簡単に言うと、こんな感じと思います。

現在のAIは確かに驚異的なテクノロジーですが、本当の問題は、例えば原子力のように、権力者達が、それを使って間違いを犯すことです。
既に、AIを使って、権力を独占したり、人々を監視し、自由を奪うようなことが行われつつあるように思われます。AIには、それを可能にする力があります。

そこで、ブロックチェーンのように、強大なテクノロジーは、特定の権力者ではなく、全ての人が管理するようにしなくてはならないのだと思います。

◆AIは本当に人間を超えるか
現在のコンピューターを構成しているシリコンチップは原子の大きさに近付き、原子より小さくは出来ませんので、やがて性能の限界が訪れます。
しかし、これに関しては、シンギュラリティの提唱者であるレイ・カーツワイルは、「昔、真空管がトランジスタに変わったように、現在のLSIに代わる新しいテクノロジが出来るはず」と述べ、その「新しいもの」の候補の1つが、三次元分子コンピューターだと言います。
しかしこれはまだまだ、研究段階のテクノロジーです。
量子コンピューターは、今は適用範囲はそれほど広くありませんし、安価になったとはいえ億円単位で、大がかりな設備も必要です。
とはいえ、いつかは、現在のコンピューターとは根本的に構造が異なる、比較にならないほど高性能のコンピューターが登場することは間違いありません。
しかし、それでAIが人間を超えると考えるのは早計と思います。

◆優秀な人がなぜ間違う
なぜ、ビル・ゲイツやイーロン・マスクのような極めて優秀な人達が、AI自体が人類の脅威になるなどと考えるのでしょう?
AIが人間の知性を超えると言う人達は、自分の手でAIを作ったことがないのだと思います。
確かに、人間の脳の推測性能を超えるコンピューターは今でも作れるかもしれませんが、AIを自分で作ってみれば、AI自体が人類を征服しようなどとは決して思わないシロモノであることが分かります。
実際、AIの能力は、ある面では恐るべきものです。
しかし、AIは小学生でも出来る素数の判定すら出来ないのです。
つまり、AIは非常に優秀な面がある反面、子供にも(ひょっとしたらチンパンジーにも)及ばない部分も少なくないのです。
本当に危険なのは、上でも述べた通り、AIを自分の利益のために使おうとする権力者なのです。

◆AIは誰でも作れる
今や、AIを自分で作ることは難しいことではありません。
しかし、イーロン・マスクのような、極端に時間単価の高い人がやるには向いてないことでもあります。
その理由は、まず、AIを作るには、試行錯誤が必要で時間がかかることがあります。
ビル・ゲイツやイーロン・マスクらが、そんな作業をする場面は想像が出来ません。
しかし、AIを本当に理解し、権力者によるAIの悪用を阻止するためにも、多くの人々に自分でAIを作っていただきたいのですが、ほとんどのAIの本は難しく、普通の人には歯が立ちません。
そこで、筆者が、誰でもAIを作る方法を教える本を書きましたので、それを活用願えればと思います(※)。

◆自分でやってみることの大切さ
DIY(Do It Yourself)という世界的に有名なスローガンがあります。
「何でも自分でやろう」という意味です。
第二次世界大戦でナチス・ドイツに破壊された街を、ロンドン市民が自分達の手で復興させようとした時に、このポリシーを掲げました。
これが大きなムーブメントを起こして、やがて全ヨーロッパに、そして、アメリカに、さらに世界中に広がりました。
そして現在、専門家に金を払ってやらせていたこと(製作や修理等)を、「自分でやる」心構えを持つことの価値が見直されています。
それは、単にコスト削減のためだけでなく、新しい創造性を発揮することにつながったり、プロにとっても、これまで見落としてきた重要なものを発見する機会になります。
そもそも、ビル・ゲイツがパソコンを世界的に普及させた時のポリシーがまさに、「大学や大企業の専門家だけが使えるコンピューターを誰もが使えるようにしよう」だったはずです。
イーロン・マスクも、ビル・ゲイツも、若い頃は自分で熱心にプログラミングをしましたが、巨大な事業を営む彼らには、そんな時間がなくなってしまい、少し大切なことを忘れてしまったのではないかと思います。

以上です。

※『楽しいAI体験から始める機械学習』(技術評論社)2020年4月出版予定

2020年3月5日木曜日

新しい時代の業務システムとは

今の時代、コンピューター業務システムを持たない会社は少ないと思います。
しかし、社会とテクノロジーが急速に進歩し変化する時代には、新しいタイプの業務システムが必要です。

◆事業を発展させるシステムとは
コンピューターシステムは今や、単に業務効率を上げたり人員削減を目指すためのものではなく、事業の発展を推進する役割を担うべきものです。
しかし、実際には、システムが事業の発展の足枷になっていることがよくあります。
事業の発展に貢献するシステムは、事業の成長や変化に対応して柔軟・迅速に変化する必要があります。
多くの会社では、システムを一旦完成させれば、それで安心しているようですが、そのままでいては、事業を硬直化させ、将来の発展を阻害し始めます。
本当は、システムは作ってからが重要なのです。
システムが変化していないなら、ライバルも社会のニーズもどんどん先に進む時代の中、その会社は化石化します。
システムと一体化しながら進歩する事業でなければ、今後は、特に海外との競争に勝てそうにありません。

◆変化に強いシステムとは
ところが、「システムは無闇に変えてはいけない」と考えている人が沢山あります。
そう考えるようになった原因は、古いタイプのシステムは、改善・拡張が難しいと共に、無理にそれを行うと、システム全体に渡って予期せぬトラブルが起こるからです。
しかし、今は、完成後、変化し続けることを前提にシステムを開発しなければならず、そんなシステムが作られるよう、初めから計画しておく必要があります。
そして、もう1つの大きな問題は、企業で権限を持つ人が、システムを変えようとする気はあっても、その方針が不合理なことです。これは、権限を持つ者が新しいITに無知なことから起こります。

◆変化に対応するツールを
システム開発に当たっては、修正や拡張が容易に出来る開発ツールを採用することが重要です。
現在は、JavaやPHPといった普通のプログラミング言語でも、開発や改造の効率が上がるような工夫が取り入れられていますが、まだ十分とは言えないと思います。
もっともっと、簡単に修正や拡張を行えるツールが望まれます。
ただし、そのツールが、将来、長く存続することが必要です。
つまり、そのツールを開発・販売する企業が今後も発展し続け、そして、そのツールが将来に渡って人気があり、開発・販売会社によるバージョンアップとサポートが続けられるという確証が得られないなら、採用すべきではありません。
プログラマー向けのオープンソースの優れた開発ツールは存在しますが、もっと簡単に業務システムを開発出来るオープンソースが登場すれば良いと思います。

◆社内開発を
開発を委託した開発会社の担当者が退職した、あるいは、会社そのものが存続していないなど、もはや珍しくはありません。
かといって、長く安定して存続することが期待出来る大手開発会社の開発費用は高いですし、大手だから安心という訳でもありません。
また、大手は、開発に失敗はしないとしても、保守的な手法を使いたがり、結果、60点のシステムに落ち着き、しかも、それは変化に弱い場合が多いものです。
また、開発会社の担当者が、ユーザーの業務の中身を理解するにも限度があり、まして、未来の計画を共有するのは現実的に無理があります。
アメリカでは、日本と比べ、コンピューターシステムを社内で開発する比率がかなり高いのは、理想的なシステムを開発するためには、社内製作が有利であるからだと思います。

◆ドワンゴの凋落
ドワンゴは、動画投稿システム「ニコニコ動画」で一世を風靡しましたが、ある時期から急激に衰退しました。
その理由は、ニコニコ動画のシステムが、根本的には初期の頃から変化せず、時代に取り残されたからです。
なぜ、あれほどの企業が、主事業のニコニコ動画のシステムを発展させなかったかはここでは置いておきますが、いずれにせよ、社会の変化についていけなかったコンテンツの末路を如実に現わしています。

◆IT教育
日本のIT教育はとても遅れていて、いまだ、プログラミングを子供にどう教えようかと議論しています。
しかし、他の多くの国では、上記に挙げたことを含め、テクノロジーと社会の関りを理解出来る教員を養成するための予算が取られています。
日本は、政治家や官僚のITリテラシーが低いと思われ、このままでは、日本の将来は危ういかもしれません。

以上です。