※ 2024年2月執筆
敢えて以前に書いたものを見返すと鮮明になることがあると思う。
人類にはいろいろな分断があり、両勢力で激しく争うことがよくあります。
極端なもので言えば、天動説と地動説、社会主義と資本主義です。
かつては、インターネットやSNSが発達すると、誰でも自由に発言出来ることで、平等に対話が行われ、相互理解が深まるのではないかという期待がありましたが、実際は、かえって分断が深まっているというのが現実と思われます。
そして、最近、やはりそうであったと思わされる出来事があったと思います。
それは、2024年2日6日に行われた、アメリカのニュース解説者タッカー・カールソンのロシアのプーチン大統領への単独インタビューです。
◆正反対の見方しかない
タッカー・カールソンのプーチン大統領へのインタビューに関しての評価は正反対のものしかないように感じます。
一方は、「ウクライナ紛争を含む隠された真実が語られた」という肯定的見解ですが、もう一方の主張は「仕組まれた茶番だった」という完全な否定的見解です。
それぞれのグループは、現在流行の悪い言い方で表すことが出来てしまいます。
それは、肯定派は「陰謀論者」で、否定派は「DS(闇の政府)側」です。
大手メディアは、一部を除きほぼ否定側です。
とにかく、この出来事によって、世界の大きな分断が明らかになったと思われます。
◆歴史的出来事のはずが
西側(米国をはじめとする資本主義国)のメディアによる、プーチン大統領への単独インタビューが行われたことは信じ難い出来事でした。
しかも、時間制限がないという異例のもので、実際、インタビューは2時間以上にも及びました。
ところが、驚くべきことに、インタビューを行ったタッカー・カールソンはフリーのニュース解説者で、どこのテレビ局にも所属していません。
カールソンは元々、CNN(米最大手放送局)のキャスターだったこともありますが、最近まではFOXニュース(米大手放送局)の超人気キャスターでした。
しかし、昨年(2023年)、カールソンは突然FOXニュースを解雇されました。解雇理由は諸説ありますが、FOXニュースのカールソンの番組の視聴率は極めて高く、また、カールソンはまだ54歳と若いことを考えても謎とされています。
しかし、普通に考えれば、スポンサー企業の圧力であると思われます。
日本も同じですが、日本のNHKやイギリスのBBC等の公共放送を除き、テレビ・新聞などのメディアは公共機関ではなく、スポンサー企業の意向に沿う必要があります。
よって、大手メディアも決してジャーナリズム精神(真実・公平)だけでやっていけるものではありません。
つまり、FOXニュースでのカールソンのニュース解説は、FOXニュースのスポンサー企業にとって非常に好ましくない傾向であったのだと思います。
とはいえ、超人気キャスターであるカールソンに対し、他テレビ局のスカウトは当然ありましたが、ここで問題が発覚します。
FOXニュースはカールソンを解雇したとはいえ、2025年1月までカールソンとの契約は残っており、2000万ドル(約28億円)とも言われる年棒をカールソンに支払う代わりにカールソンの支配権を持ち、カールソンは他局に移籍出来ません。
カールソンはFOXニュースに契約解除を求めましたが、FOXニュースは応じず、係争中とも言われています。
FOXニュースも、ライバル局に視聴率をもたらすカールソンを移籍させるわけにはいかないのでしょう。
そこで、カールソンは、SNSのX(旧ツイッター)にニュース番組を開設しました。これは誰でも出来ることで、これなら、あくまで個人の立場での情報発信を行うのであり、FOXニュースとの契約に反しないと思われます。
このことは大きな話題になり、XのCEOであるイーロン・マスクとカールソンの対談がXで配信され、さらにカールソンの人気が上がったように思われます。
カールソンのプーチン大統領へのインタビューもXで視聴出来るだけでなく、多くの人がYouTubeで自国の字幕を付けたり、自国語で吹き替えを行ったりし、それを見た多くの人がカールソンを称賛する一方、日米の主要メディアはこの出来事を黙殺しました。
よって、まだまだ大勢いるテレビや新聞しか見ない(SNSを活用しない)人々は、この出来事を知りません。
この出来事は、ネットで情報を得る人とテレビしか見ない人の間との分断があることも実感させてくれました。
◆日本のメディアの扱い
新聞、テレビなど、大手メディアは先ほども述べた通り、カールソンのプーチン大統領へのインタビューについてほとんど報道しませんでした。
その中で、著名な専門家を集めて討論を行うTBSのBS放送番組(インターネット同時放送)「報道1930」で、このインタビューを少し取り上げていました。
ただし、インタビューそのものを取り上げたというより、「珍奇な出来事があった」といった扱いでした。
この番組では、コメンテーターである大学教授やシンクタンクの研究者、また、有名評論家などは、カールソンは次のような人物だと述べています。
彼はトランプ前大統領の側近、あるいは、アドバイザーで、このインタビューも、カールソンがトランプの指示で、トランプが大統領返り咲きを目指す2024年の米大統領選挙の選挙対策として行ったのだとほとんど断言していたように思われます。
さらに、カールソンは信用に値しない人物で、政治や国際問題を扱う資格のないモノを知らない薄っぺらな人物であるとし、その他の中傷をも行い、ますます、このインタビューに価値がないことを印象付けます。
番組の結論として、このインタビューの目的は、プーチン大統領の発言により、アメリカの世論を誘導するためであるといった論調でした。
確かに、こういった見解を持つ人もいると思いますが、全く別の見解を持つ人々も大勢います。
ところが、番組では、他の見解は全く語られず、テレビしか見ない人は、この番組の見解を信じると思います。
カールソンのプーチンへのインタビューを極めて重要なものと考える人々と、それを全くの無価値と断ずるメディアを信じる人々。ここにも大きな分断が見られます。
補足として述べると、カールソンは2023年8月29日には、ウクライナと国境を接するハンガリーの首相ビクトル・オルバンとも単独インタビューを行っています。ファシストであるとも言われるオルバンとのインタビューも難しいのですが、噂とは違い、礼儀正しく良識を感じられるオルバンの姿を初めて見た人も多いと思います。
ただし、このインタビューも、インターネットのSNSで報じられただけで、テレビでは報じられませんでした。
◆アメリカの分断
元々、アメリカは左派(リベラル派)の民主党と右派(保守派)の共和党の分断がありますが、現在は、その分断は特に深刻であると思われます。
重要な問題について、両者の主張はかなり極端に異なります。
もちろん、民主党、共和党それぞれの中でも異なる主張があります。
しかし、それぞれの主流派の主張は、はっきりしています。
移民問題では、移民を無制限に受け入れる民主党と、不法な移民を拒否する共和党。
脱炭素問題では、パリ協定を遵守し、アメリカ国内での石油の採掘をやめ、自動車を全てEV(電気自動車)にすることを目指す民主党と、脱炭素問題は虚偽として、パリ協定を脱退し、石油を大いに採掘し(トランプ大統領時代、アメリカは世界最大の産油国)、自動車はEVを止め、ガソリン・ディーゼルに戻す(あるいはハイブリッドを採用する)という共和党。
WHO(世界保健機構)を手厚く支援する民主党と、WHOは利権団体であるとして、これから脱退しようとする共和党(トランプ大統領はWHOを脱退しバイデン大統領で復帰しました)。
LGBT問題では、LGBTの権利を無制限に認める民主党と、一定のラインを設けた上で権利を認めるべきという共和党。
ここまで、極端に違えばアメリカの分断は止められません。
仮にテレビしかないなら、国民の大多数が大手メディアの主張(ほぼリベラルと思われます)の影響を強く受け悪い意味かもしれませんが、分断は少なかったはずです。
インターネットとSNSは、ますます分断を加速させますが、それが独裁を防いでいるという肯定的な見方もあります。
そこで、問題は、一般国民がどう正しい判断力を持てるかということと思います。
以上です。
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