※2024年1月執筆
2023年にOpenAIの対話型AIであるChatGPTが世界を席巻し、負けてはいられないGoogleは、ChatGPTと同じ対話型AIであるBard(バード)を発表しました。
そして、さらにGoogleは2023年12月、新AIのGemini(ジェミニ、あるいはジェミナイ)を発表し、その性能は多くの部分でChatGPTを超えると言われています。
(BardとGeminiの関係がすっきりしないのですが、GeminiはBardから使え、普通の人にはGeminiとBardは一体化したものと考えて良いと思います)
仮に、ChatGPTがGeminiに劣っても、ChatGPTも次期バージョンが控えていますし、他社からも優れたAIが登場する可能性があります。
つまり、AIは、まだまだ進歩するということで、限界は見えません。
その中で、AIの現状とGeminiの素晴らしさを実感出来る学校の授業の話をします。
AIの発達で不要になる職業があると言われますが、教師もそうであるかもしれません。
◆カーン・アカデミーの成功
AIの発達以前のITにより教育革命を起こしたカーン・アカデミーは、教育の専門家ではない投資アナリストのサルマン・カーンが作ったものです。
カーンは、従来の教育法の欠点を解決することで成功しました。その欠点と解決法は次の通りです。
・従来の教育は1つのことを1回だけ教え、その1回で理解し損ねた子供は見捨てられることが多くありました。そこで、カーンは、何回でも見ることが出来る録画ビデオの授業を採用しました。
・教室や一般オンライン授業では、生徒は必ず教師の顔を見せられます。しかし、教師の顔は生徒の注意を過剰に奪うことが分かりました。そこで、カーン・アカデミーの学習ビデオでは教師の顔はなく、手だけが現れます。脳科学的にも手を見せることは学習効果を高めるという信憑性の高い研究があります。
・生徒が学習に集中出来るのは10分までです。カーン・アカデミーの授業ビデオは全て10分以下です。
・従来の教育は科目ごとに分けて教えますが、必要なら一緒に教えることが効果的であることが分かり、カーン・アカデミーではそれを採用しました。
AIを使うまでもなく、カーン・アカデミーはITで学習効果を大きく上げることが出来たわけです。
そして、AIにより、さらに大きな成果を期待出来ます。
カーン・アカデミーは、教師は不要とは言いませんが、なくても何とかなることを示しました。
そして、AIでいよいよ教師は不要になるかもしれません。
◆小テストの有効性
AI研究者のピーター・ノーヴィグは、自身のスタンフォード大学の講義を一般公開する際、カーン・アカデミーを参考にし、講義時間は6分以内で2分のものもあり、映像は紙に手書きする動画だけで、「居酒屋で頭の良い友人に教わっている」雰囲気を目指したと言います。
しかし、授業を効果的に進めるには小テストによるチェックが必要であることを良い教師はよく知っています。
そこで、ノーヴィグは小テスト問題を作り、生徒には期限内の答案提出を義務付けました。
ここで問題になるのは、小テストを解けない生徒のケアです。
これに関して、ノーヴィグは専用のSNSを設置することで解決しました。つまり、生徒同士で教え合うのですが、それは教師が質問に答えるより良い成果が出ました。
この時点で、教師はほとんど不要と思われました。
ただし、小さな教室では、教師が小テストを通じ、生徒に手厚いサポートをする効果はやはり大きいことが分かっています。
そこで、いよいよAIの登場です。
◆Geminiのテスト添削(書き加えや削除を含む修正や指導)能力
最初に紹介したGoogleの新AIであるGeminiを、テストの添削に導入すればどうなるかの実験が行われました。
紙に印刷されたテスト問題に、生徒が手書きで回答した数学の答案用紙を使いました。
生徒の解答の正誤判定だけでなく、途中経過の評価が必要ですし、証明問題もあります。
生徒が書いた文字は癖があり、人間でも読み難いものがありました。
しかし、答案用紙をスキャンしてGeminiに渡すと、Geminiは正確な正誤判定や採点だけでなく、途中経過や証明問題の解答のどの部分が間違っているかを指摘し、その間違いを正しく修正し、その詳細な解説も用意しました。
さらに、もし生徒が、AIの解説が理解できない場合、生徒自身がどこが分からないかを普通の言葉で伝えれば、それに対してGeminiが解説することはもちろん、生徒が何が分からないのかをGeminiが複数推測し、生徒がその中から選択するだけで、それに沿った新しい解説を行います。
そして、驚くべきことは、Geminiは、小学校から高度な専門分野のテストまで、添削するために、何の準備もいらないことです。
Geminiを導入すれば、誰でも即座に、そんなことが出来るのです。
さらに、生徒好みの姿と音声で応対してくれるアバター教師を作ることは現在の技術でも可能で、これをGeminiと組み合わせることが可能になります。すると、生徒は好きなタイプの教師に1対1で教わることが出来、学習が楽しいものになります。
◆実務への応用
上記のように、AIのテストの添削の能力は驚くべきものですが、テストであれば、正解があります。
もっと高度なレベルの問題では、解答がなく、そんな問題に対し、人間は専門家を中心とした人々が協力して解答を探します。
そんな能力でもAIが人間を引き離した時、いよいよ人間が不要になる可能性が高まりますが、それは、そう遠くない時期に実現すると考える研究者が多くなっています。
解答のない問題を解決するためには想像力が必要ですが、AIが想像力を持つことは可能と考えられています。
人間の想像力の仕組みも分かってきています。そして、それはAIが十分に持ち得る能力であると予想されていて、さらに、AIは人間より高い想像力を持つ可能性が十分にあります。
以上です。
0 件のコメント:
コメントを投稿