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2023年4月2日日曜日
人類文明を最も大きく変革するChatGPT
2023年2月10日金曜日
ITで人類の頭が悪くなる
科学の発達が人類の頭を良くしたのに、テクノロジーの発達が人類の頭を悪くしてしまったことについて、分かり易いお話をしようと思います。
今日、これは、非常に重要な問題であると思います。
◆新しい世代ほど頭が良い
2014年に、TEDの中でも評判の高い講演である、知性の研究で知られる哲学者ジェームズ・フリン(1934~2020)による「なぜ祖父母世代よりもIQが高いのか」で、科学の発達が人類の頭を良くしたことが、分かり易く語られています。
科学では、見ることも体験することも出来ないことを、概念を元に考える抽象的な思考を必要とします。例えば、原子を見ることは出来ず、原子を理解するためには、何かの概念と結びつけて抽象的に原子をイメージする必要があります。そういった抽象的な思考方法が人類の頭を良くしました。
このことについて、フリンはとても分かり易いたとえ話をしました。
人種問題について考えていた少年時代のフリンは父親に、「父さんが明日の朝、目が覚めたら黒人になっていたらどうする?」と尋ねました(フリン親子は白人です)。
今の時代、すぐ後で述べるフリンの父親のような答をすれば、馬鹿だと思われるかもしれませんが、当時は当たり前の答でした。
その、父親の答とは、「肌の色が変わった人間なんていない」でした。
科学教育を受けなかった彼の父親は、抽象的に考えることが出来ず、抽象的思考が出来ないと、経験的にしか考えられないのです。
例えば、昔のハンターに、
「雪があるところにいる熊は白い。北極には雪がある。では、北極の熊の色は?」
と尋ねると、抽象的思考が出来ない昔のハンターは、
「俺が見た熊はみな茶色さ」
と答えます。抽象的に考えない者には、自分の経験したことにしか意味がないのです。
一方、アインシュタインは、「光と一緒に飛んだらどんな感じだろう?」と思い、それについて抽象的に思索を深め、やがて特殊相対性理論を発見しました。
しかし、フリンの父親に、「光と一緒に飛んだら、どんな感じだと思うか?」と尋ねたら、こう答えるでしょう。
「光と一緒に飛んだ人間なんていないさ」
◆人類の知性の向上は1990年頃に止まった
フリンは調査を行い、時の経過と共に、人類のIQが高くなっていることを確かめました。
ところが、別の研究者による、近年の人類のIQについての研究によれば、1990年頃に人類のIQの伸びは頭打ちとなり、2010年頃からは低下します。
その原因が分かったのは割と最近のことで、その原因とは電子機器の普及と関係します。
1990年頃に急に人類のIQの上昇が終わったのではなく、1950年代位から始まったテレビ、ラジオ、オーディオ機器の普及が徐々に影響してきたのです。
人々は、あらゆることを、「テレビを見ながら」「ラジオを聴きながら」「音楽を聴きながら」行うようになり、オフィスや病院でもBGM(背景音楽)が流れる「進歩した職場環境」が生まれ、日本でも、学生はラジオや音楽レコードを聴きながら勉強することが「ナウい」と言われるようになりました。
そして、仕事でも勉強でも、「音楽を聴きながらの方がはかどる」と主張する人は多く、経営者や教師らも、それを全て否定することが出来ず、一定の効果を認めざるを得なかったのだと思います。
そして、1990年頃に、電子メールが使える携帯電話が普及すると、多くの人々は、何をする時でも携帯電話の画面を見ながら行う頻度が増え、さらに、2010年頃のスマートフォンの普及で、いつでもどこでも、大切なことをする時でさえ、スマートフォンを見ながら行う人が、特に若い層では圧倒的となりました。
いまや、スマートフォンこそ文明の利器であり、これを常に使いながら、あらゆることを行うことが正しいという風潮を否定することが難しくなりました。
ところが、最新の脳の研究によれば、「ながら」で仕事や勉強をすると、能力が著しく低下し、それに慣れると、頭自体が悪くなることが分かっています。
◆スマートフォンは予想以上に能力を低下させる
学生を対象に、スマートフォンとペーパー試験の成績に関する実験が行われています。
すると、スマートフォンを使わないまでも、机の上に置いているだけで試験の成績が低下することが分かりました。
次に、机の中やカバンの中にスマートフォンを隠しても、やはり成績は低下し、さらには、スマートフォンの電源を切ってポケットに入れても成績が低下することが確認されました。
そして、スマートフォンを教室の外に置いた場合にのみ、有意な成績の低下は認められませんでした。つまり、たとえ使わなくても、スマートフォンを意識に浮かべるだけで、能力は低下するのです。
ところが、こういうこと(よそ事を意識すると能力が低下すること)が分からなかった原因が、人間の感覚の中・・・脳の仕組みとしてあったのです。
どういうことかと言いますと、よそ事を意識したり考えたりすれば気分が良くなるように脳は出来ていて、このことで、「ながら」でやると効率が上がると勘違いさせられてきたのです。
つまり、昔から、よく言われてきた「音楽を聴きながらの方が、勉強が(あるいは仕事が)はかどる」と主張する人々は、嘘を言っているのではなく、本当にそう感じ、信じていたわけです。
ただし、それは勘違いで、実際は、「ながら」でやると、確実に能力は落ちます。
しかし、「ながら」でやると、脳内に快感物質が発生する仕組みになっていて、気分が良くなるので、効率が上がっているように感じるのです。
では、なぜ、脳は、このような仕組みになっているのでしょうか?
それは、分かってしまえば簡単な話です。
人類の歴史から見れば、文明が発達したのはごく最近のことで、人間の脳自体は、いまも太古の狩猟時代とほとんど変わりません。進化の速度は極めてゆっくりなのです。
そして、大昔、目の前のことに集中すると、野獣が近付いてきても気付かずに殺されてしまう時代が何万年も続きましたので、脳は、集中せず、意識をあちこちに分散した時(キョロキョロした時)に、脳内に快楽物質を発生させ、気分が良くなるようにしました。
それによって、人間は、快楽を求める麻薬作用で、集中せず、キョロキョロするようになり、我々の先祖は、それで生き延びたわけです。
だから、「音楽を聴きながらの方が勉強がはかどる」と言うのは、「野獣が近付いていないか気付くために、キョロキョロした方が気持ちが良くなる」というのと同じ原理なのです。
◆子供に集中力がないのは当たり前
つまり、何と、人間の脳は、元々、集中を避けるように出来ているのです。
だから、子供が集中力がないというのは、いわば当たり前で、極端に言えばですが、「集中しろ」と言うのは「野獣に殺されてしまえ」と言うのと同じなのです。
よって、子供に集中して勉強させるとか、職場で集中して仕事をさせようとして、ただ、「集中しろ」「よそ事を考えるな」と言っても反発されるだけです。余計なことを考える方が気持ちが良いのですから。
軍隊のように、集中しないと敵に殺されるとか、ミスをして独房に入れられる(死の危険があります)とかであれば、「生きる」を最優先する本能の働きのために集中出来ます。昔の戸塚ヨットスクールが効果があった理由もこれと思われます。沖合で船から放り出されたら、集中して泳がざるを得ませんから。
しかし、文明社会の中では、集中させるためとはいえ、乱暴だったり危険があるやり方は容認することは出来ません。
そこで、まずは、最低限のこととして、「ながら」をやめさせる必要があります。
学校や職場でBGMを止め、必要もない時にスマートフォンを、せめて電源を切って仕舞わせた方が良いでしょう。
そして、好奇心を持たせることに、もっと力を入れるべきです。
好奇心もまた、脳内に快感物質を発生させるので、キョロキョロする誘惑に打ち勝てるからです。
勉学における好奇心の重要性を説いたのもアインシュタインでした。アインシュタインは、
「鞭で食べるよう強制されたら、空腹な野獣でさえ食欲を失う」
という喩えで、強制的な詰め込み教育を行うことの害を訴えました。アインシュタイン自身が学生の時に苦しめられたのがそのことでした。
北欧の多くの学校では、かなり昔から、授業内容を10分程度で切り替え、子供達の好奇心が消えないようにしています。
また、オンライン授業世界一のカーン・アカデミーでは、1授業は必ず10分以下です。さらに、カーン・アカデミーでは、画面に教師の顔を決して出しません。心理学の研究成果により、人は、人間の顔が見えると、それに意識を奪われ、集中が切れることが分かっているからです。
◆まとめ
集中した時の人間の能力は高く、そして、現代社会では野獣に襲われる恐れはなく、キョロキョロする必要はありません。
しかし、テレビ、ラジオ、オーディオ機器といった、人々の注意を、重要なことから引き離すものが溢れ、キョロキョロする人が増えました。
そして、いつでもどこでも、所有者に合わせて、強制的に気を引くような情報を送りつけて来るスマートフォンの、集中を奪う力はあまりに強力です。
スマートフォンを発明したスティーブ・ジョブズが、自分の子供には決してスマートフォンを与えなかったことはよく知られています。
我々は、頭を良くし、勉強や仕事の効率を上げたいなら、本当に大切なことに集中し、これまでは肯定されることも多かった「ながら」を止めなければなりません。
ところが、ロボットを作るための、個々の生徒の好奇心を無視した画一的な教育や、「ながら」でものごとを行うことで、学生達の頭が悪くなった結果、科学に興味を持たない人が多くなったと思います。それで、現在、ジェームズ・フリンの父親のような若者が多くなるという先祖返りが起こっているように感じます。
「カラスと魚の違いは?」と聞かれ、せめて、「飛ぶか泳ぐかの違い」と答えれば良いのですが、経験的に、「魚は食えるがカラスは食えない」という答は、フリンの父親世代の答です。しかし、今、そう答える若者が多そうな気がします。
※キョロキョロすると脳に快感物質を発生させる働きをする遺伝子が壊れていて、限りなく集中出来る人間が存在し、そのような人間が天才的な能力を発揮することがあります。そのような人間は、変人扱いされ、社会に適合出来ない場合がありますが、彼らが集中による人間の能力の可能性を示しているように思われます。二コラ・テスラが、1日13時間勉強したのは、彼が努力家でもあったのでしょうが、キョロキョロさせる遺伝子が壊れていて、限りなく集中出来たからと思われます。
以上です。
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2022年11月21日月曜日
メタバースと脳内チップ
昨年(2021年)10月28日、マイクソロソフトを除くITの世界トップ企業4社を示す“GAFA ” の一角であるフェイスブックが社名をメタ・プラットフォームズ(以下、「メタ」と略します)に変更しましたが、それにより、このメタという社名が意味する「メタバース」の重要性がますます認識されてきたと思います。
メタバースとは、オンライン上に構築されたVR(仮想現実)空間、あるいはそのサービスのことです。
そのようなサービスは、既に数多く存在しますが、メタは、全力を傾け、メタバースの覇権を目指すはずです。
それほど、これからの世界で、メタバースが重要なものだからです。
今回は、メタバース時代に備え、メタバースの中心的な技術であるVR(仮想現実)に関する興味深い話をします。
◆VR(仮想現実)
2017年8月に出版された、元・日本マイクソフト社長の成毛眞氏の著書『理系脳で考える AI時代に生き残る人の条件』(朝日新聞出版社)で、こんなことが書かれていました。
「最近でいえば、VRを体験しているかいないかは大きな違いだ」
この言葉には、「いまだVRを体験していない人はかなりまずい(時代に置いていかれる)」というニュアンスが含まれていると考えられます。これがもう4年以上、前のことです。
VRを体験するとは、現代では、ほぼ、VR用HMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を頭に装着して何かを行うことを意味します。
しかし、では何を行うのかというと、今のところ、大半がゲームで、その他のコンテンツも若者向けのものがほとんどですので、VRを体験しているのは若者が圧倒的です。
メタバースはVRと共にあるものですので、メタバースに取り組むには、VRに馴染んでいることが有利というか、必須かもしれません。
とはいえ、ゲーム以外の「大人の用途」としては、例えば、オンラインのVR空間で会議を行うといった会社は、進歩的と言うよりは、遊び心がある会社といった感じかもしれません。
ところが、2020年10月に、メタが開発した(正しくはメタが買収したOculus社が開発した)「Oculus Quest 2(オキュラス・ クエスト・ツー)」という、高性能ながら、安価なHMDが発売されたことで状況が変わってきました。
Ocullus Quest 2は、人気があったOculus Questの後継機ですが、Oculus Questと違い、パソコンを必要とせず単独で使用出来、軽量で使い勝手も格段に良くなり、これで、HMDの普及が大きく進むと思われます。
◆メタが目指すもの
メタがまず目指すのは、メタが運営する世界最大のSNSであるFacebookのメタバース化です。
メタバース化されたSNSは、既にもういくつか存在しますが、Facebookをユーザーに支持される形でメタバース化することで、Facebookが最大のメタバースSNSになる可能性が高いでしょう。
そこでメタは、手始めに、Facebook内で比較的簡易なメタバースを提供し、Facdebookユーザーをメタバースに慣れさせようとするでしょう。例えば、企業が簡単に、メタバース内でリモート会議をするデモンストレーションをメタは公開しています。
実用的な用途として、教育分野では、教師と生徒がメタバース内で授業を行うことも簡単に出来るようになります。
しかし、これらはあくまでプロローグ(序章)であり、メタの計画はもっともっと壮大なものです。
◆フルダイブ型メタバース
メタが目指すメタバースは、この世界と全く同等の仮想世界の構築と、その中で人々が、現実世界のように活動出来るようにすることです。
簡単に言えば、デジタルの新しい世界を作ることです。
丁度、SF映画の『マトリックス』のような世界です。
夢のような話ですが、メタは本気で実現を目指していると思わます。
ところで、『マトリックス』シリーズの第1作『マトリックス』は、実に1999年、つまり、20世紀の作品です。
テクノロジーの進歩が急速化している現代でも、あれから20年以上も経つのに、いまだ『マトリックス』の世界は全く実現出来ていません。
『マトリックス』の世界と現代のVRの違いは何でしょう?
現代のVRは、HMDをつけた、視覚と聴覚だけの仮想世界です。なるほど、初めてHMDでVRを体験した人は、そのリアリティ(現実感)に感動することがよくあります。
とはいえ、現代のVRは、やはり、視覚と聴覚だけのものですので、やがて慣れ、そして、飽きるのです。
一方、『マトリックス』の世界は、五感全てで感じる仮想世界で、自分が現実世界に居るのか仮想世界に居るのか区別がつきません。喩えて言えば、鮮明な夢の中にいるようなものです。
五感全てで仮想世界に没入する技術をフルダイブ技術と言い、そのような世界に入ることを「フルダイブする」と言います。
そして、フルダイブしようと思ったら、脳とコンピューターを直接接続するしかありません。
『マトリックス』でも、そのようにしていました。
『マトリックス』では、仮想世界にフルダイブする人間の首の後ろに、コンピューターとの接続コネクターがあり、そこにコンピューターのケーブルを接続します。この場合、脳から首の後ろにかけて外科手術をして首のコネクターで接続出来るようにしているはずです。
しかし、現代でも、そんな手術が出来るほど脳の研究は進んではいませんし、仮に可能だとしても、正直、誰もそんな手術を受けたくないはずです。
ところが、そんな恐ろしい外科手術をせず、脳にチップを埋め込むだけで(それでもやりたくない人が多いでしょうが)、脳とコンピューターを接続することを実現しようとしているのが、イーロン・マスクが設立しCEOを務めるニューラリンク社です。ニューラリンク社では、猿を使った動物実験では、かなりの成果を上げているようです。しかし、人間で実験を行うとなると、倫理的規制が大きく立ちはだかります。
◆脳に取り付ける装置の人々の認識
脳に機械を取り付けて脳の力を拡張したり、あるいは、脳に機械を取り付けられた人間の心をコントロールするという発想は、かなり昔からあります。
現実的にも、脳神経と記憶装置を接続し、脳の記憶力を増大させる研究がMITメディアラボで行われているという話があります。
ただ、こういった研究が進むためには、一般の人々の理解を得ることも必要なのですが、一般の人々の、この分野の認識や理解は遅れています。
例えば、有名なSF作家だった平井和正氏原作の1963年の漫画『エイトマン』で、サイバーという名のAI(人工知能)が人類の征服を始め、サイバーは人間の脳に直径数センチの球体の装置を手術で取り付けて、その人間を操るというものがありましたが、現代人の多くは、脳に取り付ける装置に関して、まだ、そんなイメージを持っているのだと思います。
ところが、その『エイトマン』の続編の2004年の漫画『エイトマン・インフィニティ』では、AIサイバーが再び登場し、今度は、マイクロマシン(マイクロミニサイズの微小機械)を人間の首の後ろから注射器で血管に入れ、血流に乗って脳に到達したマイクロマシンが、血液中の金属成分やタンパク質を使って、脳をコントロールするチップを形成するというふうに進歩しています。
実際は、脳は、異物を中に入れない強固な防御機能を持っていますが、マイクロマシンより小さなナノマシンを脳内物質に擬態させて脳内に進入させる技術が研究されていますので、手術せずに脳内にチップを形成することも可能になるかもしれません。
一方、世界的に人気がある日本のSF小説・アニメの『ソードアート・オンライン』(2009~)では、頭にかぶった装置が、電磁波により脳のシナプスと量子的に共鳴することで、仮想世界にフルダイブしますが、今のところ、これは不可能です。
もし、このように、外部からの電磁波だけで脳をコントロール出来るなら、中国あたりが、人工衛星から、人間を支配する電磁波を送信しようとするでしょう。ただし、これも、いずれは可能にならないとも限りません(陰謀論かもしれませんが、既に可能であるという説もあります)。
今のところは、イーロン・マスクのニューラリンク社は、外科手術で脳に埋め込むチップにより、思考だけで外部装置を操作したり、脳で直接、インターネットに接続したり、また、脳にチップを埋め込んだ者同士が、テレパシーのように会話すること等を目指しています。
メタが、この分野に参入する可能性もあり、メタやイーロン・マスクなら可能と思われますが、1兆円も研究につぎ込めば、フルダイブ技術が急速に進歩するのではと言われています。
ただ、アメリカや日本のように人体実験を行うのが難しい国ではなく、人体実験を平気でやれる独裁国家が、アメリカの優秀な研究者を大金で雇い、先に完成させる可能性があります。
メタバースが未来を決める大きな鍵であることは確かと思います。
実際、世界はメタバースに飲み込まれつつあると述べる科学技術者、社会学者、経済学者も増えているように思われます。
以上です。
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2022年7月31日日曜日
AIが全てを監視する世界
2010年にGDP(国内総生産)で日本を抜き、世界第2位になった中国は、いずれ、現在は圧倒的な1位であるアメリカ合衆国を抜き、世界一の経済大国になると言われています。
ところが、中国の政治経済の隠れた深刻な問題を指摘し、中国の成長が止まる、あるいは、破綻するとさえ言う政治学者や経済評論家等もいますが、現実には、中国は直実な経済成長を続けており(コロナ禍でもプラス成長でした)、軍事力の拡大も顕著です。
一党独裁制の社会主義国家である中国では、民意を問う必要がなく、政府の決定は直ちに実行されますので、指導者が優秀であれば、効果的な政策を、何者にも妨げられず実行出来、進歩はとても早いのです。
そして、中国の指導者は優秀で、早い時期からITの重要性を深く理解し、全力を上げて高度なITの導入を進め、今や中国は強大なデジタル国家と化しています。
◆膨大な監視カメラは何のためにあるか
今日、日本でも、多くの場所に監視カメラが設置されています。もちろん、それは、会社や店舗等の内部あるいは周辺といった、妥当性が感じられる場所であることがほとんどです。
ところが、中国では、どこにでも・・・それこそ、「何のためにこんな所に?」と思うほどの場所にも監視カメラが設置されています。
これを当局(中国の事実上の独裁政党である中国共産党の人民管理部)による国民の監視と捉えるのは、半分正解ですが、それだけでは、重要なポイントを見逃しています。
アメリカや日本等の民主主義国家では、政策の実施には国民の賛同が必要で、例えば、日本政府が、原爆を持つことが必要と判断しても、民意が得られなければ、原爆を持つことは出来ません。
民主主義国家では、平和で強い国とは、政府と国民が信頼し合い、国民の声が政治に反映される国であると考え、それを実現するのが選挙であり、選挙こそが、国民が政治に参加することであると言われます。
ところが、選挙のない社会主義国家である中国が、ITの高度な活用で民主主義国家を超えたのではないかと思われます。
それには、AI(人工知能)が大きな役割を果たしています。
中国の監視カメラは、監視目的だけではなく、AIの活用のためにあります。
監視カメラにより国民のあらゆるデータを収集し、このデータに対し、AIが分析を行えば、国民のコントロールだけではなく、政策の決定・実施のための重要な手がかりが得られることを、中国の指導者は理解しています。
つまり、現在の中国国民のあらゆる属性を明確に把握出来、どうすれば国民を効率的に管理し、そして、動かせるかが分かるのです。
一方、民主主義国家では、選挙によって選ばれた政治家の公約が国民の民意と了解され、選挙こそが政治に民意を反映させる方法であると考えられています。
けれども、選挙で選ばれた政治家が必ずしも公約を守るとは限りません。
また、国民が、あまり公約を理解したり、重要視せず、単に有名人だからという理由で投票することが多くあります。
一方、中国では国民投票の選挙はありませんが、AIは選挙よりも正確に民意を推測出来、それを政府は有効に利用します。
つまり、中国では、国民は知らないうちに、政府の都合の良いように政治に参加させられていると言えます。
中国は、AIの活用により、「選挙に参加することが政治に参加することである」と言う民主主義を笑うほどのレベルに来ているのかもしれません。
◆シンガポール
独裁制は、効率においては、民主制を上回ることは中国の例でも分かります。
その利点を生かして発展したのがシンガポールです。
十年近くも前に、当時既に世界的に注目されていた日本のデジタルソリューション企業であるチームラボが、シンガポールでの大イベントに参加した後で、先進的な思想・理念を持つことでも知られているチームラボ社長の猪子寿之氏が、「世界で最も格好良い都市は、ニューヨークでも東京でもなく、シンガポール市(建前上の首都。シンガポールは1つの都市国家であるため、実際は首都はない)だ」と断言しましたが、実際、シンガポール市の人々の収入は、ニューヨーク、東京を超え、シンガポール(国家)の1人当たり国内総生産(GDP)は世界2位です。
そして重要なことは、シンガポールは建前上、民主主義国家ですが、『準独裁政治体制』と言われ、実質では、中国に近いと思われます。
シンガポールもまた、独裁政治のメリットを十分に生かし、そして、強いIT指向があるという点でも中国と似ています。
◆イーグル・アイ
IT技術がますます発展するこれからの社会や政治がどうなるかを理解するために、是非見ておくべきアメリカ映画があります。
それは、スティーブン・スピルバーグ製作総指揮の2008年の映画『イーグル・アイ』です。
スピルバーグ作品としては地味で、スピルバーグの他の作品と比べ興行収入もそれほどではないのですが、まだスマートフォンが普及していない時代に、AIが管理する未来社会の様子を現実的に描いています。
全米中のあらゆる場所に設置された監視カメラから得られる映像・音声をAIが収集・分析し、さらに、機密情報を含む最大限の情報にアクセス出来る高度AIは、国家の状況を完全に把握しつつ、未来に起こることを高精度で予測し、リスクを事前に察知して、最適な問題解決策を提示します。
ある時、アメリカ合衆国を管理する最高位のAIである「アリア」は、アメリカの軍隊のトップ、即ち、最高司令官である大統領、そして、副大統領、国防長官らを、アメリカの安全にとってリスクと判断し、彼らを抹殺する「ギロチン計画」をホワイトハウスとは独立した米国組織に提示し、合衆国憲法に則って実行の承認を得ます。
注意すべきことは、これが、一部のSF小説にありがちな、AIが偏見を持っているとか、AIが一部の権力者の都合で動いているのではないということです。
本当にAIの判断は正しく、アメリカのトップの抹殺は、アメリカのために良いことであるという論理性や根拠があるのです。
そして、あらゆる機械がインターネットに接続された世界で、それらの機械(一般的にはIoTと呼ばれます)を自在に利用出来るアリアの実行能力は強大です。
これらは、現代のテクノロジーで十分に起こり得ると思われます。
この作品を見てから、中国のことを考えると、我々は未来世界を予測出来ますが、ディストピア(ユートピアの反対。暗黒郷)を招くことも予想出来るのです。
『イーグル・アイ』の最後では、「安全のための過ぎたシステムはかえって安全を脅かす」と述べます。
以上です。
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2022年6月16日木曜日
AIを信頼する最後のテスト
AI(人工知能)が社会に完全に受け入れられるためには、これまで保留されていた大問題を、いよいよ解決する必要があります。
その大問題は、「トロッコ問題」に集約されるのではないかと思います。
イギリスの哲学者フィリッパ・フットが1967年にこの問題を提起して以来、世界中で数多くの考察・論争が行われながらも、これまでは、「難しい問題ですね」「答なんてないんじゃないですか?」と、気楽に言われてきました。しかし、人間とAIが真に共存するためには、その解答が必要になるのではないかと思います。
◆トロッコ問題
今の時代、トロッコを知らない人も多いでしょう。トロッコとは、鉄道の線路の上を走る小型貨車で、トロッコに動力機関はなく、単に低い方向に走ったり、ペダルを漕いで動かす単純なものです。
トロッコは、鉱山やダムといった大規模な工事現場などで、数人の人間の移動や、荷物の運搬に利用されます。
そして、「トロッコ問題」とは、こんなものです。
勢い良く走っているトロッコの先に5人の人がいて、そのままいくと、トロッコはその5人に激突し、5人が死亡します。
ところが、あなたが線路切り替え機を使い、線路の切り替えを行えば、トロッコは進路を変えますが、変えた進路の先には、1人の人がいて、トロッコをそちらに走らせれば、その1人が死にます。
あなたは、線路を切り替えるべきでしょうか?
単純に考えると、線路を切り替え、4人多く救うべきと思うかもしれません。
しかし、もし、これを学校の試験問題にし、学校が、「線路を切り替える」を正解にしたら、その学校への非難で大騒動になるでしょう。
では、なぜ、それが正解と言えないのでしょうか?
そこで、問題を明確にするため、こんなふうに問題を変形した人がいます。
5人の重病患者がいて、そのままでは、5人共、やがて死にます。
しかし、1人の健康な人の臓器を5人に移植すれば、5人は助かるとします。しかし、その場合、臓器を提供した1人は死にます。
6人の年齢は同じ位とします。
この場合だと、1人を犠牲にすべしという人は、まあ、ほとんどいないと思います。
つまり、この臓器移植の例では、何もしないのが正解というのは、理解し易いのです。
トロッコ問題も、本質的にはこれと同じですので、やはり、「自然にまかせて」5人を犠牲にするしかないというのが正解のように思われます。
しかし、それが正解と誰もが認めるとは限りません。
◆2017年中にAI運転車がデビューするはずだった?
2017年4月のTEDカンファレンスで、有名な電気自動車メーカーであるテスラ社のCEOイーロン・マスクは、TEDの代表者であるクリス・アンダーソンとの対談形式の講演を行いました。
その中で、アンダーソンがマスクに、「テスラ社はいつ、AI運転の自動車を市場に出すのですか?」と問うと、マスクは「今年(2017年)の11月か12月です」と答えます。そして、さらに続けて、マスクは、
「カリフォルニアの駐車場からニューヨークの駐車場へと、制御装置には一切触れることなく移動出来るようになります」
と言い切り、アンダーソンが「それが今年中に?」と改めて確認すると、マスクは、「その通りです」と自信たっぷりに断言し、会場からは拍手が起こりました。
しかし、2021年10月現在、それはまだ実現していません。
その理由は、「トロッコ問題」が解決されないことと考えて良いと思います。
◆機械には非常に厳しい条件が課せられる
AIの運転の安全性はどのくらいかと言いますと、既に、人間の運転よりはるかに安全です。
人間の運転でしたら、アメリカでは、1年間に4万人もの人が、交通事故で亡くなっています。しかし、だからといって、自動車が禁止されることはありません。
しかし、AI運転の場合、1人の死者も出すことは許されないのです。
実際は、AIだけでなく、機械や、それを制御するソフトウェア、さらには医薬品の欠陥で人が死ぬことは、決して容認されないのです。
例えば、時々、ある自動車のエンジンやエアバッグに欠陥が見つかり、メーカーは販売した何万台もの自動車を無償で修理することがありますが、これは、放っておいても事故が起こる可能性は、ほとんどゼロという些細な欠陥の場合もあります。それでも、最後の1台まで修理する義務がメーカーに課せられます。
それどころか、欠陥が明確ではないばかりか、単に疑わしいというだけでも駄目な場合があります。
2009年に、アメリカで、トヨタ車が暴走したことで家族4人が死亡したとして、トヨタが訴えられました。
しかし、これは、トヨタ車の欠陥ではなく、この車に使用されていた、この車専用のものでない床シートの一部がアクセルに引っかかったことが原因でした。
しかし、トヨタは自主的に380万台の同型車を回収しました。そうしないとアメリカ人が納得せず、アメリカを敵に回しかねなかったからです。
スマートフォンにおいても、2016年に、バッテリーの欠陥による爆発事故が相次いだとして、サムスンは「Galaxy Note 7」という機種を250万台回収しました。しかし、そんな事故が起こったのはせいぜい2、3件で、それもかなり特殊な状況でしたが、それでも許されないのです。
人間に比べ、機械がいかに厳しい目で見られるかが分かると思います。
もしかしたら、AI運転の自動車の事故率は人間が運転する場合の1%以下かもしれませんが、それでは足りないのです。AI運転の車は、決してミスをしないことが証明される必要があります。
しかも、上のトヨタ車の例のように、実際には自動車に責任がないと証明されても、尚、疑われるのです。
そうであるなら、トロッコ問題のようなことに、実際にAI運転の自動車が直面した時、AIが取った対応に対し、極めて厳しい目が向けられることは間違いなく、自動車メーカーも政府も、「トロッコ問題」に決着を付けることが出来ない限り、AI運転の自動車が認可されるのは難しいと思われます。
◆論理的な答は出ない
「トロッコ問題」に、誰もが納得する答は、今のところありません。
「トロッコ問題」を、現実の問題に置き換えると、次のようなことが考えられます。
1人の男性が乗ったAI運転の車が走行中、そのままでは5人の子供をはねてしまう状況で、AIがハンドルを切り、車は崖から転落したとします。AIは5人の子供を救い、搭乗者の男性を犠牲にすることを選んだわけです。
客観的には、この判断は正しいと思われるかもしれません。
オリジナルの「トロッコ問題」に当てはめると、AIは、線路切り替え機を操作し、5人を救い、1人を犠牲にしたわけです。
しかし、車ごと崖から落とされた男性、あるいは、その家族が、この車を作った自動車会社を訴える可能性があります。
そして、自然の流れで言えば、自動車は5人の子供をはねたと思われますので、「AIが意図的に男性を殺そうとした」として、男性側が裁判に勝つ可能性があります。
そもそも、このAI自動車を販売する際、5人の子供を救うために、AIが搭乗者を犠牲にする可能性があると説明し、それが販売契約書に書かれていたら、この男性は、この車を買わなかった可能性が高いと思われます。
いずれにしても、生命とか生活が関係する問題に、理屈だけで答を見つけるのは難しいものです。
こんな逸話があります。
松下電器産業(現パナソニック)がまだそれほど大きくない時代、大不況が襲い、松下電器も経営危機に陥ります。松下電器の幹部達は、社長の松下幸之助に社員の大規模なリストラを要求します。
不採算部門を切り捨て社員をリストラするというのは、業績回復の有力な手法で、今後は、AIがリストラ実施を提案、および、その内容を提示するようになると思われます。
しかし、松下幸之助は、「リストラは一切しない。仕事がないなら掃除をやらせろ」という、言わば非論理的な、AIなら決して行わない決断をします。
ところが、松下幸之助の決断を聞いて感激した社員達全員が、一丸となって不況に立ち向かい、新しいアイデアを出し、あらゆることに積極的、果敢に取り組んだ結果、大不況の中で、松下電器だけが業績を向上させました。
「トロッコ問題」だって、非論理的としか思えないやり方で、全員を救う方法があるかもしれません。
ただし、この松下電器の場合は、たまたまうまくいっただけかもしれず、リストラをしなかった結果、もっと悪い状況になり、松下幸之助は重大な責任を追及されたかもしれません。
AIとは、ある意味、未来予測技術です。何を選択したかによって、どうなるかを正確に予測出来るほどAIが進歩することが鍵になると思われます。
以上です。
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2022年3月18日金曜日
高まるプライバシー危機
日本では、2016年にマイナンバー(正式名称は「個人番号」)制度が始まりましたが、現状、マイナンバーカードの申請数は少なく、まだまだ十分には普及・活用されていません。
一方、中国では、日本のマイナンバーに相当する公民身分番号制度が定着し、行政サービスはこれを基に行われています。
中国では、デジタル通貨の一般化で紙のお金が使えない場合が多く、事実上、スマートフォンなしでは生活出来ません。そのため誰でもスマートフォンを持っていることが、デジタルでの活用を前提とした公民身分番号制度の普及を促したのだと思います。
日本でも、今後、マイナンバーカードが行き渡り、それがスマートフォンで活用出来るようになると、行政サービスは合理化して簡易化・高速化し、行政側も国民側もとても便利になりますが、一方で、政府による国民の監視で社会主義化につながるのではないか、あるいは、政府のITリテラシーが低いことで何か問題が起こるのではないかという懸念が言われています。
また、中国では、他人の公民身分番号を盗み、その番号の人間になりすます違法事件が多発しており、日本でも同じようなことが起こるのではないかという疑問もあります。
◆進歩しない一般のITスキル
中国がデジタル大国といったところで、国民のITスキルが高いわけではなく、上でも述べましたが、個人番号の漏洩・悪用などは、日常茶飯事と言われています。
世界で、インターネットが急速に普及していった21世紀初頭前後から20年以上、ネットでの、セキュリティー、プライバシー対策が重要であると言われ続けていますが、はっきり言って、日本でも、国民、さらに政府のITリテラシーは、それほど進歩したようには思えません。
一党独裁の社会主義国家である中国では、事実上の国家である中国共産党が決定したことが、誰にも反対されずに実施されますが、日本では、民意を無視出来ません。ですから、現状では懸念や疑問も多いマイナンバー制度は、政府の思惑通りには進まず、それは必ずしも悪いことではないと思われます。
しかし、政府に対し、必要な確認や反対はしつつも、良い部分は実行することが必要で、そのためには、政府も国民もITリテラシーを高めなければなりません。
◆個人情報海外流出事件
マイナンバー制度を始めるためには、コンピューターへの大量のデータ入力が必要です。
ところが、これに関し、日本で、こんな事件が起きています。
マイナンバーを活用する予定の日本の政府機関が、国民の個人情報データの入力を国内の業者に委託したのですが、その業者は、いつものことでしょうが、コストが安い中国の業者に業務を再委託しました。
すると、その中国の業者から、日本人の個人情報が漏洩した疑いがあり、詳細は不明ながら、おそらく、それが起こったことは確かなのですが、その政府機関は、それを否認し、そのままうやむやになってしまいました。
もうずっと前から、企業においては、機密情報や個人情報を扱う業務の再委託の取り決めなどは厳格に行う習慣が定着していますが、政府機関では、必ずしもそうではないことが今回の騒動の原因であると考えられます。
このように、政府やその配下の機関自体のITリテラシーが不十分では、マイナンバーカードの普及が遅れるのは、やむを得ないかもしれません。
◆スマートフォンによるデータ流出
中国に限りませんが、いろいろな国の様々な機関が、日本、アメリカ等の国民の個人情報を収集しようとしていることは十分に考えられます。
その目的は、様々ですが、例えば、日本人の個人情報を盗めば、その日本人になりますことも可能になり、そうすれば、スパイ活動がし易くなります。
もし、日本人の個人情報の収集が、外国の工作員により、組織的・広範囲に行われているなら大きな問題で、それが既に実際に行われている可能性すらありますが、日本の警察や公安は、そのあたりの対策が十分ではなく、そもそも対応能力に疑問があります。
しかし、もし、マイナンバーと紐づいた個人情報が海外に流出したら、非常に拙いことになりかねません。
マイナンバーに関連する個人情報の漏洩で我々に被害が発生した場合に、国がどこまで守ってくれるかは、甚だ疑問です。
そして、我々のプライバシー情報の海外流出の危険に関する、こんな話があります。
日本でも、中国製スマートフォンが広く普及しています。
それなりの性能を持ちながら、日本製、アメリカ製、韓国製に比べ、非常に安価なので大人気です。
特に、現在は、スマートフォンのSIMフリー化が進んだことにより、中国製スマートフォンを使う際にも、通信回線に関しては日本の通信会社を自由に選んで使えるからです。中国製スマートフォンは、日本の代理店を通じ、Amazon等のネットショップで手軽に購入出来ます。
ところが、そんな中国製スマートフォンに初期インストールされているアプリを通して、個人情報が漏洩する可能性が指摘されています。
実際、初期インストールされたアプリには、合理的理由がないのにユーザーにはアンインストール出来ないものもあり、非常に疑問を感じます。
◆ビッグテック(巨大IT企業)のプライバシー情報収集
今日、電子メールやSNSにお金を払う人はいません。現在では、電子メールがかつて有料であるのが普通だったと聞くと驚く人の方が多いかもしれません。
代表的なSNSであるFacebookやTwitterは、無料サービスでありながら、今や、世界中の政治家やビジネスマン、ジャーナリストらが、仕事にもフル活用し、万一、これらの利用が出来なくなると、活動に支障が出るほどです。
また、GoogleのGmailがないと仕事にならないと言う人も沢山います。
これは、既にかなりの個人情報が、ビッグテックに渡っているということです。
それだけではありません。
Gmailの中は、重要情報のやり取りにも普通に使われ、個人情報や機密情報もいっぱいで、、万一、他人に不正利用されると大変なことになりかねません。
よって、電子メールでもSNSでも、特にビッグテックのものは、単にパスワードで接続出来るのではなく、例えば、これまでと違う端末でアクセスする際には、強制的に確認が行われる等の安全機能が付けられ、よりセキュリティを高めています。
しかし、これらの運営会社(つまりビッグテック)自体が、機密情報やプライバシーを侵害してはいないのかが話題になることがあります。
これに対し、Googleは、従業員がユーザーのGmailの中身を見ることは決してないが、AIが見ていることは認めています。だから、ホテルや鉄道等の予約の受付メールが送られてくると、AIにより、自動的にスマートフォンのカレンダーに、それらのスケジュールが追加されることがあります。これは確かに便利ですが、勝手にそのようなことが行われることを、恐ろしいと思う感覚は忘れてはならないような気がします。
また、Googleマップの初期設定では、ユーザーがいつ、どこに行ったかの詳細がGoogleのクラウドサーバー上に記録されるようになっています。それこそ、何日の何時何分にどの電車に乗り、どのホテルに泊まり、どのイベント会場に行ったかなど、自分で解除しない限り、細大漏らさず記録されています。
そんな情報が漏れると困る場合もありますし、警察が捜査のために、そのような個人情報をGoogleに請求する可能性もありますが、それはやはりプライバシー侵害と言うべきでしょう。
そして、日本で多くのユーザーを持つSNSであるLINEで、個人情報が韓国や中国に筒抜けであったという報道がありました。
LINEを運営するLINE株式会社は、韓国最大のインターネットサービス会社NAVERの完全子会社です。
LINEは、この事件を否定、あるいは、些細な部分のみの漏洩であるとしていますが、様々な専門家から深刻性も指摘されています。
◆セキュリティ認証
では、スマートフォンの顔認証と指紋認証に関するセキュリティはどうでしょう?
顔認証に関しては、AIが学習するため、顔の画像データが、運営会社のクラウドサーバーに送られます。それによって、AIが認証の学習を行い、認証精度が上がるのです。
しかし、顔と違い、指紋は、様々な重要な用途で利用される生体認証情報です。
一応、指紋データは、運営会社のクラウドサーバーに送られることはないはずです。
指紋データが漏洩した場合、本人になりすます不正行為が行われる可能性があります。
例えば、アメリカ映画『バッドマン・ダークナイト・ライジング』(2012)で、バッドマンの正体である大富豪ブルース・ウェインは、ある日、突然に破産し、70億ドル(約7000億円)と言われる資産の全てを失います。
その経緯はこうでした。ブルースの家で行われたパーティーの客になりますました敵が、ブルースの指紋を家具から採取し、その指紋を使って、ブルースになりすまし、ブルースを破産させるようなオンライン投資を行ったのでした。
実際に、指紋だけでそこまで出来るとは思えませんが、生体認証の重要性を実感させるお話でした。
そして、スマートフォンで指紋認証を行っている者は、既に、スマートフォンを通じて、指紋データが海外に流失しているという噂もあります。単なる噂かもしれませんが、技術的にはやろうと思えば出来ると思います。
セキュリティで問題が起こった場合、自己の責任に帰することになると考えておくべきです。
そのために、「ITに弱くて」という言い訳は通用しないと認識すべきですし、「僕は怠惰で細かい管理は駄目なんだ」という人間は、悪人にとって、とても美味しいカモなのです。
以上です。
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2022年2月20日日曜日
優等生ほどAIの奴隷になる
昔からあることですが、アニメを見ている子供を見て、母親が「下らないアニメなんか見て!」と叱責します。
しかし、そのアニメが、子供の将来に良い影響を与える素晴らしいものでないとは限りません。
この母親の問題は何かと言いますと、自分で体験せずに、価値判断をしたことです。
人間は、体験をしないと、良いか悪いか分からないのに、この母親は、体験をしないまま、誰か(テレビや先生)の意見を受け入れたわけです。
これまでは、それでも誤魔化しが効きましたが、特にAI(人工知能)の時代では、それは拙いということをお話しようと思います。
◆これまでの何にも似ていない新しいもの
自分で体験しないと何も分からないことは誰でも分かっています。
例えば、海外旅行、スキューバダイビング、坐禅・・・経験すれば良いかもしれないと思いつつ、「別にやらなくても、そんなに変わらない」と思い、他人の経験談をテレビなどで見聞きして、分かった気になっていました。
しかし、今後は、経験をしないことがリスクになる可能性があります。
例えば、グーグル検索について考えてみましょう。
昔なら、何かを調べる時、図書館など、あちこちに出かけ、沢山の本や昔の新聞を調べ、電話をかけまくって、やっと分かった・・・いや、それでも、分からないかもしれないことを、グーグル検索を使えば、かなりのことが数分で分かってしまいます。
確かに、苦労して調べることの価値もありますが、今、何でもかでも、自分の足で調べるのは愚かと言えると思います。
ところで、グーグル検索や、その他の既に広く使われているインターネットサービスは、昔からあるものの代替であり、分かり易く、特に進取の気性がある人でなくても利用しています。
しかし、従来は想像もしなかったものがどんどん現れてきています。AIやVR(仮想現実)がそうです。
それらは過去の何かに例えて理解することは出来ず、それを直接体験しない限り、全く分からないばかりか、存在にすら気付きません。
それで、知らないうちに時代に取り残されます。
◆分かったような気になる恐さ
少し前、『鬼滅の刃』というアニメ映画が、驚異的にヒットしました。
すると、テレビのワイドショー番組で、『鬼滅の刃』は何が良くてヒットしたのかということを、顔なじみのコメンテーターが、自信満々で解説します。
それを見て、視聴者は「なるほど」と納得します。
しかし、『鬼滅の刃』の、そんな解説は全部嘘です。
コメンテーターに解説出来るような理由で、これほどヒットするなら、アニメ製作会社は苦労しません。
また、たとえ、コメンテーターが、実際に映画を見、本当に良いと思った上で解説していたとしても、彼らに映画の良さを説明出来ないのです。
つまり、いくら良いと思っても、それを言葉で説明することは、ほとんど不可能なのです。
そもそも、映画の製作者ですら、その映画の良さを10%も解説出来ないなんて普通なのです。
例えば、男の子に、自分が好きな女の子について、「その子のどこがいいの?」と尋ねたら、「え・・・と、顔とか、優しいところとか」と、曖昧なことを言います。この男の子は、その女の子に何か特別なものを感じてはいるのですが、その「何か」を言葉で言うことは出来ません。
そして、それは、大人でも同じことなのです。
何か素晴らしいことを体験し、これはと思う人を仲間にしようと、その素晴らしさを力説したところで、せいぜいが、「君がそこまで言うなら、良いかもしれないね」と言う程度ではないですか?
こんなことを、しっかり認識した方が良い時代です。その理由を次項でお話します。
◆曖昧な概念を論理化・数値化するAI
ところが、AI(人工知能)は、人間にとってはふわっとした「好き」を論理的に理解してしまいます。そんな仕組みなのです。
「好き」だけではありません。あらゆるアナログな感覚やノウハウを、精密にデジタル化します。
「銀座No.1ホステスの社交術」なんてベストセラー本があったように思います。
No.1ホステスのように、勘と経験と卓越した思考力で、どんな対応が相手にとって心地良いか、高度に掴める人がいます。
しかし、そのノウハウは、やっぱり言葉で説明出来ないのです。
それが証拠に、そんな本を読んでも、No.1のサービスは出来ません。
しかし、AIは、それを、論理化出来るのです。
もう何年も前に、ドワンゴ創業者の川上量生氏が「いずれ、人間はAIとだけ付き合うようになる。AIの方がずっと性格が良いですから」と言ったのは、まさに正しいのです。
人間には、ふわっとした雰囲気でしか分からないことを、AIは数値化、理論化出来ます。
そして、その理論を応用出来るとしたら、これは、よく考えると恐ろしいことです。
例えば、AIは、人間を完璧に騙すことも可能なのです。
人間の詐欺師など、足元にも及びません。
騙す相手は重要な個人や大衆、あるいは、全人類などが考えられます。
◆AIに負けない方法
しかし、本来、人間がAIに劣るはずがありません。
AIには分からないような価値でも、人間なら分かるのです。
大脳の160億のシナプスを同時並行的に動かし、さらに、研究者によればシナプスに関係する器官を量子的に働かせるような真似がAIに出来るとは、とても思えません。
けれども、学校では、交換可能なロボットを作る教育がされ、人間の本当に重要な力を殺してしまっています。
人間のロボット的な性能(計算力や記憶力)は、大昔のコンピューターでも人間にはるかに優ります。
よって、ロボット人間ではAIに全く敵いませんので、そんなロボット人間はAIに支配されるようになります。
では、人間が持つ能力を発揮するにはどうすれば良いでしょうか?
それには、まず、偏見のない目で見、人間の優秀な知覚能力をフル回転させて経験することです。
それには、進んで体験する自主性が必要です。
◆真っ新な目で見る
FacebookのCEO、マーク・ザッカーバーグが初めて体験したVR(仮想現実)のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)は、モノクロで解像度も低い、今のものと比べれば貧弱なものでしたが、それでも彼は、偏見のない真っ新な状態でこれを進んで体験し、知覚能力をフル回転させることでVRの可能性に驚愕し、すぐに、VRの最先端を行っていたオキュラス社を買収します。
しかし、いかにザッカーバーグでも、自分で体験しなくては分からなかったのです。
そして、多くの人は、「VRなんて子供のゲーム機のものだろう。少しも重要ではない」と決めつけて体験しようとしません。
ところで、電話やテレビを見たことがない人間など、世界にはいくらでもいます。
そんな人達に、テレビや電話の良さを説明しても無駄です。
自分で使うしか、理解する方法はありません。
そして、そんな人達が「テレビや電話は人間を堕落させる有害で不要なものだ」と言い、積極的に試そうとしなければ、我々は、彼らを愚かだと思うでしょう。
しかし、VRを積極的に体験しようとせずに、「そんな下らないもの」と馬鹿にしている人も全く同じなのです。
見もせず、体験もせずに否定するのは、老人と相場が決まっていたはずが、戦後のロボットを作る教育のせいで、若くても(子供でも)優等生ほど、その傾向が強くなっています。ロボット人間は、教科書とテレビニュースに出ないものは価値がないと思っています(試験に出るのはその範囲までですから)。
そんな人達は、これからはAIの奴隷になるしかありません。
そうならないコツは、優等生ではない若い人達が良いと言うものを、馬鹿にしたくなるのをぐっとこらえて、自分で味わってみることです。
子供に「そんな下らないアニメ見て」と言う母親は、やっぱり時代遅れかもしれません。
以上です。
| 当ブログオーナー、KayのAI書籍です。 誰でもAIを使って、「モンティ・ホール問題」「囚人のジレンマ」などの問題に挑むことが出来るよう工夫しました。 その方法を使って、あなたの会社などの問題をAIを使って解決しましょう。 実習のためのデータを作ることが出来るExcelマクロを出版社サイトから無料でダウンロード出来ます。 |