2026年5月11日月曜日

強まる巨大IT企業の世界支配

※2023 年12月執筆

昔から日本では「お客様は神様です」という言葉が根付いていると思います。

アメリカでは、さすがに神様とは言いませんが、それでも「お客様が正しい」という理念はあると聞きます。

しかし、IT時代には、お客様の定義が相当変わってきているように思います。


◆アマゾン利用者はお客様か?

現在、世界中の人がアマゾンで買い物をしています。

その理由は、圧倒的に便利だからです。

あらゆる商品が豊富に揃い、売れ筋商品の大半は、翌日、あるいは、当日に届き、配送料は基本無料です。

さらに、珍しい商品も簡単に検索して見つけることができます。

ところで、アマゾンで買い物をする人がアマゾンのお客様であるかというと、従来の「お客様」という意味では違うと思います。

アマゾンは、買い物客、販売事業者、配送会社を取り持つプラットホームを提供しているだけです。

そのプラットホームがあまりに優れているから、世界中の人がアマゾンで買い物をするわけです。

そして、買い物客は、アマゾンの、その素晴らしいプラットホームを無料で利用させてもらっているのです。


◆なくては生きていけないグーグルサービス

グーグルの数多くの素晴らしいサービスの大半は無料です。

たとえば、Gmail(電子メール)、グーグル検索、グーグルドライブ(大容量ストレージサービス)、グーグルマップ、グーグルアシスタント(AI)、さらには、ChatGPTに対抗するAIサービスであるBard等々、全て無料です。

本来は、これらのサービスのいずれも、利用料が高額でも当たり前なほどの高機能で高品質なサービスです。

そして、今や、グーグルのサービスを使わなければ、仕事も生活も出来ないという人が多くなっています。

野口悠紀雄氏(経済学者。イエール大学経済学博士。元大蔵省官僚。元東大教授)は、ある日、通信障害でグーグルサービスが使えなかった時、絶望的な気分になったとX(旧ツイッター)で告白していました。

グーグルの収益の大半は広告であり、お金は企業から取っていますが、グーグルのサービスが無料である1つの大きな理由は、グーグルはサービスを利用するユーザーのデータを得るという目的があるからです。

このデータが、広告において大きな力になります。また、広告以外にも、様々な使い道があります。

いずれにしろ、アマゾンの場合以上に、我々がグーグルのお客様であるとは言えません。


◆ビッグテック(巨大IT企業)はユーザーの行動を制限する

もし、アマゾンに気に入らない部分があっても、我々はアマゾンの利用をやめることは考えられません。

これほど便利なものの代わりがないからです。

買い物だけなら楽天でもできますが、アマゾンビデオなど付属する圧倒的なサービスは、一度使うとやめられません。

そして、上でも述べました通り、グーグルのサービスはそれ以上に現代人が必要としています。

Gmailといった電子メールは、LINE等の普及により、使わない人が多くなっています。

しかし、Gmailアカウントで利用できる膨大なサービスは、もはや現代人には必要不可欠になっています。そもそも、世界で最も普及しているAndroidスマートフォンではGmailアカウントが事実上必須です。

ここまでくれば、グーグルは企業ではなく、国家に相当するところがあり、考え方によってはそれ以上の力を持っています。

たとえば、誰かに対して、グーグルがグーグルアカウントを取り上げても、誰も文句は言えません。

グーグルアカウントを取り上げられることは、人権を取り上げられるに近い感覚があると思う人が多いと思います。

これが国であれば、まだ世論に訴えることができますが、グーグル相手ではそれが難しいのです。

たとえば、グーグルドライブに不道徳な画像を、単に保管目的でアップロードしても、グーグルがアカウントを停止したという話があります。

これはどういうことか、少し考えるべきと思います。

つまり、何が不道徳であるかは、法律でも裁判所でも世論でもなくグーグルが決めるのです。

道徳などの問題に関して、よく話題になるのがグーグル傘下にあるYouTube(動画投稿サービス)です。

YouTubeは、事実上、テレビなど、あらゆるメディアを超える世界最大の情報メディアと言えると思います。

YouTubeはグーグルアカウントを持っていれば誰でも、視聴はもちろん、投稿もできます。

投稿には広告が付けられ、それによって投稿者は広告料を得ることができ、動画の再生数が多ければ収入も大きくなり、かなり高額な収入を得ている投稿者もおり、これで生計を立てている人もいます。そんな人達が、現在の若者が憧れる職業の1つであるユーチューバー(YouTuber)です。

ところが、動画の内容が規定に反していれば、グーグルにより、動画が削除されたり、さらには、アカウントを一時停止されたり、取り消しになることすらあります。

確かに、サービス提供者には規定を決める権利がありますが、YouTubeでは、規定に反しているかどうかの判断も完全にグーグルが決めます。

さらにいえば、規定に同意できなくても、グーグルはそんな意見を聞く必要はありません。

夕ーチューバーが、アカウントを取り消され、不意に収入を失うことになっても、ユーチューバーは全く反論できません。

同じ動画が、YouTubeでは規定違反として削除されても、ニコニコ動画やX(旧ツイッター)では何の問題もないことはよくあります。

たとえば、よく知られているものでは、新型コロナウイルスに関するワクチンや薬品問題、2020年米国大統領選挙の不正問題、J.F.ケネディ暗殺問題などは、話題にしてはならない、あるいは、してはならなかった時期があります。

高い評価を得ていて、支持者も多いユーチューバーが、アカウント永久停止となり、YouTubeから排除されたこともあります。ただし、多くの場合、ニコニコ動画やXでは全く何の問題もないのです。

YouTube以外のことに関しても、グーグルには絶対的な権利があり、ユーザーはそれに従わざるをえません。しかも、ユーザーは、それが気に入らないからサービスを使わないという選択ができません。


これらから考え、巨大IT企業には人々の思想を統制する力がすでにあり、巨大IT企業の善意に人類の運命がかかっているのではないかと思われることがあります。

そして、AIの進化によりその力はさらに大きくなります。

どういうことかと言いますと、AIは個々の人間を監視できるようになり、巨大IT企業やそのスポンサー企業の利益に反する人物に対し、圧力を加えることが現実的に可能であるかもしれませんし、それが既に行われていると言う人もいます。


以上です。

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