2021年12月20日月曜日

AIの教育活用の心構え

 AI(人工知能)の技術は、今後もますます進歩していきます。

それは、MITやスタンフォード等の天才達等が急速に進めてくれるはずです。

しかし、一方で、AIの使い方はどんどん易しくなっていきます。とはいえ、AIの性質を理解していないとAIを全くうまく使えません。


◆AIを使う目的は人間が決める

AIの教育への活用が、ますます盛んになると思われます。

そこで、教育について考えますと、AIを教育現場に導入する際に、必ず考えないといけないのは、「AIを導入する目的」です。

いったい、何をAIにやらせるのかといった明確なビジョンが人間になければ、有益な成果は全く期待出来ません。

AI自体が、目的を作り出してはくれません。

元々、AIとは目的を創造するものではないからです。AIにそんな高度な能力はありません。

AIは、いかに優秀であっても、人間を拡張する道具に過ぎません。

人間が目的をはっきりと決めないのに「AIが何となくうまくやってくれる」ことはありません。

目的を決めるのは人間の責任であると共に特権なのです。


では、教育現場へのAI導入には、どんな目的が考えられるでしょうか?

試験の成績を上げるとか、受験に合格するためでしたら、AIはすぐにでも有効です(既にごく一部では活用されています)。

なぜなら、そういったことのノウハウは教育現場に十分にあるからです。

では、「AIで子供の創造性を育てる」というのはどうでしょう?

それに関する、優れたノウハウが多くあれば、AIはそれをさらに洗練させることが出来ます。

しかし、現在、そんなノウハウが日本に十分にあるとは思えません。日本の教育界が創造性についてなおざりにしていたというのではありませんが、十分に研究、実践、検証されているかは疑問です。

しかし、その必要性に気付いてはいるはずです。

現在は、創造性に関する教育ノウハウは蓄積中と考えて良いと思います。

ところで、創造性の教育に関して進歩した国のノウハウが自由に日本やその他の国に流れ、流れた先で高い受容性を持って新しい試みが為されれば、多くの価値ある成果が生まれます。そして、それが情報提供者にフィードバックされるといったサイクルが出来なければ、特にこの分野の進歩は遅々としたものになり勝ちです。

AIの進歩には、情報は多いほど良く、知識・情報の広い共有は、早く質の高い成果につながるのです。

よって、AI時代に必要なことは、独占ではなく、シェア(共有)とコラボレーション(共同活動)であると言えます。


◆天才教育

さらに、「アインシュタインのような天才を作る」はどうでしょう?

AIがそれを行うことは可能です。

ただし、そのためには、沢山のアインシュタインのような天才がいることと、それぞれの天才の情報が十分あることが必要です。

天才は、多くはないですが、いくらかはいます。それなら、長い時代の中に大勢いたわけです。

天才とは個性的なものですが、実際には、天才に共通する面がかなりあるはずです。

AIが沢山の天才達の情報を学習・分析すれば、人間が行うよりも高い精度で、しかも早く、天才に近付くためのノウハウを解明し、人間に提供出来ます。

しかし、観察可能な天才は少なく、よって、天才達の実像は明確ではなく、むしろ、歪められている可能性があります。

現在は、各国の教育機関、教育者達が、自分達に都合の良い形に、アインシュタインのような天才の姿を脚色しています。

つまり、偏見やエゴが、天才教育ノウハウを得ることを遅らせているのです。

まず、事実を正確に知る努力から始めなければなりません。

現在の状況を考えれば、アインシュタイン的なファクター(因子)を育てることが出来るAIが登場するのは当分先のようです。

しかし、いつかは可能なはずです。


◆AI時代に必要な発想の転換

アインシュタインもエジソンも学校の勉強は苦手でした。

また、二コラ・テスラは自閉症でした。

一方で、ルネ・デカルトは、自分が名門校の中でも優等生であったことを明かしていますが、同時に、自分が全く敵わない優秀な生徒がかなりいたことも認めていました。しかし、そんな秀才達はデカルト以上になりませんでした。

よって、天才の秘密とは、試験の成績とは一致せず、我々の予想を全く超えているかもしれません。

沢山の天才を調査し、そこで得た情報をAIに学習させることが出来れば、天才の明らかなファクターが分かる可能性が高いと思います。

しかし、それは、AIだけで出来ることではなく、洞察力ある人間の協力が必要です。


AI時代こそ、人間に人間特有の能力の発揮が求められます。

2105年を描いたSF『BEATLESS』(長谷敏司著)で、人間より高い知性を持つアンドロイドがこう言います。

「私達は道具です。道具が下らないことをするのは、それを使う人間が下らないからです」

人間は、AIやコンピューターとは違う方向で進歩しつつ、人間とAIは、お互いが協力することで、調和的に進歩し、これまで夢にも思わなかったことを実現するのです。

しかし、上役はあくまで人間であり、責任を取るのは人間の責任であり、特権なのです。


以上です。


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